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第115話・全部貴女の逆恨みでは?

 

 走り去るアルスとフォルティシアの背を守った彼女たちは、各々が戦闘体勢を取った。


 敵は2人、数的には有利だが主戦力のユリアは現在フルスペックを発揮できない。


「ここは私にお任せをレイ様、『神の矛』の名に賭けて––––必ず儀式を守り抜いてみせます」


 自信に満ちた顔で前に出るミリア。


「生まれ変わった私は、もはやアルスのエンチャントを全く必要としない。アンタたちみたいな自称エリートをも上回る力を得たのよ」


「それっぽく言ってるけどさ、他人の能力じゃん……それ」


「あら、もしかして私に嫉妬してるのかしら銀髪ちゃん? 今までの努力が無駄だと思いたくない気持ちはわかるけども」


「キッモ……! どう解釈したらそうなるのっ」


 悪寒で震えるアリサ。

 どこか恍惚とした表情のミリアへ、ユリアが軽蔑の眼差しを向けた。


「貴女の目的を教えてもらえるかしら? 闇ギルドにまで加担して、ずいぶん大仰な騒ぎですけど」


「目的? そんなの……決まってるじゃない。私に惨めな思いと屈辱を与えたこの世界の人間、そして裏切り者アルス・イージスフォードへの復讐よっ!」


「全部貴女の逆恨みでは? 1年前の時と同じ……全然懲りてないんですね」


「ッ……! 大陸トップの天才ともてはやされてるあなたには、決してわからない崇高な理念よ」


「確かにわたしは天才ですけど。貴女の理念とやらは判りませんし、正直理解したくもありません」


「ランキング5位から落ちた時、ユグドラシルのチャンネルで私を馬鹿にした連中へ、今日––––復讐を果たすだけよ」


 自分語りの終わらないミリア。

 とうとう怒りが頂点に達したらしいミライが、魔力を放出しながら叫ぶ。


「あぁもうっ! 聞いてりゃ言葉が全部子供なのよ!! 数で有利なうちに押してやるッ!!」


 屋根を蹴って肉薄するミライ。

 だが––––


「あぐっ!?」


 何者かが高速で割って入り、ミライは強烈な蹴りを見舞われた。

 空中に吹っ飛ばされながら、敵の外見を確認して思わず声を上げる。


「ッ……!! こいつ! ファンタジアに来るとき列車を襲ったホムンクルス!?」


 猫耳が特徴的な猫獣人(キャットピープル)、列車を襲ってきたときは数が多く不気味なだけで大して強くないはずだった。


「お前の相手は、アタシ。ドクトリオン博士の邪魔はさせない」


 あの時倒したはずなのに、なぜ生きてる。

 そもそも同じ個体なのか? しかしミライは自分が痛い一撃をもらった事実に憤慨した。


「にゃっっろおおぉ! 頭きたっ!!」


 空中で体勢を立て直し、気合一閃––––魔力を爆発させた。


「はあぁぁあ––––––––ッッ!!!!」


 ミライの全身をスパークが覆い、雰囲気も一気に変わる

 茶髪がより明るくなり、瞳もエメラルドグリーンに染まった。


 彼女の切り札。『雷轟竜の衣』を発動したのだ。


「だああぁぁああああッ!!!」


 急加速したミライは、雷に近い速度でそのまま追撃してきたホムンクルスを迎え撃った。

 イカヅチのような炸裂音を伴いながら、互いの攻撃をぶつけ合う。


 変身したことにより、力はミライの方が上回っていた。


「あっちは大丈夫そうだ、行くよユリ! 儀式がどうとかそんなの、敵を全部やっつければ解決する!」


「……そうですね、おっしゃる通りです」


 ファンタジアを包む神話級事象、『神結いの儀式』。

 それを阻止する生徒会の戦いが始まった。


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