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異世界に転生した平凡な私の非凡な日々~ドラゴンさんに懐かれました。  作者: もり


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60/110

60.対話

 

「コ、コルリ、お前何やってるんだ?」

「……え、私?」


 私は何もしてないよ。してるのは土の王様だよ。

 酷い、お兄ちゃん。

 それでも、お兄ちゃんの声にショックから立ち直った私は、ひとまず土の王様に声をかけた。


「あの……土の王様、とりあえず顔を上げてください」


 すると、土の王様は素直に顔を上げてくれた。

 よかった。

 とはいえ、ここからどうすればいいんだろう?

 ここで改めて話をするっていうのもやりづらい。


「とりあえず、場所を移しませんか? あ、ほら。あの大きな木の下とか。影ができてて過ごしやすそう」


 河川敷にたまに生えている大きな木と同じように、ごろごろと転がっている大岩の中で、ぽつんと立派な木がある。

 その木は青々と葉を茂らせていて、ほどよい木陰を作ってくれていた。

 アウルとミヤコちゃんは『ふむ』と頷いて、子猫と子犬の姿になる。

 ノスリもお兄ちゃんもツグミさんも、ミヤコちゃんたち高位の魔獣に慣れているせいか何も言わなかったけど、隊長さんだけは「うおっ!?」と声を上げて驚いていた。


「ノスリ、お兄ちゃん、ツグミさん、隊長さん、ひとまずアノ木陰で座っテ話そうと思う」

「わかった」

「土の王様は納得してくれたんだな」

「少し変わっていらっしゃる方みたいですけどね」


 ノスリは一言で了承してくれた。

 お兄ちゃんは何をどう結論を出したら、今のが納得したってことになるのかわからないけど、まあいいや。

 ツグミさんは「少し」だなんて、遠慮しなくてもいいのに。

 それとも権兵衛のせいで感覚がマヒしてきているのかも。

 ああ、それは私もか……。


 私たちが大木に歩いて向かっていると、土の王様はもちろん、権兵衛も当然のようについてきた。

 そういえば、二人ともミヤコちゃんやアウルについてすぐに正体を見抜いたよね。


「ねえ、権兵衛」

『うむ、何だ?』

「権兵衛もそうだけど、土の王様もミヤコちゃんがドラゴンだってすぐに見抜いたよね? 今だって白澤のアウルやミヤコちゃんが変身しても驚かなかったし」

『はっはっは! そのような愚問には答える気にもならんわ!』

「あ、じゃあいいよ。ねえ、土の――」

『待て待て待て! そこは、お願いするべきところだろう?』

「ええ? 面倒くさい」

『俺様たちは愚かな人間と違って、姿形ではなく、全てをその身に秘めた力で判じているからわかるのだ!』

「へえ? すごいんだね」


 断わったのに言いたかったみたいで、権兵衛は胸を張って答えた。

 本当に面倒くさい精霊だよね。

 しかも予想に近い答えだったし。

 だけど、権兵衛は私の反応が気に入らなかったみたい。


『なっ、もっと驚かぬか! 感動せぬか!』

「まあ、すごいとは思うよ。でもそこまで意外性がなかったかな?」

『なんと! さすがは聖なる乙女! 私たちの特質までを理解しておるのか!』

「うん、ちょっと違います」


 権兵衛との会話に土の王様が入ってきたけど、その〝聖なる乙女〟っていうのはやめてくれないかな。

 だけどなんて言うか、もう本当に面倒くさい。

 精霊の王様ってみんなこんな感じなのかな?

 意外性がないって思ったのも、前世ではよくファンタジーな物語には出てきた設定だったしねえ。


 はあっとため息を吐いて前を向けば、ぴょこぴょこと跳ねるようにミヤコちゃんとアウルがごろごろした大きめの石の上を進んでいた。

 どうやら二人は早く変身しすぎたとは思っていないようで、素直に障害物の上を走るのを楽しんでいるみたい。

 その姿に癒される。


 それから大木の下でそれぞれ程よい岩の上に座った。

 うん、やっぱり立ち話も何だしね。

 こういうのを腰を据えて話すって言うんだ。

 で、本題に入らないと。


「あの、土の王様にお尋ねしたいんですけど、どうして水の精霊の王様とケンカしているんですか?」

『ケンカ? 私は水の王とケンカなどしておらぬぞ』

「え? でも、権兵衛が土の王様と水の王様がケンカしているって……」

『私は知らぬ。ただ勝手に水の王が怒っておるだけだ』

「勝手に……?」

『その通り。ところで聖なる乙女よ。先ほどから気になっていたのだが、なぜ貴女は風の王のことをゴンベエと呼ぶのだ?』

「それは――」

『それが俺様の名前だからだ! どうだ、羨ましいだろう?』

『そなたの名前? 自分で考えたのか?』


 えっと、すごく大切な話をしてたのに、どうして名前の話になるの?

 しかも、権兵衛がまた自慢げに割り込んでくるし。


「あの、それよりもーー」

『自分で考えるなど、虚しいことはせん! この名前はコルリにつけてもらったのだ!』

『コルリ? 聖なる乙女のことか?』

「あぁ、うん。ですから、土の王様――」

『では、聖なる乙女よ、私にも名前をつけてはくれぬか?』

「……」


 名前って、大切なんだよね? 縛っちゃうんだよね?

 それなのにいいのかなとは思ったけど、さっさと話を進めたい。

 というわけで、こだわらないで決めてしまおう。


「えっと……土の王様の名前は……ヒッキーでどうかな?」

『……ヒッキー?』

『コルリ、それはどういう意味だ?』

「え? 意味は……う、動かざること山の如し?」

『ふむ。ヒッキーか……。なかなかいい音だの』

『余も初めて聞いたが、いいと思うぞ』

『そうか。ドラゴンや白澤がそう言うなら素晴らしい名なのだな。感謝する、聖なる乙女よ』


 ごめん、土の王様。

 すごい適当すぎた。そして適当に誤魔化しすぎた。

 ミヤコちゃんは私の言うことには何でも同意してくれるし、白澤はさすがに知らなかった名前のようだけど、それっぽい説明がよかったみたいで、賛同してくれた。

 もう色々ごめんなさい。

 だけど、とにかく話を進めていいかな?




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