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異世界に転生した平凡な私の非凡な日々~ドラゴンさんに懐かれました。  作者: もり


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89.空から人が!

 

 麒麟ほどの力を込められた魔法陣を破壊するなんて、やっぱりミヤコちゃんはすごいなあ。

 ってちょっと待って。


「ねえ、アウル! これ、破壊しちゃって大丈夫だったのかな!? 呪い返しとか、ミヤコちゃんに悪影響はないかな!?」

『これは呪詛のような類のものではないから大丈夫である。それに呪い返しとは呪術者に返るものであって、この場合危険なのは麒麟なのだ』

「麒麟が危ないの?」

『いや、だから大丈夫だと申しておる。それに何かあったら余がミヤコを、その……守ってみせるからな』


 よかった。

 私の浅い知識でミヤコちゃんが危険かと先走ったけど、大丈夫みたい。

 ていうか、アウルってば、大胆なこと言ったよ。

 だけどミヤコちゃんには通じなかったみたい。


『我はそなたに守ってもらわずとも大丈夫だ。我のほうが強いのだからな』

『い、今のは気持ちの問題なのだ』

『気持ちなど必要ない。必要なのは力である』

「ああっ、そうだ! アウル、もうここには魔獣は来ないのかな? 他の場所にも文様があるのなら壊さないとダメだよね!?」


 ミヤコちゃんに悪気がないのはわかる。

 わかるだけに聞いててつらいよ、この会話。


『ふむ。我には力はあるが、このような文様だの気脈についてはわからぬ。だからアウルは我より弱くても立派なのだ』

「ミヤコちゃん……」


 落ち込んでたアウルの顔がぱっと輝いた。

 すごいよ、ミヤコちゃん。

 そっち方面には鈍感で空気がちょっと読めないけど、ちゃんと自分でフォローするんだから。


『す、全てではないかもしれないが、ひとまず余が見つけた魔法陣をミヤコに破壊してもらってもよいか?』

『うむ。当然である』


 もしアウルが子犬だったら、しっぽがぶんぶん揺れてるよね。

 今でも幻のしっぽが揺れて見えるくらいだもん。


『なんだ、ドラゴンと白澤の争いはもう終わりか?』

「争ってなんかないし! ってか、まだいたの?」


 他のみんなはミヤコちゃんたちが話してるときは黙っててくれたりするんだけど、権兵衛まで黙ってたなんて驚きだよ。

 風じゃなくて空気になってた。すごい。

 とはいえ、ドラゴンと白澤の争いなんて恐ろしいことを言わないでほしい。

 たぶん世界が滅びる。


『ふっ、相変わらずコルリは無礼だな。だがそこが――』

「ノスリ、お兄ちゃん、ツグミさん、こレからアウルとミヤコちゃんは、他の魔法陣ヲ破壊しに行くんだっテ」

『コルリ、俺様の話を聞かぬか!』


 大切な話をしてるのに、ちょっと権兵衛はうるさい。

 でもまあ、アウルが説明を引き継いでくれたからいいけど。

 ノスリは麒麟が魔法陣を施したってことですごいショックを受けてる。

 そんなときに権兵衛が出しゃばってくるのは避けないと。


「……ごめんね、権兵衛。実はお願いがあって……でもきっと無理なんだよね」

『むむ? どうしてもと申すなら、聞いてやらぬことはないぞ』

「ほんと!? 嬉しい、ありがとう! 実はね、蓬莱の珠の枝がほしいの」

『蓬莱の珠の枝?』

「知らないかな? 根っこが銀、茎が金で、実が真珠でできてる木の枝なんだけど……やっぱり無理だよねえ」

『何を申すか! 俺様に無理などない! よし、蓬莱の珠の枝だな? 待っておるがよい』

「うん。じゃあ、お願いね。でも気をつけて」

『ふははは! 心配せずとも俺様に不可能はないのだ!』


 高笑いを残して権兵衛は飛んでいった。

 うん。すっきり。

 いつまで今回のお願いを覚えてるかはわからないけど、時間稼ぎにはなるよね。

 いっそのこと私たちのことも忘れてくれたらいいんだけどな。


「では、コルリはしばらく待っていてくれ」

「え? 権兵衛ヲ?」

「違うよ、俺たちのことだよ」

「ノスリたち……?」

「ああ、今コルリが風の王様と話し合っている間に決めたんだよ。全員で行く必要はないから、ツグミさんとコルリには待っていてもらおうって」


 元気を取り戻したらしいノスリの言葉に私がちょっとショック。

 まさか権兵衛の相手をしているうちに、そんな話になってたなんて。

 でも確かにみんなでぞろぞろ行く必要はないよね。

 案内役のアウルと破壊役のミヤコちゃん、ノスリは見届けたいだろうし、お兄ちゃんは乗りかかった船?


「コルリさん、アウル君がおっしゃるには、ここはもう魔獣が襲ってくることはないだろうって。だから待っていましょう?」

「うン、それはそうダネ」


 ツグミさんの言葉に、私はミヤコちゃんが破壊した大岩の瓦礫を見て頷いた。

 ただできることは精一杯しようって意気込んだばかりだったから、ちょっと拍子抜けしたっていうか。

 まさかほんとにすることがないなんんて。


「わかっタ。じゃあ、ここデ待ってるネ。いつごろ帰れソウ?」

「余が発見した文様だけなら半日もあれば帰れるのだ」

『コルリ』

「なあに、ミヤコちゃん? ちゃんと待ってるよ?」

『うむ。後で一緒にお昼ご飯を食べるのだ』

「わかった。ツグミさんと準備しておくね」

『何かあったらすぐに我を喚ぶのだぞ?』

「うん、ありがとう」


 魔獣はたぶん襲ってこないだろうし、ツグミさんも一緒だから大丈夫だと思う。

 ミヤコちゃんにお昼ご飯をつくるための材料を用意してもらって、それから心配するミヤコちゃんたちを見送る。

 そんなに心配するなら一緒に行くって選択でもよかったんじゃないかと思うんだけど、まあいいや。


「さてト、お昼ご飯は何にスル?」

「そうねえ。あの瓦礫を上手く組んで、この網を張って食材を焼きながら食べるのはどうかしら?」

「いいネ!」


 瓦礫を組むのに少し時間がかかるだろうし、暇つぶしにはなるよね。

 まさかバーベキューをすることになるとは思わなかったけど。


「……ねえ、ツグミさん。ちょっト大変だケド、あそこでバーベキューをしナイ?」

「バーベキュー? 場所を移すの?」

「うン、あっちのホウが眺めがよさそうだカラ」

「そうね。いいかも」


 ということで、海を眺めながらのバーベキュー決定。

 ツグミさんと魔法を使わずによいしょよいしょと石を運んで土台を作る。

 野宿のときはヒッキーにかまどを造ってもらったから楽だったけど、意外と大変だ。

 それでもどうにか石組みができて、次は材料を切ろうかってとき。

 空に何か黒い点が見えた。

 何だろう?


「コルリさん、どうかしたの?」

「アレって……」

「え?」


 じっと空を見る私に気付いたツグミさんが問いかけてくる。

 でも答えるより見てもらうほうが早いよね。

 って、指さしている間にぐんぐん黒い影は近づいてきた。


「コルリさん!」


 ツグミさんが私を守ろうと一歩前に出る。

 魔力の関係でツグミさんの方が強いからだけど、私だって迷惑をかけてばかりはいられない。

 一応の攻撃魔法の準備をしていると、黒い影は人の姿――男の人で魔法を仕掛ける間もなく目の前に立った。


『なんとちんけな小娘が二人』


 すごいイケメンがきたー!

 そして、私はともかくツグミさんまで馬鹿にしたー!




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