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異世界系テンプレに対して思うことを色々と

 興隆を極め、流行る流行らない以前にもはや投稿小説のいちジャンルとして定着している異世界もの作品。

 今回はそんな異世界もの作品におけるテンプレという、擦られ続けて既に塵になってそうな話題について書いていこうと思います。


 そんな異世界ものにおけるテンプレに対する自分の認識ですが、粗製乱造を招いた点を考慮しても非情に優れたシステムだと思っているので肯定の立場です。


 まず読み始めるハードルが低めなのが嬉しいです。

 長所と短所は表裏一体と言いますか、展開の予想がつくのは逆に読み始めやすいということでもありますからね。

 転生(転移や召喚含む)→状況説明or現状把握→行動開始、的な導入の流れはもはや伝統芸能の域だと思います。


 ただこの一連の流れの内に読者の気を引ける雰囲気や設定などを盛り込めないと無慈悲に切られるので、母数が多いこともあって序盤が重視される投稿小説界隈においても特に瞬発力を求められるジャンルだと思いますね。

 またそこでグッと堪えて読み進めるために必要なのが「あらかじめその作者さんのことを知っている」とか「その作者さん他作品の文体が好き」みたいなある種の外部要素なのが難しい所です。


 あとこれは昔から連綿と積み上げられてきた物なので異世界テンプレだけの功績ではないと思うのですが、スキル(チート)関連、冒険者&商業ギルドなどの組織関連、仕事や依頼などのクエスト関連など、現実に即した設定では無いのに物語を構成する要素が理解しやすいというのも良いですね。


 これらに対する「テンプレに明るくない人には普通に分からない」という意見も目にしますが、これについてはその人の書く作品ではその作品内における独自単語や設定を分かりやすく&読み進めるテンポを損なわないように説明したらいいのではないか? としか思わないですね。

 そういう人は多分テンプレ使わないんでしょうけども。


 そして一番重要だと思うのが、テンプレは作者さんごとの独自要素を盛り込むことに特化したシステムなので、作者さん自身に「テンプレを通して何を表現したいか?」という確固たる意図が無いと作品が全く面白くならないという点ですね。

 多分(読む側の好みの問題を除いて)面白くないテンプレ作品って大抵ここが問題なんじゃないでしょうか。

 戦闘、生産、人脈、内政etc。何の要素を作品のメインに据えるにしろ、上記で挙げたテンプレ要素全てをメイン要素を引き立てる方向に寄せていく必要があると言いますか。


 なので書き始めやすさやライトさに反して、主人公が置かれた(巻き込まれた)状況で起こるイベントに不自然さは無いか? とかイベントに対する主人公や周囲の反応に不自然さは無いか? みたいな読者を立ち止まらせず引き込み続ける物語作りの能力が試されるのが面白いですね。

 あれ、テンプレ書くのクソ難しくないですか???


 こうして色々書いてたらテンプレって空手や柔道みたいな物じゃないかという気がしてきました。

 大枠としてどんなものかは多くの人が知っていてそれっぽい動きを真似も出来るけど、実戦で武術として活かせるかは個々人の身体能力(発想力)や技術力(文章力)に依存するみたいな。


 空手を使う弱い奴は居ても空手自体が弱い訳じゃない。

 これ自体は当たり前のことだと多くの人が認識出来ると思うのですが、他のジャンルや要素になるとこれと同じようなことを頑なに主張し始める人って居ますよね(毒)。




 ①「異世界テンプレは『書きたい物を表現する』手段として優れたシステムである」

 ②「しかし『書きやすさ』と『ジャンルとしての規模の大きさ』に釣られた作者により粗製乱造が起こってしまった」

 ③「その結果作品が探しづらくなった読者やワリを喰った作者による反テンプレの機運が高まってしまった」

 ④「それでも表現の手段としてやはり優れたシステムであるのは変わらない」

 以上を踏まえて。

 書きたい物を書くために利用する。そのために採用する設定の取捨選択が行える。この二点を適切に行えるならやはりテンプレは強い味方となってくれるシステムだと思います。


 今や悪役令嬢ものやダンジョン配信ものなど何かしら新しい流行が生まれ追従作品が生じる度にテンプレも新たに発生し、その中でも知名度の高い設定やそれまでよりも合理的だったり優れた設定を採用しつつ今も改訂や更新をされ続けています。


 功罪も多いけれども、多くの人が絡むからこそ生じている流動的な状況の帰結がテンプレだと思うと何とも面白いものだなあと思うのでありました。

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