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プロローグ

 報告書




 9月15日現在、元司法会監査課課長補佐、夏彦の身柄を拘束中。



 夏季休業の開始と共に夏彦は学園、そして市から外出したことは確認できているが、その時点では学園の許可をとっており、また司法会の業務として認可の下りた外出だった。


 だが許可されていた外出期限である二週間を越えても夏彦は姿を見せることはなく、報告もなかった。


 この時点で、司法会課長補佐という役職、そしてこれまでに数々の事件(※別表1参照)に関わってきたという経歴から、夏彦の失踪を重大問題視しして六会代表者会議が開かれる(ただし、外務会、生徒会ともに健全に運営できていない状態だったため、略式)。


 会議の結果、夏彦は司法会監査課課長補佐の役職を剥奪、特別確保対象として見つけ次第拘束、確保する旨で同意した。


 9月1日、市内のビジネスホテルで夏彦を確保。夏彦はベッドに腰掛けて、抵抗をすることもなく呆然としていた。


 ただちに風紀会の取調官により取調を受けるが、夏彦は記憶がないと主張。尚、この主張は瑠璃によって裏付けられた。


 夏彦によれば、学園の総意として外出し、元外務会副会長クロイツを※※※※※※※※※、※※※※※※※※※(重要機密により削除)したところまでは記憶があるが、次に気がついた時にはビジネスホテルの一室でベッドに座っていたという。


 公安会と行政会の協力により調査したところ、確かに夏彦がクロイツを※※※※※※※※※※※※※※※※※※(重要機密により削除)した直後の7月29日までは記録が存在することを確認できたが、それ以降の足取りは全く不明だという。


 その後、二週間に渡って取調べ、調査を行ったが、夏彦が失踪していた一ヶ月間の間に何があったのかについての調査は完全に暗礁に乗り上げた。


 これ以上彼を取り調べても何も出てこないというのが、実際に調査、取調べをした担当全員の共通した正直な感想であろう。


 今回の件により、司法会からは夏彦を脱会させるという話が出ている。


 であれば、これ以上当会が彼を拘束するメリットはもはやないと思われる。


 よって、可及的速やかに夏彦を解放すると同時に、他の会と強力の上で彼を特別監視対象として極秘裏に監視するのがコストからしても、また事態を進展させるためにも最善の策であるように判断する。



 風紀会 広域取締担当官 鞍馬

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