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ササラとデズロ

デズロに引き取られた直後のササラとデズロ

最近、私はこの綺麗な男の人に引き取られた。


「ササラー!ただいま〜寂しかった?僕が居なくて大丈夫だったかなぁ?」


「・・・おかえりなさい、お父様」


「う〜ん!"パパ"って呼んでくれて、いいんだよ?」


私にはちゃんと血の繋がった両親がいるけれど、私は所持する魔力が多すぎてとても危険だから、この人が代わりに私の親代わりになるらしい。


「おいでササラ!ギュってして欲しいなぁ」


ここに引き取られて私は正直、毎日どうしたらいいのか分からない。


私の両親は今まで一度も私に触れたりしなかった。

それなのに、このデズロという人は毎日毎日私を抱っこする。


「あ〜癒されるぅ〜。ササラは本当に僕の癒し!僕ササラが側にいるならずっと宮廷に居てもいいよ!」


デズロ様は私を柔らかく抱きしめて頭を何度も撫でてくれる。最初はビックリして緊張したけど、最近はこうされる度気持ち良くて、なんだかこそばゆい。


「ご飯はもう食べたよね?じゃあ僕と遊ぼうか?」


「いいんですか?魔法のべんきょう・・・」


「あはは!ササラ真面目!魔法の使い方なんて遊びながら覚えるものなんだよ?さっ、庭に行こう!」


そういえば私はここに来てから一度も魔力を暴走させていない。前の家では押さえ込むのにあんなに大変だったのに。

なんでだろう?


「うーん、良い匂い。僕、ここの土や植物の香りが好きなんだぁ」


「土の、香り?」


なんだろうそれは。

そんなの好きだなんて思ったことない。

ありふれた、日常的に嗅ぐ香りだと思う。


「よっこいしょ!ササラもおいでよ」


草の上に寝そべるデズロ様の所に近寄ってみたものの、どうしたら良いのか分からない。

・・・え?私も横になるのかな?


「僕の隣においで、魔法を見せてあげる」


「はい」


前はこんな事したら行儀が悪いと叱られた。

私は恐る恐る地面に寝転がる。


「今から僕が水で輪っかを作るから、その真ん中に火玉を通す遊びをしよう!輪っかに触れると消えちゃうからね?やり方はこの前と同じだよ?お手本を見せてあげる!」


デズロ様はそう言ってパチンと指を軽快に鳴らす。

すると、私達が見上げる空に列を組んだ水の輪っかが、いくつも現れた。


そして悪戯っぽく笑みを浮かべて立てた指の先に、小さな火の塊が現れた。


それらは指先でクルクルと回り続けている。


「ちゃんと狙って、真ん中に、撃つ!」


デズロ様の指先から勢いよく飛ばされた火の玉は、見事に連なる水の輪っかの真ん中を勢いよく潜り抜け最後は出口で綺麗に弾けた。


「・・・わぁ!」


「さてさて〜?ササラは出来るかなぁ?さっ!先ずは指先に集中してぇ?」


当たり前の様に難なくやって見せたその一連の魔法は、後で聞いたら難易度が高い魔法の技術が必要で、私はそんな事知らないから勿論自分にも出来るのだと疑わなかったし、実際に何度か練習すれば差はあれど同じ事が出来る様になっていた。そうやって、この人は僕にあらゆる事を教えてくれる。


デズロ様は私がここに来てから空いた時間はずっと私の側に居てくれた。


デズロ様はいつもふざけていたけれど、とても優しくて私が時折、嫌な事を思い出したり暴れたりしても決して怒らず最後はいつも私を抱きしめてこう言った。


「大丈夫。愛してるよササラ」


なんでだろう。


この人にとって私は他人で、魔力も録に扱えない面倒な子供でしかない。多分この人は私を押し付けられたんだと思う。

でも、この人の言葉や態度から全く嘘を感じられない。

それとも、とても嘘が上手いのかな?


暫くして私が宮廷でのデズロ様との生活に慣れた頃。

デズロ様が宮廷で仕事をされる様になると、少しずつデズロ様との時間が減った。それでも必ず1日に一度は私に会いに来て私の待つ屋敷に帰って来てくれたけれど。


そして、それと同時に私の周りの人間の態度が急変した。


「あの方を決して信じてはなりませんよ?貴方は騙されておられるのです」


「あの男は陛下の敵で御座います。陛下に取り入って、この国を乗っ取ろうとしているのです」


「可哀想に、必ず私が君を助けてあげるからね」


"デズロは実は他の国の人間で皇様を騙して脅しこちらに住んでいる"周りは皆私にそう言って私を助けると息巻いていた。


その一方で最強魔術師のデズロ・マスカーシャの養子で無条件にその寵愛を受ける私を妬む人間も多かった。


「本当の親に捨てられた出来損ないの癖に、調子に乗るなよ?お前などデズロ様の養子でなければ無価値な人間なんだからな!」


「魔力が多いだけの庶民がこんな所に姿を現すなど、恥を知れ」


子供の私にはどちらが真実なのか分かりはしなかった。

確実に分かっていた事は、デズロ様が私に向ける愛情だけは決して偽りではない、という事だった。


「ただいま〜!ササラ会いたかった〜」


本当に、不思議な人。

私は、貴方のような人間に今まで出会った事がない。


「おかえりなさい、お父様」


「うん!やっぱりササラは可愛いなぁ」


可愛いのはこの人だと思う。

そして、とても愛おしい。

大好きでとても大切な、ただ一人の私の家族。



****




バターン!!


「ササラー!!聞いて、聞いてヨォ!ティファってば酷いんだよ?ティファの料理店が開いている間は遊びに来ないでって言うんだ!」


煩い。

本当に煩いですね?

そんな事で超過勤務中の私の仕事場に乱入して来るの、やめて頂けませんか?エルハド様はどうしたのです?誰か保護者

を呼んで来てください。


「当たり前でしょう?ただでさえ忙しいのに、貴方の相手なんてしていられませんよ。ティファが貴方に気を使って言ったんでしょうよ」


「ただでさえティファ城下町に住むようになってから遊びに来る回数が減ってるのに!僕は、僕は寂しい!」


「そうなんですか?貴方エルハド様とあちこち飛び回って最近やっと帰って来ましたよね?好き勝手遊んでますよね?忙しくてティファに構ってあげなかったのはデズロ様の方では?」


「え!?まさかティファ・・・僕が居ない間毎日寂しくて泣いてたのかな?」


頭かち割りますよ本気で。

そんな訳ないでしょうが。

あの子も良い大人ですからね?それに、私やハイトや宿舎の騎士達も側にいますから、貴方の出番などありませんね?


「ごめんね?ゴルドの事で今色々調べてるからぁ〜また直ぐ出かけちゃうけどササラ寂しがらないで?寂しくなったらいつでも、魔術鏡で繋がれるからさぁ」


「そんな下らない事で大事な魔力を使わせないで頂きたい。ただでさえ忙しくて私は疲れているのですよ」


「え〜!寂しい癖にぃ〜ササラ素直じゃないなぁ。そんな所も可愛いんだけどね!僕の息子は可愛いなぁ」


・・・貴方ね。

一体私を幾つだと?

立派な成人男性に幼子相手に言うセリフを吐かないで頂きたい!ラットにまた呆れられますよ!


「・・・冗談抜きでさ。ササラ、もし何か少しでもおかしな事が起きたら必ず僕に連絡してね?前みたいに飛び込んで勝手に死にそうになったりしたら許さないよ?」


「・・・しつこいですねぇ。あの時の事はちゃんと謝りましたよね?それに、あれは緊急時でしたから。そうなる前に今度は連絡しますよ。あと、ティファの事もちゃんと気に掛けていますから・・・」


「うん!ティファも同じ事言ってたよ?ササラに何かあったら連絡くれるって!」


なんですかねそれ?

だから、私はティファより歳上で立場上彼女の義理の兄なんですが?何故、私が心配される側?


「あの子もちゃんとササラの事分かって来てるんじゃない?淡々としてる様に見えるけど、ササラ熱くなりやすいもんねぇ?ギャドと一緒にいるとギャドばかり目立つから皆気付いてないけど〜?パパ本当に心配」


あ。成る程?

貴方私を揶揄って遊びたいだけですね?

エルハド様もティファも構ってくれないから来たんですね?


・・・そうですか。


どうしてやろうコノオッサン。


「しょうがないですねぇ。少しだけですよ。で?何して遊びたいんです?」


「え〜そう来るかぁ。そうだね!じゃあ久し振りに空中輪くぐりでもする?」


「あんな子供の遊びをですか?」


本当に。

悔しいけれどこの人には敵わないですね。

いつだってこの人は私が欲しいものを与えてくれるです。


それも、私が抱えきれない程押し付けてくるんですよ?


「まっさかー?レベルアップバージョンに決まってるでしょ?二人じゃつまらないだろうから他の魔術師も呼んで来よう!因みに参加しない奴は減給だからね?」


なんの権限があってそんな事言ってるんですかね?

貴方そんなだから誤解されるんですからね?

素直に魔力強化の訓練に手を貸すと言えばいいものを、本当に・・・どうして放って置かれて少し拗ねていたとバレたんですかね?


未だに何故気付かれるのか私には分からないのですが?

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