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シグルソン教官の授業2

授業終わり、先輩方が俺の方にやってくる。なんんだろう。

「マルク君」

「はい」

「私は、レオル・レニエだ。よろしくな」

「もしかして、ミリア先輩の?」

「ああ、弟だ。姉が迷惑をかけて、すまぬ」

「いいえ。迷惑はかけられていません。寧ろお世話になっております」

「そうか」

「マルク・ドンナルナです。レニエ先輩、よろしくお願いします」

「レオルでいい。マルク君はすごいな。スキルなしとはいえ、シグルソン教官が一瞬、本気になるなど」

「レオル先輩、いいえ。スキルは戦闘に使えないので、武術の基礎だけは磨いただけです。スキルありでは先輩の足元にも及ばないかと」

「謙遜を」

「いいえ。先輩はきっとスキルを使いこなすことが出来るのでしょう」

「そうか、雰囲気でスキルに気づいたか」

「ええ。訓練中にすごい圧を先輩らから感じました」

「そうか。君はすごいな。この授業を1年次が付いてくるなどあり得ないと言われている。シグルソン教官が赴任された2年前から単位をもらえたのは数人で、全員が騎士学院に受かって、首席争いを演じているらしい。俺もそれに倣うと去年、訓練に訓練を重ね入ってみたら一年がたくさんいるからな。憤りを感じたが、マルク君とアレス君は十分に仲間になれそうだ」

「ありがとうございます」

「よろしくな」

「おい、レオル、抜け駆けはずるいぞ。俺はカリウス・エルナンデスだ。」

「あ、サリー先輩の」

「弟だ。カリウスでいい。よろしくな」

「はい、カリウス先輩。マルク・ドンナルナです。よろしくお願いします」

他の先輩も挨拶した。アレスと組んだクリス・ルオ先輩、シュライ・ケオル先輩、ラックス先輩、ルクス先輩、ジンダ先輩だ。ラックス先輩とルクス先輩は兄弟で平民らしい。またジンダ先輩は獣人族の血が少し入るらしい。


授業が終わって、食堂に来た。

「マルク、授業どうだった?」

「レオナ、面白かったよ。ただ教官にのされたよ」

「のされた?」

「ああ、マルクは気を失ったんだよ。頭に一発もらってね」

「え?大丈夫なの?医療室に行ったの?フラフラしてない。記憶はちゃんとある?」

「はは、大丈夫だよ。何か母上みたいだよ。でも、心配してくれて、ありがとう」

「お母さん・・・」

「マルク、お母さんは酷いよ。心配してくれたのに、レオナが可愛そうだよ。もう少し、女心を知るべきだよ」

「うん?女心?」

「それは本当に知らないんだね」

「まあ。いいわ。マルクだもん」

怒られてる意味がわからないんだけど。なんだんだ。なぜ怒られる?


「すまん」

またぶつかって来たよ。本当にしつこい連中だ。この手の嫌がらせは意味がないってわかんないのかな。今度は水までかけて来たよ。


「ああ、いいですよ。ただ、水がかりました。どうしましょう。貴方の家名を聞いても?そちらに制服の弁償を請求しましょう。もちろんドンナルナ家から」

「ええと」

「どうしました?わざとぶつかって水をかけても、弁償は請求されないとでも?」

「う」

「貴族でしょう?それぐらいは払えないと恥ずかしいですよ」

「そ」

「貴族派は制服の弁償もできないのですか?それは可哀想だ。今回は見逃しましょう。弱いものいじめはカッコ悪いですから」

「な」

「さっきから何を言っているのですか?言葉になっていませんよ。制服の弁償を請求していいのですか?ラルク・フィン・ドンナルナの名で請求書が来たら、親御さんが震えますよ」

「いや」

「何を言いたいかわかりませんね。もういいですよ。さあ、もう行っていいですよ」


「怖い。貴族派より貴族らしいわ」

「え?そうかな?」

なんて話をしながら、昼食を食べていた。


そういえば、ルーナは?何か謹慎明けから避けられてる?俺、何かした?あれかな?魔法学の先生のやつか?でも、あれかな?うーん。わかんないや。


そんな事を考えてたが、午後の授業の時間になった。シグルソン教官の講義準備室に伺う。

「シグルソン教官、マルク・ドンナルナです」

「うむ。入れ」

「失礼します」

空けてくれている席に着く。


「マルクよ。お主は何故、実力を隠している?」

「はい。理由がありますが、言えません」

「そうか。それはラルクの考えか?」

「はい」

「そうか、わかった。それは気を使おう。ただ、時折、武闘オーラを感じる。気をつけろ」

「申し訳ありません。気をつけます」

「そうか。あまり硬くなるな。俺はラルクには恩があってな」

「父上より聞いております。何でもシグルソン教官の亡命を父上が手伝ったとか?」

「ああ、だからお前に恩を返す。何かあれば言え」

「はっ」

「うむ、で今日の講義の際の感想だが、まず、俺に一瞬でも殺気を出させる攻撃をしたことは褒めてやる。あの足払いの蹴りで俺の体勢を崩し、突きに入るところは良かった。あの一瞬、危険を察知した。あの時、俺が本気になったのはスキルが発動し、やられると思ったからだ。これは、俺のスキルで『危険察知』という。これのおかげで、俺は戦場で活躍できた。そして死ぬことはなかった」

「そうなんですか?」

「ああ。俺の『危険察知』を発動させるだけの技と殺気は褒めてやる。あれはゼルの技か?」

「はい。ゼルとの模擬戦で受けた技です」

「そうか、通りで一瞬、昔あいつと対峙した時を思い出した」

「そうですか。ゼルとやり合ったのですか?」

「ああ。ラルクが英雄になったあの一戦は知っているな?」

「はい」

「あの時、俺はラルクを仕留める為に、前線に出た。ゼルと対峙したのはその時だ。あいつに邪魔されて、ラルクを仕留めに行く時間があまり取れずに、時間が足りずにラルクを仕留めきれなかった。その後に王国の救援が前に出過ぎた帝国の裏をついた時には、ゼルもラルクも俺もかなり消耗していたが、決着をつけるには俺も死ぬ覚悟が必要で、俺の部下も道連れにするしかなかった。あそこまでせずにある程度の損害を食らわせておけばいいとも思ったが、あいつらはあそこで仕留めないとまずいと、あの時、俺はそう思った。あいつらとはその前に当たった時に俺の危険察知がずっと警鐘を鳴らしていたからな」

「そうだったんですね。あの時にゼルと闘ったのですか。シグルソン教官と父上やゼルはどちらが強いのでしょう?」

「うむ。難しいな。今ならラルクには敵わん。俺はかなり歳だからな。だいぶ衰えた。ゼルはあいつは化け物だな。衰えを知らん。入学式の時に見たが、対峙した時と変わらん強さを感じた。あいつは人間か?」

「ええ、人間だと思いますが」

「ははは。近くにいるお前も、不思議か」

「ええ」

「まあ、いい。今日はこの辺で終わりにする。貴族派の連中に何かするなら言え。俺も協力してやる」

「はい」

シグルソン教官の講義室を出た。俺は部室に向かい、歩き出す。ふとルーナは部室に来るだろうかと思う。俺を避けるせいで、部活まで来れなくなるのは何だか申し訳ない。今度見かけたら、話してみよう。


部室についた。

「マルク、こんにちは」

「ミリア先輩、こんにちは」

「今日は授業はないの?」

「はい、教養科目は全て免除なので、午後は授業がないんです」

「そう、で何しに?」

「はい。資料を読み込もうと思いまして」

「そう」

2人で、話もせずに資料を読んだり、研究に没頭している。


どうにも魔法理論を進展できない。少し、気になった事をミリア先輩に聞いてみよう。

「ミリア先輩、古代文字の魔法文字は知っていますか?」

「当たり前」

「そうですか。魔法文字と詠唱って似ていると思うのですが、どう思いますか?」

「うん、似ている。多分、魔法文字を元に作られたのが詠唱なのかなとも思う」

「そうですか、やはり」

「魔法文字を研究するの?」

「はい。これが読み解ければスキルがなくても魔法を撃つ方法を見つけられるのではないかと思いまして」

「そう。確かに似てるけど、詠唱は魔法文字とは似て非なるもの。魔法文字は誰でも研究が進めば読める可能性がある。だけど、詠唱はスキルなしでは理解できない。魔法文字で魔法を撃てるなら、魔法文字を改変すれば、スキルなしに魔法を撃てるかもしれない」

「はい」

ミリア先輩は本当に魔法が好きなんだな。それに詠唱の問題に気づいているのかな。


「でも、魔法文字がなんで存在していたのかはわからない」

「うん?」

「魔法は天神様が作ったと言われているのは知っている?」

「はい。天神様がこの世界に降臨された時に、マナからスキルを作り、そしてスキルによる魔法を作ったとされていると」

「うん。そして、滅びていた人族を再生し、スキルと魔法を与えた。じゃあ何で魔法文字と詠唱は似てる?魔法文字を改変したように、詠唱は見える?」

「うん?」

「もし、魔法文字は魔法を撃つ為のもので、それをもし詠唱が魔法文字を改変したものならば、古代文明において、魔法文字が魔法を撃つ為の詠唱だったのかなと思う。でも、そうなら天神様は何故、スキルと詠唱をお作りになられたの?」

「あっ。そうか。魔法文字は魔法を撃てた古代人の詠唱といってもいいもの。それはあるならば、詠唱をわざわざ作る必要はないかも。そして、その魔法文字をスキルで使いやすくしたのが詠唱ならば、もしくはスキルでしか使えないようにしたなら、天神様は・・・」

「マルク、それ以上はダメ。聖国に殺される」

「あっ、はい。すみません」

「うん」

「いろいろと勉強になりました。ありがとうございます」

「うん。ここ2日、ルーナちゃんを見ない」

「ええ。俺も話しておりません。俺が避けられてるのではないかと思います」

「そう。じゃあ一度話すのが必要」

「はい」

「お願い」

「わかりました。ではこれで失礼します」

「うん」

部室を出て、家路に着いた。

家に着いた後はいつも通りに訓練をこなして研究の資料を再度見直す。


部室でミリア先輩と話した事がその通りなら、天神様がスキルを媒介するように魔法文字を改変して、詠唱を作った。でも、何でそんな事をしたんだろう。前世の記憶では、宗教の神様は、大抵は、人間が勝手に、神様を名乗っているか、神様の子供だと名乗っている。人を導いた結果と相まって、崇められる。そんなものだ。だとするとスキルは元々不必要な物だとしたら?魔法文字を使った方が強い魔法が使えるのだが、何かしらの理由で魔法が独占状態にあった?又はスキルを使うと簡単に魔法が撃てるから作ったのか?だとすると、一部のもの以外にも使えないのは何故?


色々と考えていくと、二通りが考えられる。一つは魔法の進化を捨て、一部のものにする代わりに、容易に早く魔法を撃てるようにした。もう一つは天神教が独占するため。これは古今東西の宗教がよくやる事だ。


こう考えると、詠唱の文字の分類と魔法文字を比べていくのが重要な気がする。これが一番最初だ。これから始めていくのが呪文を作るのに最適かもしれない。この呪文によって、誰でもマナ結合を使用できるようにする。そして、自身のマナを使用する方法を見つければ、今みたいにマナを外に放出して、そのマナを使って、マナの結合を作り出し、マナを作る事をしなくてもいい。現在は俺も、兄上もメル姉やエルカ姉様もマナを放出するまではスキルを使用している。俺はスキル擬きだが。


実はこのマナの放出をスキルに頼らずに行うのは、解決がすごく難しい。だからそれを呪文が勝手にやる仕組みにすればいい。そうすればスキルは必要ない。もしかして、マナを放出することをできない人のために、今の詠唱はできた?それをスキルなしでは理解できないようにした?何故だ?


やっぱり一部のもので独占するためか。これは考えても意味がない。今は詠唱がスキルがないと理解できないようにした仕組みをどうにかできればいい。魔法文字との比較によってできるはず。最後に体内でスキルなしでマナを動かす方法を解き明かせばいい。それで魔法理論は完成だ。


この辺で寝よう。あんまり根詰めてやっても結果は出ない。今はじっくりと、きっちりと理論を固めていけばいい。もう寝よう。


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