第三十三話 国債
1893年 (明治26年) 10月
前回から3年が経った。その間に陸軍に小銃が採用されたりした。
冬に入り寒さが日に日に増してくるある日、市太郎は時の首相伊藤博文にある料亭に呼ばれていた。
「伊藤先生、遅くなってしまって申し訳ないです。」
市太郎が申し訳なさそうにそう言った。
「気にせんで下さい。…ささ、どうぞお座り下さい。」
「では、失礼して。」
その後、少しばかり市太郎と伊藤は談笑した後に、本題に入った。
「田中さん、清との戦争が近いのではご存知ですよね?」
「ええ、勿論です。…世間は戦争で不景気にならないかを気にしていますよね。」
「ええ、その清との戦争の戦費が少しばかり足らなくてですね。…田中さんに、国債を買って頂きたいのですよ。」
「…いくらほどでしょうか?」
「そうですね。…五百万円(500億円)ほどですね。」
「…流石にそんな大金は…。」
「ほう。…国債を買って頂けないのであれば、我々政府は鉄道庁の味方をするつもりですよ。」
「…伊藤先生、これは脅しですか?」
「いえいえ、忠告ですよ。」
伊藤は暗微笑をしながらそう言った。
「…分かりました。…ただし、清との戦争に買った暁には、講和条約に清国内における鉄道敷設権と鉱山採掘権を条約に盛り込んで下さい。」
「…まあ、いいでしょう。…良い返事聞けて良かったですよ。…それでは、用事が御座いますのでお先に失礼しますね。」
伊藤はそう言って部屋を出ようとした時、思い出したように言った。
「ああ、そういえば山縣が君に宜しくと言っていたよ。」
「え?」
市太郎が慌てて出口を見たが、そこにはもう伊藤の姿はなかった。
山縣と伊藤が犬猿の仲であることは当時、有名な話であった。
その、伊藤から山縣と暗に繋がっていると言われたので驚くのも無理はない。
市太郎は、伊藤から山縣との関係をカミングアウトされた理由を少しばかり考えるが、彼らのような天才の考えることは分からないと諦めた。
代わりに、多額の国債を買わされた事をどのようにやり返そうか、考えるのだった。
そして、その市太郎の仕返しが伊藤博文との関係が深くなる原因となるのであった。
だが、そのことを知る者はまだ居ない。
忙しくて一昨日と昨日投稿出来ませんでした。_:(´ཀ`」 ∠):
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