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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活一年目
34/110

オリエンテーション

 



 入学式が無事終了し、その翌日。今日は一日オリエンテーションだ。

 会場に一年生が集められ、資料が配られた。教科ごとにどういう進行でどういったことをするか、中々細かく記されている。

 舞台上でパフォーマンスを交えた説明を見て、その中で何を取るか希望を記入して提出。明日は倶楽部活動の説明で、教科は明後日の朝、決定された時間割が渡される。

 メインである魔法系の講義は、六ノ月まで魔法基礎を受けた後、属性別に分かれる。これは最低三つ以上取れば良い。今回資料にも載っているし、説明もあるが決めるのはまだ先だ。

 他の座学は神学、歴史、地理、生物の中から一つ以上選択で、一定期間で入れ替えとなる。一年間で三つ終わらせれば良いので、期間毎に一教科でも、春の間に一気に終わらせて冬は楽をするでも、自分の好きなペースで進めることが出来る。

 実技は剣術、槍術、弓術、杖術、馬術、その他の中から二つ選ぶ。これらは週に一回ずつ出席すれば進級出来るので、女子は最低限しか出席しない人が多いらしい。学園側もそれを推奨しているようだ。

 実技のその他は選択にないものを教えてくれるようなので気になるけど、今回は見送りかな。

 あとは工作系があり、これは年間を通し必須だけど、成績に加味されないので自主的に休む人も多い。これはもちろん魔道具制作を取る。魔石を使って見たいしね。


 午前で説明は終わり、昼食の後は質問と見学、記入の時間になる。上級生の講義見学で、実際の様子を見てみようということだ。

 初めての昼食は食堂にしよう。寮に戻ったり、売店やカフェテリアもあるが、やはり定番の食堂だろう。

 一般生徒の使う食堂は第一食堂と個人食堂の二種類あり、私は第一食堂に行く。妖精さんを誘ってみたけど断られた。決して私が嫌われているのではない。彼女は上位の貴族なので個人食堂を利用するのだそうだ。お抱えシェフがいる生徒はここを使うらしいが、私には縁がなさそうだ。

 ユーリー様も同性のお友達と一緒なので、一人で食堂に向かう。あれ、私、友達いないわ。いやいや二日目だし、普通だ普通。


 第一食堂は食券制だが、学費に含まれているので、料金は掛からない。色んな地方から人が集まっているので、メニューは豊富。東ノ島出身者がいるため、日本食があるのだ。お米大好き。肉と魚どっちにしようか。

 いわゆるセルフサービスなので、生徒よりも使用人が用意している方が多い。色んな種類のメイド服でいっぱいだ。もちろん執事風なのもいる。

 控室に使用人は少なかったのは、この時間だけ来ているからだろう。授業中はすることなくて暇だからね。学校にいても昼食の用意の他は送迎くらいでほとんど仕事がない。寮は敷地内にあるのだし、空き時間は寮にいた方が掃除とか洗濯とか、よっぽどすることがあるだろう。

 料理の乗ったトレイを持って、空いてる席に座った。意外と空席が多い。

 カツ丼大盛り。がっつり食べるよ。

 空いている向かいの席にトレイが置かれた。焼き魚定食かな? 美味しそう。美味しそうだけどなぜ……。


「春なのに秋刀魚……」


 秋刀魚は秋のイメージしかない。冷凍とか塩秋刀魚なら時期じゃなくてもあるかもしれないけど。日本とこの世界はイコールじゃないことはわかってるけど、違和感がある。


「王都なら年中獲れる」

「ふぅん? あれ? 大根おろしついてないの?」

「ないな」

「なんだと……大根おろしがないとか」

「島の人間か?」

「いや、中央だけど」


 秋刀魚に意識全部持っていかれて、誰と話してたのか気付いてなかった。

 東ノ島出身の攻略キャラだ。名前も分かり易くコジロー・キリシマ。和服に刀、オールバックのポニーテール。制服はどうした。

 ゲームにはなかったけど、実はセリカはコジローと友人だったとでもいうのか。何この偶然。ありえない。


「Bクラスのコジロー・キリシマだ」

「Aクラスのセリカ・アデュライトよ」


 食べ終わった後も、そのまま盛り上がってしまった。

 コジローも寮生で故郷から離れているので、東ノ島通りによく行くそうだ。お互いの行った店の情報を交換し合い、なかなか有意義な時間だった。



 午後は記入が終わり次第帰宅して良いということなので、手早く済ませることにする。

 実技は剣術と馬術。来年なら弓も買ってるだろうし、弓術は来年取ろう。工作系は魔道具制作。座学は三ヶ月で終わらせたいので時間割の都合の良い神学、生物、地理。歴史はポイだ。

 あっという間に書き込み終わった。質問もないし、見学も特に必要ない。カフェテリアでお土産でも買って帰ろう。



「ただいま、サオン。ドーナツ買って来たからお茶にしよう」

「わぁい!」


 パラメータを上げたいので、お茶の用意は私がする。100を超えたのでカップ一杯の水は沸かせるから、夜営で熱いお茶を飲むのも簡単だ。

 用意が出来たのでオネエに声を掛けると、ダイエット中だと断られた。ダイエット。オネエには不要だと思うよ。


 ドーナツを一所懸命に頬張るサオンを見ながら考える。

 スキルの自由設定、いつ話そう。隠し通すのが難しいというか、不便だ。他人のものもいじれることは伏せても、自分のことに関しては言っても問題ない気がする。それとも目の前で気にせず使って見ようか。そのままスルーされるかもしれないし、訊かれるかもしれない。訊かれたら一応口止めして、もし広まってしまっても死んだときに神様の遣いに会いました、って言えば大丈夫な気がする。神の奇跡で生き返るなら、スキルの自由設定だってあっていいじゃない。


「そういえば、オネエさんがクラウドが魔糸を吐いたって言ってましたよ」

「マジで! えー、何作ろう」

「さすがにまだ何か作れるぐらい溜まってないですよ」

「それもそうね」


 サオンもさすがに慣れて来たのか、悲鳴を上げることはなくなった。急に姿を見つけるとびっくりして毛を逆立てることはあるけど、声は漏らさない。さすがに触れるまではいかないが、かなり近いところまで近づけるようになったし。


「サオンは虫が苦手? それとも蜘蛛だけ?」

「虫、は、ちょっと……」

「やっぱり? 考えてなかったんだけど、迷宮って虫系モンスターいるのよね」


 あ。サオンの毛が逆立った。


「遠くから、投擲すれば、大丈夫です……気配察知でいることは分かるから、声は出さないように気を付けます。でも、あの、解体だけは、その……」

「解体は私がやるわ。でも、無理そうだったら、迷宮潜るの止めてもいいよ?」


 解体は、スキルがないと時間が掛かる。解体のスキルを持っているのは私だけだし、サオンにもオネエにもさせるつもりはない。


「いえ、行きたいです。高い布を使ってお洋服も作ってもらったのに。それにセリカ様にはすごく良くしてもらってるし、もっと仕送りもしたいし……」


 よく仕送りって言ってるけど、サオンの家ってそんなに火の車なの?

 ハンターになって実家の近くで活動すれば、並の生活は送れそうな気がするんだけど。特にサオンは獣人で、身体能力はすごく高いんだから、普通の人よりよっぽど有利だ。魔法が不得手というハンデはあるけど、普通の人が迷宮で通用するような魔法を覚えるまでを考えるとやはり獣人の方が良い。

 あんまり他人様の家庭の事情を聴くのも憚られるので、詳しく聞くのは止めておこう。


「虫が嫌になったらすぐに言ってね?」


 出来るだけ虫以外を狙って行こう。



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