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招かれざる神女(旧「5th」)  作者: 雨咲はな
Ⅶ.反骨の乙女
27/50



 当日の朝、手伝いとしてクーの部屋にやって来たのはマレだった。

 事前にキリクから聞かされていたので、そのこと自体には驚きはない。クーが意外だったのは、彼女の雰囲気が以前とはずいぶん違っていて、その違いが自分の思っていたのとはまったく別の方向を向いていたからだ。

 隠していた本音を一度剥き出しにしてしまった以上、彼女がもうここに来ることはないとクーは考えていたし、もしも来るとしても、その時には最初から不満をそのまま顔と態度に出しているのだろう、とも予想していた。

 もうバレているから誤魔化しはしないけれど本当は嫌で嫌でたまらないのだ……というように。

 それがどうだ。部屋に来たマレは以前のような無表情ではなく、全身を覆っていた不機嫌な空気も消し去って、時にぴくりと現れていた眉間の皴までがなくなっている。

 動きはどこかぎくしゃくしたものが残っているが、それは嫌悪からではなくて、緊張から来るものであるらしかった。

「それでは、こちらのお召し物に」

 と、衣装を差し出すその仕草に、少しでも触れたら熱湯がかかったかのようにすぐ引っ込める、という神経質なところはもうない。

 声の調子にも、相手の心をちりちりと引っ掻くような、尖った針は含まれてはいなかった。もっと言えば、少しぼんやりした言い方だ。瞳も何か別のものを見ているようで、機械的に口と手は動かしているものの、たとえばここにいるのがイレイナでも、彼女にとってはあまり関係ないのではないかと思わされた。

 反省した、考え方を変えた、態度を改めた──というよりも。


 他のほうに意識を取られていて、それ以外のことは上の空になっている、というように見える。


「……?」

 クーは首を傾げながら、渡された衣装を受け取った。

 一体、マレの心境に、どんな変化が起きたのだろう。

 何が理由で?

 いろいろと想像を巡らせてみたのだが、閉じられた扉にちらちらと視線を向けるマレを見ていたら、あまり面白くない答えがはじき出されそうで、クーは途中で考えるのをやめた。




 今度の衣装は、少々窮屈だった。

 丈や幅が合っていない、ということではない。それを言うならサイズはあまりにもぴったりすぎて、気恥ずかしいくらいだ。

 光沢があり滑らかで柔らかい生地は吸い付くように肌に密着して、着心地はいいが身体の線がかなり露骨に出る。栄養の行き届いた食生活のおかげで、最近は少し肉がついてきたとはいえ……いやだからこそ、胸の膨らみや腰から下の部分の丸みが強調されているようで、なんとも居たたまれない。

 だから動きも制限される。

 鏡を見て、なるほど、だからケープがついているのだなと納得した。それがなければ、なかなか外に出ていく度胸が湧かなかっただろう。クーでもこうなのだから、サンティあたりは大変扇情的に仕上がって、また衛士たちの鼻の下をでれりと伸ばしそうだ。


 髪を緩く結い上げて、シャランとかすかに音が鳴る棒状の耳飾りをつけ、化粧を施してもらえば、鏡の向こうにいるのは、普段のクーとはまるで別人になっていた。


 いつものことだが、感心してしまう。女っていうのは、薄い皮一枚を増やすだけで、よくも化けるものだよなあ。

 それとも、これが普通の「十七歳の娘」としての姿なのだろうか。もしもユウルが生きていれば、クーは今とはまったく別の人生を歩み、スカートを履いて、化粧をして、女の子らしく素直に笑えていただろうか。

 ……その時は、誰が自分のそばにいたのだろう。

 少しの間、無言で鏡の中の娘と睨めっこをしてから、立ち上がった。そんな埒もないことを考えていたってしょうがない。過去に「もしも」をつけたところで、現在には何の役にも立たないことは、嫌というほど知っている。



 ずっと同じところに立ち止まっていたクーは、カイトとキリクに提示された新しい道を進んで、ここまでやって来た。

 そのことに、後悔なんてない。

 ──これからどこに向かっていくのかは、自分次第だ。



「お支度は終わりました。外にいるお二人をお呼びしても?」

 マレが訊ねてくる。これもはじめてのことだ。今までは、「衛士を軽々しく中に入れるなんて」という内心そのまま、露骨に渋々といった感じで扉を開けていたものだが。

「……うん」

 なんでそんなにソワソワしてるんだよ、と出しかけた言葉を呑み込んで、クーは頷いた。

 非常に面白くない気分で、廊下にいる二人が入ってくるのを待つ。

 マレが扉を開けて、「どうぞ、お入りください」と少し上擦ったような声をかけるのを耳にしたら、その気分はさらに増加した。彼女のそんな声、今まで聞いたことがない。扉の外の「誰」に向かって言っているのだ。

 無性にカイトの足を蹴飛ばしてやりたい衝動に駆られたが、残念ながら、このドレスでそれが可能かどうかを検証するヒマはなかった。

 扉を開けて入ってきた二人を目に入れた瞬間、思考が一時停止したためだ。

 誰だ、とまず思った。次に、心臓がひっくり返りそうになった。服装でガラリと印象が変わるのは、なにも女性に限ったことではないのだ、とも気がついた。

 衛士の正装をしたカイトとキリクは、それほどまでに別人のようだった。


 上から下まで真っ白な衣装のクーとは正反対に、彼らは上から下まで真っ黒だ。

 かっちりした立襟、両肩には房飾りがついて、片側には細い紐状の飾緒が三重の輪になって連なり、腰に向かって金色のサッシュが斜めに走っている。

 すらりとしたタイトな上半身はベルトのところに剣を帯び、長めの裾からはゆったりとしたズボンに包まれた長い足が伸びていた。

 制帽の下からはそれぞれ金色と褐色の髪が覗き、背中に垂れる漆黒のマントは、裏地の真紅がやけに鮮やかで、目を奪われずにいられない。


 クーはなかなか活動を再開しない頭で、必死になって考えた。こういうの、なんて言うんだっけ? こんな時、ぴったりと当てはまる言葉があったはず。

「──素敵ですわ」

 その時、ほうっとした息と共に、マレがうっとりと感嘆するように呟いた。

 それを聞いて、クーも思い出した。そうそう、それだよ。以前、母さんもそう言っていたじゃないか。

 素敵な方たちだったわね、と。

 あの時はまったく共感できなかったその言葉が、今になってすとんと腑に落ちるように理解できた。

 なるほど、確かに。



 こうして見ると、二人とも、顔立ちも姿も、確かに「素敵」だ。



 これまでは自分と同じような、素っ気なく地味な制服姿だったから、あまり意識しなかった。そもそも、そんなにまじまじと「そういう目」で見たことがない。

 でも、改めて客観的に二人を見てみると。

 キリクは文句のつけようのない美形だし、カイトは端正で精悍な容貌をしている。どちらも背が高く、引き締まった体格はその颯爽として凛々しい衣装にぴたりとはまり、思わず見惚れてしまいそうなほどだった。

 こうして、いつもと違う姿になってはじめてそんなことが判る自分は、もしかしたらとんでもなく間が抜けているのかもしれない。

「…………」

 そしてそれを自覚した途端、いきなり顔が赤くなっていく自分に気づいた。耳が熱を持って、頬が火照りだす。クーは慌てた。今さら、何を照れているのだ。

 笑って軽口でも叩いてやりたいのに、なかなか声が喉から出てこない。


「やあ、今日も素敵だね、クー。大人っぽくて、とても魅力的だ。人を惹きつけずにはいられない、光の妖精みたいだよ」


 内心であたふたしているクーに気づいているのかいないのか、いや間違いなく気づいているに決まっているが、キリクがいつものようにニコニコして、さらりとそう口にした。

 その格好で歯の浮くようなことを言うな、と筋違いのところで怒りを覚えてしまう。余計に照れるだろ!

 何か言わなくちゃ、とますます焦る。みっともないところを見せて、キリクに遊ばれ、カイトにからかわれるのは真っ平だ。

 何か──何を?

 顔を赤くしたまま混乱しきってカイトに目を向けると、そちらはそちらで、まっすぐ立った姿勢を動かさず、こちらを見返していた。

 制帽の下の表情が固い。やはりお互いに慣れない服装で、気まずいのだろうか。

「クー」

 名を呼ぶ声は少し裏返っていた。そこには、常にはない緊張が乗っている。だからその格好で、じっとこちらを見つめるんじゃない、どうすればいいのか判らなくなるだろ! とクーはカイトを蹴りつけてやりたくなった。

「な……なに?」

 心の中の乱暴な叫びとは真逆に、実際に出たクーの声は弱々しいほどに小さい。視線はどうしても下に向かいがちで、カイトと目を合わせるのも難しいくらいだった。


 どうしてこんなにも、うるさいくらいに鼓動が高鳴ってるんだ?


「──その」

 カイトが口ごもって、黙り込む。

 ここでようやくクーも、ん? と不審を抱いた。自分も大概いつもの調子が出ていないが、カイトのほうこそ様子がおかしくないだろうか。よくよく気づいてみたら、袖口から出ている両手が、ずっと握ったり開いたりを繰り返している。

 そして口のほうも、開いたり閉じたりの、奇妙な動きをしている。

「クー、あのな」

「う、うん?」

「その、なんだ、この間は上手く言えなかったが、」

 こいつも耳が赤くなってないか?

「き」


 き?


 カイトはその一言を出してから、こんどは身体の動きを止めてしまった。もごもごと口の中で何かを言って、きりっと眉を吊り上げる。

「きっ……! き、き、今日は、ちゃんとやれるように、頑張れよ!」

「……うん」

 よく判らないまま、クーは困惑混じりに返事をした。なんでカイトは、こんなに怒っているのだろう。

 カイトがどっと疲れたように両肩を下げて、大きな息を吐き出す。

 キリクは何も言わなかったし笑いもしなかったが、不憫な子供を見る母親のような目をカイトに向けていた。




          ***



 アリアランテ神国宮殿は、三階建ての巨大で壮麗な建物だ。

 横に伸びた長方形の両端には、高くそびえる塔が併設されている。その輝く乳白色の建築物がどんな石で造られているのか、棄民の街で生まれ育ったクーは知らない。神女候補にならなければ、死ぬまでこの目で見ることもなかっただろう最上質のものだった。

 宮殿の前には、衛士とは違う制服を着た男たちが、門番として立っていた。

 神殿の警備や護衛をする者を衛士と呼ぶ、とキリクは言っていたのだったか。だったらこの男たちも違う呼称を持っているのだろう。あとで聞いてみるかな、と頭に書きつけて、クーは他の神女候補たちに続いて正面扉へと通じる階段を上った。

 何もかもが大きい宮殿は、入り口も神殿の倍くらいはあった。縦も横もとにかく幅広い。こんなんじゃ扉を開け閉めするのにも一苦労だろうに、と思いながら、足を動かす。

 そして、その入り口を通った瞬間。


 妙な違和感を覚えた。


 ぞわりと背中を冷たいものが撫でていくのに似た嫌な感触が走った気がして、小さく身震いする。

 何か──目には見えない、透明な膜を通り抜けたような。

 咄嗟に他の神女候補たちを見たが、クー以外には誰一人、その奇妙な感じを気にしたような様子はなかった。

 イレイナを先頭に、ロンミもサンティも、まっすぐ前だけを向いてしずしずと進んでいく。足を止めることも、周囲に目を向けることもない。表情が強張っているのは緊張しているからで、クーと同じようなことを思っているわけではないようだ。

 カイトとキリクはどうなのかと気になったが、今この時に自分だけ後ろを振り返るのはまずいだろう、となんとか我慢をした。

 それでなくとも、宮殿内は静まり返っていて、空気がぴんと張り詰めている。壁に沿ってずらりと並ぶ制服の行列は、まるで監視するように、こちらの一挙手一投足を注視していた。

 なんとなく、彼らの目には、決まった動きから外れたものを徹底的に排斥しようというような、偏狭さがある。

 そうしているうちに、一瞬覚えた違和感は、すぐに消えてしまった。あとはひたすら、美しい大広間に響く自分たちの靴音があるばかりだ。

 ただの気のせいだったのかな、と思うことにして、クーは小さな息をついた。



 進んでいくごとに、面倒くさい通過儀礼めいたものをこなさなくてはならなかったが、クーはなんとかそれらを無難に切り抜けた。鬼教官キリクのおかげである。

 広大な宮殿は、歩いても歩いても教皇の元になかなか到着しない。その上、どこかの扉を開けるたびに、いちいち先導が話をしたり、腰を低くしたり、挨拶を返したりしなくてはならない。しかも歩く速度がうんざりするくらいのろいので、時間は過ぎるが一向に距離は進まない。

 クーはだんだん嫌気が差してきた。神民というのは、どうしてこうも時間を無為に消費するのが好きなのだろう。やることがなくて暇すぎるからか。働け。

 そしてどうしてこんな回り道をさせる必要があるのだ。どう考えても、もっと最短の距離があるはず。勿体ぶって、わざわざ遠回りさせているとしか思えない。

 ……迷路でもあるまいし。

 心の中でさんざん宮殿を罵倒しながら何回目かの扉を通って、ようやく。


 教皇のいる「玉座の間」へと辿り着いた。



          ***



 玉座の間は広かった。それにおそろしいまでに豪華だった。柱の一本一本に、梁という梁に、窓枠にさえ、精緻な彫りが施されている。高い天井には一面に絵が描かれ、床は鏡のように輝いてそこを通る人間をあからさまなほどに映し出し、壁は一点の曇りもなく窓から射し込む光を受けて煌めいていた。

 重厚な扉の正面奥に、三段ほどの階段があって、その台座の上にこれまた装飾豊かで豪奢な椅子が置かれている。

 台座の四隅には柱が立ち、大きな天蓋を支えていた。その天蓋から、艶のある布地の房付きの幕が降りている。その幕は後方と両横の三方は床につくまで垂れて覆っていたが、前だけが半分ほど上がっていた。

 椅子に腰かけた人物の姿が、その開いた下部分だけ見える。

 白銀の祭服をまとっている。その上に長めのケープ。なるほど、今日の自分たちの衣装は、これに合わせたものらしい。しかしその衣装には金糸銀糸で細かい刺繍がされているようで、光を浴びて虹色にきらきらと輝いていた。

 左手は肘掛に置き、右手には長い杖を持っている。


 ──あれが、ソブラ教皇。


 神女候補のうちの誰かが息を呑む。

 クーの隣にはサンティがいるが、彼女の指先はさっきからずっと震えたままだ。まっすぐ目線をそちらに向けるのは許されない、とのことなので、みんななるべく下を向いているが、どの顔にも緊張を上回る興奮が見えた。


「神女候補たちよ、前へ」


 よく通る声が響く。

 クー以外の神女候補たちが一斉にビクッと身じろぎした。耳で聞くだけでは年齢などは判らないが、司教よりは若いのではないか、という気がする。

 同行した司教に促され、四人の足がゆっくりと前へと進んだ。玉座の近くまで行って、それぞれが膝を折って跪く。

 はっきり言って、本意ではない。神民たちはともかく、どうして神に棄てられた棄民のクーまでもが跪かねばならないのだと、不満でいっぱいである。恩恵を受けている立場でもない者が、なぜ頭を垂れねばならない?

 とはいえ、ここで一人だけ立ったまま、という行為がどんなことを指すのかくらいは、クーにだって判っている。玉座の間には、左右両側に、帯剣をした制服姿の男たちが並んでいた。下手な真似をすると、あの剣がこちらを向くか、そこまではいかなくても、拘束される程度のことは覚悟せねばならないだろう。

 後ろに控えているカイトとキリクは、きっとハラハラしながらクーを見ているはずだ。神女候補の咎は、もちろんその衛士たちにも及ぶ。

 クーは大人しくその場に跪いた。


「よくぞ参った。そなたらは水晶に選ばれし、女神リリアナの愛し子たちだ。これより百年のアリアランテ神国を支える礎となることを許された者である。喜べ、誇れ、自らの栄誉をしかと胸に刻むがよい」


 クーを除く神女候補たちが、感極まったようにさらに頭を下げた。


「もう知っていると思うが、すでに一人、正式な神女が決定した。声の神女モリスは、宮殿内で何にも煩わされることなく、静かに心穏やかな毎日を送っている。神女モリスは女神の力を得て、そなたらよりも一足早く、この俗世を離れたのだ。これからは人とは別の世界を生きることになろう。素晴らしいとは思わぬか。神女モリスは、誰よりも早く正式な神女になれたことを、この上ない幸福だと申していたぞ」


 サンティの白い手が、床の上でぐっと握られたのが見えた。

 顔は伏せられているが、今度は指ではなく肩が小さく震えている。神女になったモリスの幸福を一緒に喜んでいる……とは、とても思えない。

 ギリ、と誰かが小さく歯軋りする音が聞こえた。

 ここにいる神女候補たちは皆、知りたいことがたくさんあるはずだ。しかし教皇に直接声をかけるのは禁じられている。

 一方的に言葉をかけるだけで、人の声には耳も傾けない。それが神というものなのだろうか。だから女神リリアナは、棄民の苦しむ声、悲しむ声を聞こうともせず、自分の守りたいものだけを守っているのか。

 だったら棄民は、一体誰に向かって、救いを求めればいい?


「国民への発表は、正式な神女がすべて揃ってからとする。そう遠いことではあるまい。その時、神都は喜びに沸き、神女の誕生を誰もが祝福するであろう。そなたらは神殿にて、次の水晶のお告げを大人しく待つがよい。──神女モリスのように、な」


 付け加えられた一言には、どこか皮肉げなものが混じっていた。

 クーは閃くように悟った。

 教皇は知っているのだ。神殿内で、モリスが他の神女候補たちにどんな目で見られ、どういう風に過ごしていたのかを。

 肩身の狭い思いをして小さくなりながら、引き攣ったような笑いを浮かべて他人におもねることでようやく自分の居場所を見つけようとしていた、弱い娘のことを。

 くしゃりと歪んだ、モリスの顔を思い出す。

 だったらなぜ、衛士たちを辞めさせた? それを本人が希望したから? だとしたらなおのこと、止められるのは教皇しかいなかったではないか。

 今まで自分に付いていた衛士たちを、もう要らないとばかりに放り出したって、気が晴れるのはほんの一時のことだ。モリスはその後、さらに何倍も一人きりになる。誰も許せず、誰のことも信じられず、孤独は深まるだけ。

 そんなことさえ、判らなかったのか。判っていても、放っておいたのか。

 せめて、顔を合わせて言葉を交わす機会くらい、いくらでも作ってやれただろうに。

 モリスを神殿から引き離し、神女候補たちの焦慮を煽るようなことばかり言って、幕を隔てた向こうから、面白いものでも眺めるようにこちらを見ているソブラ教皇。

 クーは顔を下に向けながら、目だけを上げて玉座の方向に向けた。



 ……「神の代理」?

 いいや、違う。

 あそこにいるのは間違いなく、人間だ。





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