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分岐点にて  作者: 星野☆明美、chatGPT
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毎日、アルバイトだった。

朝のシフトに入って、昼に抜けて、夕方には別の店へ向かう。

生活はつながっているけれど、未来まではつながっていない気がした。


千鳥はレジの前に立ちながら、ぼんやり考える。

(私、なんでこんなところにいるんだろ)


学生の頃、特別に成績が悪かったわけじゃない。

努力が嫌いだったわけでもない。

ただ、決めきれなかった。

進学も、夢も、覚悟も。


「もっと勉強して、大学に行けばよかったな」


声に出すと、負けみたいで、いつも心の中で言うだけだった。


同年代らしい客が、スマホ片手に会計を済ませていく。

スーツ姿。

社員証。

聞き慣れない専門用語の会話。


そのたび、胸の奥が少しだけざらつく。


(あっちの世界があったんだよね。

私が選ばなかった方の)


選ばなかった、というより――

選べなかった、のかもしれない。


休憩室で飲む安いコーヒーは、いつも同じ味だった。

カレンダーを見る。

今日が何曜日か、一瞬わからなくなる。


日々は流れている。

でも、自分がどこに向かっているのかは、わからない。


そのとき、ふと――

胸の奥が、ちくりと痛んだ。


理由はない。

思い出した記憶もない。

ただ、「何か大事なものを落とした気がする」感覚。


千鳥は胸元を押さえる。

もちろん、何もない。


「……気のせいか」


そう言って、またレジに戻る。

日常は、ちゃんと続いている。


それなのに。


(もし、あの日。

もし、あのとき。

違う選択をしていたら――)


考えかけて、千鳥は首を振った。

そんなことを考えても、仕方がない。


仕方がない、はずだった。


けれどその夜、

千鳥は夢を見る。


空が、やけに近い夢を。


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