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囚われの魔術師1

エルハドがデズロをサウジスカルに連れて来た頃の話。



「駄目だ。お前はここから出さない」


僕がサウジスカルに来て宮廷に住うようになってから数ヶ月、エルハドは一向に僕が外に出る事を許可しない。


「僕、暇なんだけど?」


僕はどうやらこの国の()()に呼ばれて、ここに連れて来られたらしい。


攫ってきたのは今僕の前で堂々と軟禁すると言い放った、この国の皇帝、エルハド・レインハートだ。


「ならば、宮廷内で出来る遊びにしろ。私はここから動けない」


本当にあきれる。

君、自分の立場分かってるのかな?


そもそも、どこの世界の皇帝が自ら他国に潜入して人を攫ったりするの?しないよ普通。


君はこの国で一番偉い人なんだから、自由に外出できないのは当然でしょ?


なんで一緒に付いてくる気満々なの?


「別にエルハドでなくてもいいよ。他の誰かを監視に付ければいいでしょ? 僕に逃げられるのが心配なんだよね?」


・・・エルハド。


駄目だよ。そんな顔しちゃ駄目。


「・・・とにかく、お前はここから出るな」


あーーーーーーっ本当に面倒。

エルハドってこんなに面倒な奴だったんだねぇ?

子供の頃からの付き合いなのに、全然気付かなかった。


そう。

僕とエルハドは子供の頃からの付き合いなんだ。


出会った頃、僕はエルハドを他国の貴族の坊ちゃんだと思ってた。目的が僕の能力だって事は知ってたけど、まさか他国の皇族が自ら僕を迎えに来るなんて想像出来る?


しかも、僕を連れて来る為に何十年も僕の所に通ってたんだよ?正気を疑うよねぇ?


「陛下。そろそろ謁見のお時間でございます」


「ああ。いいな? 決して宮廷の敷地内からは出るのではないぞ。あと、大樹の所に行く時は必ず知らせていくように」


エルハドの奴、隠す気がないのかな?

君僕の事そんなに構ってると僕が君の弱点だって勘違いされちゃうよ? あ、強ち間違いでもないのかな?


子供の頃のあーんなことや、こーんなことバラされたら恥ずかしいもんねぇ?


「・・・デズロ様、どうされますか?」


「え? 遊びに行くよ?」


「え、と。どちらに?」


ここに来て数ヶ月。

体力も大分回復したし、この国の状況もほぼ把握出来たから

ね? そろそろ行動しようと思うよ。


「今から言う材料を揃えたい。もし、揃えられないなら僕が自分で採りにいく。そうだなぁ?取り敢えず一週間猶予をあげるね? もし、その間ここに書いてある材料を一つも揃えられないなら僕はエルハドが激怒しようが構わずここを出て行く」


「デ、デズロ様?」


「分からない? 僕は今()()()()()()ここにいる。逃げようと思えば逃げ出せるんだよ? 僕がここは退屈だと判断したら、君達はエルハドが何十年もかけて連れて来た僕を失う事になる」


おやぁ? 随分と、顔色が悪いけど大丈夫かな?

お前らエルハドが気に入らないの丸わかりだからね?


僕に取り入ってエルハドの弱味を握ろうなんて甘い考えお見通しなんだよ?


「す、直ぐにご用意致します! どうか、そのまま宮廷でお待ち下さいませ!」



エルハド、お前どれだけ嫌われてるの?

僕本当に驚いたよ。


エルハドは、もっと周りの人間に愛されていると思ってた。



「お前、部下に何を命じたんだ?私に何も言わず 大人数で出て行ったが?」


「あ、お帰り〜! エルハド実は暇なんじゃないの? 仕事が終わる度に僕の所に来るのやめたら? 愛しの皇妃様が嫉妬しちゃうよ?」


「リンディはそんな些細な事は気にしないぞ? 私の選んだ女性だからな」


あっそう?

流石武闘派! 大らかだよね?でもさぁあの女、僕がここに来た時とんでもない発言かましてたよ?

カスバールの人間もかなり問題あったけど、サウジスカルはある種その上行くんじゃない?


どこの世界に自分の夫を恋人にしろと薦めてくる妻がいる?

僕ちょっと頭痛い。


「デズロ?」


僕、もっと君の事恨んだり憎んだりしてもいい筈だよね?

君が僕を見つけなければ僕はここに居なかったんだから。


「僕、子供を育てようと思うんだ」


「・・・それは、誰かを娶ると言うことか?」


驚いてるね? しかも、不満そうだね? 本人気付いてないけど。でも、エルハドは止めないよね? というか、止められる訳がないよね? 自分だって生き生きと子育て、してるもんね?


「さぁ? そのうち分かるよ。あと、僕明日出かけるからね?止めても無駄だよ」


「許可出来ない」


「エルハド」


「お前はここから出さない」


「無駄だよ。エルハドに僕は止められない」


「どうしても行くと言うなら、お前の手足をへし折る」


聞いた?この人 凄いよね。

こんな事言うなんて信じられないよ。


多分、これをコッソリ聞いてる奴等も驚愕だよね?


何? お前そんなに僕の事大好きなの?


「いいよ? カスバールで似た様な事された事あるしね? でも、僕は君には従わないよ?」


「ーーーッ」


だからさぁ? なんなのその顔。・・・はぁ。

しょうがない・・・ちょっと、方向性を変えようかな。




これ以上は、エルハドが壊れるかも知れないし。




「もう! エルハドはー!すーぐ思い通りにならないと暴力で解決しようとしてぇ〜怖いなぁ!」


「は?」


「実は養子を取ろうかと思ってるんだ! 僕の後継者。強い魔力持ちの子がいるって噂で聞いて、その子を引き取ろうと思ってる。子育てしてれば外に行かなくても気が紛れるでしょ?」


この前、君の部下達が話してるのちょーと盗み聞きしたんだ

けど、彼奴らお前と僕に対抗する為に強い魔力持ちを探して隠し持つつもりらしいよ? 一体そんな子達集めて何するつもりなのかなー?僕興味深々!


「・・・お前子育てなど出来るのか?」


「エルハドはアホなの?」


「ぐっ!」


お前、()がずっと弟と暮らしてたの知ってるだろ?

いい加減、往生際が悪い。


「・・・分かった。だが、その子供を連れて来たら直ぐに帰って来い」


あれ?

エルハド拗ねちゃったかな?

プリプリしながら出て行っちゃったけど大丈夫かな〜?

まぁ、これで少しは冷静になるでしょ?

アイツも馬鹿じゃない。僕が何をしたいのか勘付いたと思うんだけどな。


全くエルハド相変わらず頑固というか、僕をここに連れて来てから神経質になり過ぎだよね。


しかも、本人の自覚が全く無いときてる。タチ悪い。


「本当にへし折れば良かったのに、馬鹿な奴」


おっといけない。

思わず余計な事口走っちゃったね?


だってエルハドの奴、僕を手放したくなくて必死なんだ。

その為ならいつも手段を選ばないのに、なんであそこで躊躇うかなぁ?


・・・本当、馬鹿な奴。



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