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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター20
112/204

古谷さんは怒り気味 1

「で、これからどうするか、ってことだな」


 テーブルを挟んで座った俺と小室さん、紫藤さん。


 古谷さんはリビングから出て行った後、寝室に篭ったまま出て来なくなってしまった。


「えっと……問題は、俺だね」


「ああ。食料。さっき食っちまったらしいな」


 言われて俺は憂鬱な気分になる。


 先ほど食べたカップラーメンが全部だったらしい。


「ごめん。あかいくん、もどってくるか、わからなくて、しょくりょう、あまりもってこなかった」


 すまなそうに言う小室さん。それでも一個だけでも持って帰ってきたことに感謝すべきなのだろう。


「で、どうするんだ。俺達は飯を食わなくても死にはしないが、赤井は困るんじゃないのか」


 紫藤さんの言う通りである。この状況下で一番困るのは僕だ。


 だとすれば食料を確保しなければいけない。そうなると、またコンビニにでも調達に行かなければいけないのだろうか。


 それとも……


「もどれば、いい」


 と、小室さんが口を開いた。


「……え? 小室さん。今なんて?」


「もどる。でぱーと。もどれば、しょくりょう、ある」


「なっ……も、戻るって……せっかく帰ってきたのに?」


 俺がそう訊ねると、小室さんは小さく頷いた。


「あかいくん、こまる。でぱーと、いくの。いちばん、いい」


「小室さん……ごめんね。俺のせいで……」


「べつにいい。あかいくん、もどってきてくれて、わたし、ほんとに、うれしいから」


 小室さんは無表情でそう言ったが、言われる俺としてはなんとも恥ずかしい気分だった。


 そう言ってもらえるのは、何より嬉しかったのだけれど。


「あー……俺も構わないぜ。元々、デパートに行くって話だったからな」


 紫藤さんもデパートへ行くことには賛同してくれるようだった。


「もんだいは、ふるやさん」


 小室さんがはっきりとそう言った。無論、俺もそのことは分かっていた。


「なんか……古谷さん。俺が帰ってきてからずっと怒ってるよね……どうしてかな?」


 思わずそう言ってから、小室さんと紫藤さんが俺のことを目を丸くして見ているのに気づく。


「え……どうしたの?」


「お前……とにかく、一度アイツと話し合ってこいよ」


 紫藤さんが呆れ気味にそう言う。小室さんも小さく頷いている。


「わかった。じゃあ、ちょっと行ってくるよ」


 イマイチ俺は自分の何が悪いのかわからなかったが、とにかく古谷さんとキチンと話し合うために寝室に行くことにした。

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