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第131話・アルスVSユリア タクティカル・トレーニング

 

 タクティカル・トレーニングとは、今軍隊の間で流行っている近接戦闘訓練だ。


 なにかと戦いの多い俺も、軍隊のやり方なら間違いないと踏んで積極的に取り組んでいた。


「負けた方が交渉役か、その様子だとルールも知ってる感じ?」


「もちろんです、会長の興味ありそうなものは余暇時間全部使って調べてるのでッ!」


 めっちゃ目輝かすじゃん。

 ミライもそうだが、自分の趣味を理解してくれるというのは実に嬉しい。


「じゃあ決まりだな、銃貸そうか?」


「いえ、わたしは自分らしく宝具(これ)で挑みます。実弾じゃなく魔力弾にはなりますが」


「なら問題ない、さっそく始めよう」


 ルールは簡単。

 それぞれ配置された10体の的を、決められた順番に決められた場所から撃つというもの。


 最後の的を撃つのが速かったほうが勝ちだ。


「しかし……会長は竜王級魔導士なのですから、魔法の訓練をしても良いのでは? なぜ非魔力依存訓練を?」


「ファンタジアの時みたいに、魔力が一切使えない状況もあるかもしれない。それを見越してちょっと訓練しようと思ってな」


「さすが会長っ、万一の事態すら見越してのことなんですね!」


 納得顔のユリアは、『インフィニティー・オーダー』を持って俺の隣に立つ。

 まぁ、そもそも普通以上の相手だろうと『身体能力強化(ネフィリム)』か『魔法能力強化(ペルセウス)』で十分なのだ。


 手加減云々はもう銃へ頼ることにしたし、俺がすべきはそれらエンチャントを封じられた時の想定である。

 眼前に、白色の的が10体並んだ。


「それがあなたの武器ですか、魔導士のくせに杖を使わないなんて……竜王級の名が泣きますよ」


「そのセリフ、俺と初めて公式戦やったときのやつか?」


「はい、懐かしい気分に浸ってもらおうかと」


「そりゃどうも」


 魔導タブレットが、開始のカウントダウンを始めた。

 お互いの得物を構える。


「だが驚いたよ、てっきりもう俺には挑まないと思ってたんだがな」


「会長以外の人に負けないとは宣言しましたが、別に貴方から勝ちを1本くらいもぎ取っても、バチは当たらないかな〜っと。わたし––––こう見えて天才なので」


「その意気だ、さすがは頼れる副会長。いいよ––––殺す気で掛かってこいッ」


「言われなくても」


 魔導タブレットの数字が1秒を切った。


「必ず勝ちを奪いますよ」


 ––––ピーッ––––!


 甲高い機械音が鳴ると同時、俺とユリアは地を蹴った。

 王立魔法学園の生徒会長と、副会長の戦いが始まる。

 第一ポイントには、ほぼ同時にたどり着いた。


 指定のマーク上に立ち、俺はショットガンを––––ユリアは杖から魔力弾を放った。


 これまた同時に的が着弾で揺れ動く。

 ユリアは杖の構え直し、俺はコッキングでほぼ同じインターバルを挟む。


「さすが会長、でも負けません」


 2体を右構え、もう2体を左構えに持ち直してから遮蔽物越しに撃ち抜く。

 次4体は横並びになったものを、走りながら連続で当てる形だ。


「会長は5発撃ってこれで残弾ゼロ、もらいました!」


 俺の後ろに続くユリアが、勝ち誇ったように宣言する。

 おそらくリロードする間に、装填いらずの魔力弾で一気にリードする算段だろう。


 だが––––


「えっ!?」


 俺のショットガンは、一瞬で残弾を回復させていく。

 次の的へ向かうほんの僅かな時間でだ。


「おっらあぁぁあ!」


 クアッドロードと呼ばれる、超高速装填を俺は走りながら行ったのである。


 ––––ダァンダァンダァンダァンッ––––!!


 素早く4つの的を撃ち、そのままの勢いで最終ポジションについた。

 フロントしかないサイトをしっかり合わせ、俺はブレなど微塵もない動きでトリガーを引いた。


「ッ!!」


 ユリアが最終ポジションに走り込んできて撃った頃、既に的は倒れてその役目を果たしていた。

 魔導タブレットから終了の機械音が鳴り響く。


「あうぅ……っ、また会長に負けたぁ……ッ!」


 ガックリと膝を落とすユリアの頭を、俺はポンポンと撫でる。


「筋は良かったから、練習すればもっと上手くなれると思うぞ。銃についてもよく調べたんだな」


「……会長はわたしの特別であり、目標でもありますから。貴方が好きだと言ったものをまだまだ調べる余地があると……改めてわかりました」


 スッと立ち上がり、『インフィニティー・オーダー』をしまう。


「またしても完敗です、会長は本当に凄いですね……。約束通り交渉役はわたしが引き受けます」


「ありがとう、でも公約は自分が掲げたものだ。ユリアは手伝ってくれればそれで十分だよ」


 さて、頃合い的にそろそろか……。

 俺は眼前の副会長へ、目を合わせた。


「これは後で生徒会のみんなに話す内容だが、ユリア––––お前には先に話しておく。本当に重要な話だ」


書いてる側だと、読者さんが苦痛なく読めてるか全然わからなくて「大丈夫!? ここの文章大丈夫!?」って勝手に必死になってます。


ブックマークや評価、いつも大変励みになってます〜っ。

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