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ゲーム風異世界でハンターライフ  作者: クドウ
兼業ハンター生活二年目
103/110

キャンプ②

 




 金色尾羽は売れるというので新しい素材袋に保存して、肉はそんなに高くないようなので食べてしまうことにした。

 シルヴァン様の使用人だけがついてきていたので、メリルも入れて三人で昼食の準備をする。手間をかけたものを作るでもないし、三人で充分だ。

 鳥を捌き一口大に切り、豆と一緒にトマトソースで煮込む。その間にパンや果物を用意する、それだけだ。ちなみに肉がなかった場合は具は豆のみの予定だったのでいい方だと思う。


「それでも狩りの途中だと思えば充分だと思うよ」


 ソフォス講師の言葉通り、シルヴァン様もアルベール様からも文句は出ず、昼食を終えた。まぁトマトソース自体が美味しいからね、具は寂しくても味は良かったはずだ。

 昼食後はまた戦闘訓練に戻る。午前中と同じ陣形なので、少々つまらない。モンスターが弱いせいか、後ろにまで回って来ないんだよね。


「暇ですね」

「暇」

「そうですね」


 騎士団が気合を入れて駆除したのか、本当に弱いモンスターしか出て来ない。しかも前にいる四人が全部片付けちゃうし。高価素材プリーズ。


「明日は自由時間だから、もうちょっと面白いと思うけどね」

「あの岩壁、何かいいの出るんですか?」

「うーん……ここよりはってくらいだけどね」


 何だろう、期待出来そうにないな。せめて花が採れればいいけど。


「強くはないけど良い素材が採れる場所もあるし、案内するよ」


 いい素材は嬉しいね。色々な魔道具作ってもらわないと。



 夕食は戦闘訓練で狩った獲物や、学園側の用意した食材などが配られ、そこそこのものが出て来た。もちろん私も作ろうとしたのだがメリルも手伝いたがり、結局二人とも追い出されてしまったのだ。十人グループだし、人手不足ってわけじゃないしね……。せっかく肉焼き器の出番が……。明日の自由時間に使おうかな。

 施設には浴場も付属しており、快適な時間を過ごした。中にはマッサージを受ける令嬢もいて、キャンプって何だっけ状態だ。あれかな、この世界のキャンプと私のイメージする日本のキャンプってベツモノなのかもしれない。

 

「セリカ様は明日の自由時間はどうお過ごしになるのですか?」

「ソフォス講師に少し案内してもらう約束をしています」

「まぁ! わたくしも一緒に行きたいです!」


 そんな期待を込めた目で見ないで。無理だから。


「そうですね、アルベール様の許可が下りるなら良いと思います」


 おりるわけないけど、私からは断れない!


「聞いて参りますわ!」


 なぜかドーリス様と一緒に行ってしまった。そして数分後、しょんぼりと戻って来た。


「許可はおりませんでした……」

「くっ……! せっかくの機会が!」


 機会? ドーリス様も戦闘好き? 上位の令嬢ともなるとそうそう狩りも出来ず不満だろうなぁ。その点メリルのところは緩いよね。


「メリル様はどうやって許可を頂いたんですの?」

「……許可?」


 不思議そうに首を傾げた。

 ……この子、許可取ってないわ。というか、そんな話してもないんじゃないだろうか。戦闘訓練は騎士団もいるし、一応安全だろうから許可はいらない気もするけど。


「使用人じゃなくてペア組んでいれば……!」


 いやそれでも普通は使用人も付けられてたんじゃないかな。メリルが特殊なだけだ。


「もう一日、チャンスはあります。きっと、説得してみせます……!」


 何でフェリシー様そんなに必死なの?

 そして何でメリルはそんな自慢げなの?



 


 翌日の朝食後は自由時間だ。

 私はメリルとソフォス講師の三人で岩壁へ向かう。素材袋に肉焼き器も入れて準備は完璧だ。


「とりあえずあの大木が目標かな。そこで昼食、で、岩壁」


 大木まではスムーズに行けた。日本にいた頃の体力筋力であれば登れるか!とキレていただろう急斜面だけど、この世界でなら楽勝である。メリルも余裕そうだ。

 昼食用に適当なモンスターを狩って捌き、熟成させる。ハーブ塩を塗り込んで後は肉焼き器で焼くだけ。試作品なので上手く焼けない可能性もあるが、その時は刻んで炒める予定だ。

 鉄棒に肉を刺し、火をつける。そしてくるくる回す。

 初、夢の肉焼き器!


「さーどうかなー?」


 外側がこんがりと焼けたので肉焼き器からおろし、どきどきしながらスライスしてみる。


「焼けてる!」


 中心まで焼けるか心配してたけど、きちんと火が通っている。


「なるほど。この鉄棒でも加熱してるわけだね」

「はい。外火だけだとさすがに中心部が危ないですから」


 骨をひっかけて焼くことも出来るけど、たぶん生焼けになると思うんだよね。生食可の肉が手に入ったらやってみたいけど。

 焼いた肉とスープだけの簡素な昼食を摂り、さらに登った後、命綱をつけて下りる。さすがに危ないので私だけ下りる。

 思っていたよりも楽に目標地点に到達。根に近い場所を持ち、引っ張る。

 ……ダメだ。抜けない。

 数株試してみて、根が抜けたのは一株だけだった。


「どうだった?」

「根っこは一株だけです。種の鉱石がなっているのも一つだけでした」


 少ないけど、まぁゼロよりはいいか。

 持ち帰って庭に植えてみよう。


「何だかどんどん人間離れしていくね」


 なにそれ、どういう意味?

 パラメータが上がれば誰でも出来るし、人間離れしてないし。


「じゃあ次はあの辺りに行こうか。あそこならわりと珍しい素材が採れると思うよ」


 ソフォス講師が示す先には水辺が見える。水着があったら泳げたのになぁ。残念。



  

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