「リアルにおける『気』について」
「リアルにおける『気』について」
・出演者
『セン』
「リーダー」「根性の鬼」「厨二」「シューリを愛している」
『シューリ』
「赤ちゃん言葉」「女神」「性悪」「センを愛している」
『トウシ』
「関西弁」「天才」「相槌担当」「なんだかんだ一番常識人」
「結論から言おう! 『気』とは『人が動いている理由』の中で、まだ『解明されていないもの』の総称である!」
「今回も、また、ずいぶんとザックリとした結論やなぁ……」
「ちなみに、これから俺が語っていく『気』は、『東洋医学の観点』でいかせてもらうつもりだ」
「ま、お好きにどうぞ」
「まず、東洋医学で言うところの『気』は『万物の根源』だ」
「……うさんくさい表現やなぁ。スピリチュアル感が満載やないか」
「そう。東洋医学は胡散臭い。胡散臭い学問が基盤だから、当然、その中枢である『気』もうさんくさいと感じてしまう。現代だと、ドラゴ〇ボールが『気』の概念を前面に押し出したから、まだ、馴染みがあるが、もし、ドラゴ〇ボールがなかったら、『気』という概念に対するイメージは、もっとヤバかっただろう」
「気功がどうこうって、触らずに相手を投げ飛ばすとかいうアレ……胡散臭すぎて、見てられへんもんなぁ」
「だが、『定義』を知れば、胡散臭いという感想は消えてなくなるはずだ。だって、胡散臭い要素などないから」
そこで、センはコホンとセキをはさみ、
「結論でも言ったが、『気』とは『解明されていない部分』の総称。かつて、人体の解剖・生理・病理に関して、まったくわかっていなかった時、それでも、『体系づけ』をしようとした際に、『中核』となったのが『気』だ。今では、原子や素粒子と名前付けられているものは、かつて、『気』としてくくられていた。細菌やウイルスなんかも『気』として処理されていた時代がある」
「……『まだわかっていないもの』を、いったん『気』と名付けて取り扱おう……そういう感じやったんやな」
「その通りだ。ゆえに、胡散臭いことなどない。数学でいうところの『エックス』や『アイ』みたいな記号と同じ。ゆえに、『気』を『理解している』などと宣言して金儲けしているやつは、全員、胡散臭い。だって『わかっていないもの』を『わかっている』と言い張っているわけだからな。当然、うさんくさくて仕方がない。もちろん、もしかしたら、一般人では見えない何かが、そいつの目には見えている……という可能性も、ゼロじゃないだろうが、しかし、大半は、ただの詐欺師だろう。そういう詐欺師のせいで『気』という概念が、もろとも胡散臭くなってしまった」
「気の側からした迷惑な話やな」
「ここで、現在『気』として扱われている作用の一つ、『推動作用』に着目したいと思う」
「推動ねぇ……」
「漢字を見て分かると思うが、ようするに、体の中の生理物質を動かすためのエネルギーだな。今回は、誰でもイメージできるように『血』を例にしてみよう。生理学的・解剖学的観点で見た時、『血』を動かしているのは、心臓だ。しかし、心臓はどうして動いているのか。そこに関しては、まだわかっていない」
「活動電位が伝わって、カルシウムイオンの濃度が高まることで心臓は収縮している」
「ありがとう、天才くん。しかし、なぜ、活動電位はおこる?」
「刺激を起点として、ナトリウムイオンチャネルが開くから」
「お前が言っている理屈は全て、『根源のなぜ』を説明していない。そもそも、なぜ、人体の中で、活動電位という現象が起こるのか。死んだら、どうして、その辺の機能が停止するのか、そういうところは解明されていない。もちろん『こうだろう』というおおよその推測はたてられているが、推測の段階から脱していない」
そう前を置いてから、
センは、
「――あえて、逆のベクトルから聞こうか。トウシ。死んだ人間の臓器は、なぜ動かない?」
「酸素不足になって『構成要素である細胞』が死ぬから。細胞はヘモグロビンで呼吸をしている。人間全体も、臓器単体も、息が出来なければ死ぬ。当たり前の話」
「ならば、臓器の細胞を完璧に再生させれば人は生き返るか?」
「現状、細胞の完璧な再生は出来ないから不明」
「ならば、予想でいい。生き返ると思うか? 死んだあとに、体のパーツを、すべて、完璧なものに入れ替えたら、蘇生すると思うか?」
「……いや、おそらく生き返らない」
「なぜ、そう思う?」
「……なんとなく」
「その『なんとなく』に名前を付けなければいけない時、『気』が役に立つ。人が生きているのは『気』が巡っているから。死ぬと、その『気』が完全になくなってしまうから。だから、いくら、臓器だけを新品に取り換えても、生き返れない。どんなに完璧なレストアをしても、『電気』がないと、パソコンは動かない……みたいなものかな」
「その理屈でいうと、気を補充できれば、生き返ることが出来そうやな」
「補充できればな。ただ、気というものが補充できるものなのかどうかが不明だから、科学的にどうこうするのは、現状だと無理だ」
と、そこで、シューリが、
「コスモゾーンが魂魄を回収するから、人力で、いくらエネルギー源を補充しても無駄でちゅ。反魂の神聖式で、コスモゾーンと交渉しない限り、命の蘇生は不可能でちゅよ」
「……いや、うん……まあ、俺らの『世界線』では、そうなんだけどぉ……今は、コスモゾーンがない『世界線』だったらという、仮定の話をしているんですよ、シューリさん……」





