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帰宅

1ヶ月と半月ぶりの王都だ。少し落ち着く。3人が心配だ。変に外を怖がらないといいが。

「今日はこれで解散だね。みんなの使いのものが来てくれるから、それが来たら解散にしよう。ルーナはルクレシアス家まで送っていくよ」

ルーナはルクレシアス家の使用人の家に住んでいる。


「ああ。マルク、ありがとう」

「ええ、マルク、あの時はありがとう」

「はい。マルク、ありがとうございます。私は強くなります」

「そんなに気負わなくていいんじゃない。それにアレス、こっちこそありがとう。スピキアーズ領では歓迎を受けたし、勉強になったよ」


「ああ」

「そうね。アレス、ありがとう」

「アレス、ありがとうございます」

それぞれの使いが来たようだ。


「じゃあ、学院でね」

「ああ。じゃあね」

「ええ、じゃあね」

「レオナ、アレス、また学院でお会いしましょう」

そして、ルクレシアスの家に向かう。すぐに着く。


「じゃあ、ルーナ、また学院でね」

「ええ。マルク、体に気をつけてください」

「ああ。ルーナもね」

「はい」

こうして、ルーナと別れて、家路に着く。少しして家に着いた。やっと帰ってきた。少し疲れた。


「マルク、おかえりなさい。ゼルも護衛、お疲れ」

「母上、ただ今戻りました。お待ちいただきありがとうございます」

「いいの。どうだったかしら?」

「はい。良き旅となりました」


「そう、あとで、ラルクと一緒に詳しく聞かせてね」

「リネア様、マルク様の右腕をみてください」

「どうしたの?」


「あの領を帰りに通った際に猪の魔獣に遭遇しまして、その際に軽く突進を右腕に食らってしまったのです」

「そう?ゼルがいたのに珍しいわね」

「申し訳ありません。4匹の猪の群れで、4人を守りながらとなると、時間をかけてしまうので、1匹をマルク様に任せました」


「そう、それは大変だったわね。ゼルありがとうね。3匹は倒したのでしょう?」

「はい。その間に、マルク様が3人を指揮して、倒されました」

「そう、マルク、力は使ったの?」


「いいえ。使っておりません。それで少し油断して怪我をしました。大したことはないのですが」

「まあ、見せなさい。うーん。少し折れてるわね。痛いでしょ?」

「少しです。回復薬である程度は治りました」

「そうね。でも治療するわ。こっちに来て」

「はい」


「そこの机に右腕を真っ直ぐにして置いて」

「はい」

「・・・はい。もう大丈夫よ」

「ありがとうございます」

うん、痛みは消えたし、前より動く。


「もう、無茶はダメよ。ゼルにも時間を作れと言われたんじゃない」

「はい、申し訳ありません」

「そう、わかっているならいいわ。でも心配だから気をつけるのよ」

「はい、母上」

この後は父上が帰ってくるまで、部屋でのんびりした。


夕食時


「父上、1日予定より早くなりましたが、帰ってまいりました」

「ふむ。怪我したそうだな」


「はい。少し怪我をしましたが、母上に回復魔法をかけてもらったので、今は大丈夫です」

「そうか、猪の魔獣を1匹倒したらしいな。勇ましい結果だが、危ないことはしないことだ。リネアが心配する。あまりリネアを心配させるな。もう少し強くなるまで待て」

「はい」


「で、辺境伯領はどうだった?」

「はい。多様な文化の入り混じる領都は不思議な街で、それでいて領の特色で医療に力を入れた政策をしていることは素晴らしいと思いました」


「そうか。ルインはな、領民の命を守ることを大事にしている。あの領はどうしても戦や魔獣の氾濫の最前線になる。それを考え、医療をということだ。ルインは歴代のドンナルナ家でもっとも良い領主だ」

「ええ、素晴らしいです。また要塞も見せていただきました。要塞では歓迎していただきました。父上らのご活躍のおかげです」


「そうか。ハンニバルの力が大きいがな」

「そうみたいですね。アカードさんが細やかにハンニバル様の策を現地を見ながら説明してくれました。凄く勉強になりました」

「そうか。それはいいことだ。戦地でしか感じられんこともある。それを見れたことがマルクの糧となればよい」


「はい。ルイン様、ライル様、メリダ様、リア様よりお土産があります。こちらを」

「ああ」

「母上にもあります。後こちらは辺境伯領で見つけた珍しい果物です」

「あら、リンゴーね」


「知っておられましたか?」

「ええ、昔、商業都市国家群に行ったことがあるの」

「そうですか。喜んでいただけて嬉しい限りです」

「スピキアーズ領はどうだった?」


「はい。スピキアーズ領は辺境伯領とは違う政策ですが、実に素晴らしい政策でした。領都は港町らしい多文化と海を特色にした街で、多くのことが新鮮で、勉強になりました」

「そうか。どんな政策をしていたのだ?」


「はい。船乗りの養成と商人の養成に力を注いでおられるようです」

「そうか。港町ならではか」


「はい。船乗りが怪我で仕事ができなくなっても仕事を作るということ、新たな船乗りを領主が教育して育てるということで、領民は船乗りに憧れ、また領主を信頼するという良い流れを作り出しておりました。


また、領主のアルフォンス様は他文化を排除せずに受け入れることで他国の人が居やすい街にすることで、交易を増やしたとのこと、実に素晴らしいです。領民の職を作り、領民を幸せにすることで領の治安をよくし、経営をしやすくする。そういう考えもあるのだと学べました」


「多くの貴族がする愚民政策とは反対だな。それは素晴らしい。アルフォンス殿は確か俺の一つ下だったな」

「知っておられるのですか?」

「ああ、一つ下の代では優秀で有名なものだからな。ガルドが領が違えば、中央で右腕にしたいとよく唸っておったわ」


「そうですか。少ししかお会いしておりませんが、優秀だというのはひしひしと伝わりました。そういえば、トルネストさんとアルフォンス様は仲が良かったようで、ルーナの件はアルフォンス様も助けたかったが、知らずに何もできなかったと。父上にその件を礼を言ってくれと頼まれました」


「そうか。俺がしたくてしたがな。アルフォンス殿も友を助けられないことは悔しかったろう」

「ええ。その時は悔しそうな、情けないというようなお顔でした」

「そうか」


「こちらは、アルフォンス様よりお土産です」

「ああ。わかった」

「それと母上、エルザ様とお知り合いということをお聞きしました」


「ああ、エルザね。懐かしいわね。最近は会ってないわ」

「そうですか。戦場で同じ回復士だったとか」

「そうね。正確に言うと、私は臨時で、エルザは正式ね。私はまだこの国で仕事に復帰したばかりの頃だから」


「復帰したばかり?」

「そう。まぁ、そのうちその話はするわ」

こうして報告も終わり、夕食を楽しみ、今日は早めに寝た。


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