円卓会議
アリステル視点
「とは言え…」
姫と話し合った結果、白いワイバーン騎士の抹殺を実行する事になったが…。
白いワイバーンのあの見事な退き際…
敵わないと判断したら、即座に撤退。
そして情報だけはしっかり持ち帰る。
白いワイバーンが去って小一時間。
すでに帝国に俺たちの情報は知られてしまったと見るべきだろう。
もしそうなら白いワイバーン騎士の口封じをしても意味がない。
「帝国と戦争になりますか?」
ネレイが俺に訪ねてくる。
戦争が始まる。それは姫が最も避けようとしていた事だ。
「そうですね…他国の姫が自国の大切な戦力に傷を付けたわけですからね。戦争を仕掛ける大義名分にはなるでしょう」
「なら、俺がサクッと皇帝を暗殺してくるぜ」
「いえ。今、皇帝に死なれると困ります」
姫の話によると帝国はいくつもの蛮族をまとめ上げ、取り仕切っているらしい。
その帝国の皇帝が死ぬと後継問題で内紛が始まり、それに伴い弱体化した帝国に属国が反旗を翻し、大陸中に戦乱の炎が広がってしまうらしい。
「帝国は敵国ですが、蛮族からの防波堤でもあるのです」
「なるほど」
しばらく考え込む姫…
「今回は、我が同盟国であるカラバ国に帝国の象が攻撃を仕掛けた報復措置という事にしてしまいましょう…もちろんアリス様のお手を借りられるならばの作戦ですが…」
姫様の作戦はこうだった…
「先に手を出したのはお前らだからな!悪いのはそっちだからな!!」
で押し通す事になった。
◇◇◇◇
第六皇女エターシャ視点
深夜に及ぶ円卓会議。
帝国を支える重鎮達が集まっている。
議題はアリステルをどうするか?だ。
「姫の話が本当なら勝ち目はありませんぞ!」
「巨象部隊を壊滅させ、ワイバーンを暗殺できる戦士がランバード王国にいるとは…」
「しかも火竜を一人で倒したと言う噂話は事実である事が判明しました!」
「バカな…」
「それはたった一人で数万の軍隊以上の戦力だという事ではないか!!」
「これ以上、損害を出さないためにも暗殺でもなんでもすべきです!!」
「だから、そんな化け物を誰が暗殺するんだ!?」
火竜よりも強い人間サイズの化け物。
こんな 化け物が帝国内に侵入してきたら、間違いなく帝国は崩壊するだろう。
「もっとアリステルの詳しい情報はないのか!?家族構成とか!!」
軍事大臣が大声を張り上げる!
「あいにく、天涯孤独の身でね…人質にできそうなヤツはいないよ」
「ならばヤツの同族であるバニーガール族を肉壁にして防御陣地を構築…」
「…て…お前は誰だ?」
軍事大臣が、いつの間にか私の隣の席に座っていたエプロンドレス姿のバニーガールに質問する。
まるで幽霊のように現れた少女に戦慄する重鎮達。
「お、お、お前は…」
震える声で問いただす我が父ラインハルト。
そこに座っていたのは…
まるで空気のように現れた 化け物だった。
「くくく…俺の為に夜遅くまでご苦労」
邪悪な笑いを浮かべるバニーガール。
「アリステル…レ…ステル…」
私はかすれる声で、それだけ絞り出す事ができた。
なんで?帝国でもっと奥深く安全な城内にアリステルが!?
どうやって?
衛兵達はどうしたの?
頭が混乱する
「す、姿写しの魔法か!!」
「ブッブー!実体です」
慌てて三人の近衛兵達が剣を抜刀しアリステルに斬りかかる。
パシッ!
正面から振り落とされた剣を指の間で挟み…
パキッ!
いとも容易く鋼の剣を折ってしまうアリステル。
さらにその小さな拳や蹴りでフルプレートアーマーで身を固めた騎士達全員を殴り飛ばし昏倒させてしまう。
「な…」
言葉を失う私。
腰を浮かし逃げ出そうとする大臣や貴族。
しかし唯一の出入り口の前にはアリステルが立ち塞がっている。
「今回は警告だ。これ以上我が同盟国カラバに手を出すなら次に失うのはペットだけじゃ済まないぞ?」
そう言い放ち、円卓会議室からまるで何事もなかったかのように堂々とドアから出て行くアリステル。
「あ、あれがアリステル…」
ただ私の隣に座っていただけ。
ただそれだけなのに、その威圧感で私の身体は石のように動けなかった。
「陛下ぁー!!ご無事ですか!!!」
アリステルが去ったドアから駆け込んでくる執事のセバスチャン達。
「あ、あぁ…俺は無事だ。」
「よ、良かった…陛下のベッドにナイフが突き立てられていまして…」
涙を流すセバスチャン。
「くっ…アリステルめ!俺をいつでも殺せると言う事か!!」
円卓に拳を叩きつける父。
私達はとんでもない化け物と敵対してしまった…
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