成長
翌日
今日はのんびり起きた。今まで毎朝訓練をしていたが、歩くのすらやっとという状況が続いている。したいことが山ほどあるがもどかしい。訓練だってしたい。
しょうがないので、アランと遊ぶことにした。ミカやアイルさんが近くにいてくれる。
「マルク、怪我は大丈夫?」
「ああ、大丈夫だよ。もうすぐ治るさ」
「戦いで怪我したんでしょう?」
「ああ、そうだよ。でも治るよ。いや治すさ」
「そう。マルクは大丈夫」
「ありがとうな、アラン」
「戦場は恐かった?」
「ああ、恐いと思ったけど、仲間がいるから問題ない」
「仲間がいると恐くないの?」
「ああ、頼もしい仲間がいると力が湧いて恐くないぞ。アランも友達や仲間を作らなきゃな」
「うん。作る。マルクみたいにいっぱい作る。」
「ああ、ならばアランが大人になったら、アランも英雄になれるな」
「なれるかな?」
「ああ、父上も、兄上も、母上も英雄だ。その血を引くアランも英雄になれるさ。でも友や仲間がいたらな」
「そうか」
「ああ。だけど、努力が必要だぞ」
「うん、訓練をいっぱいする。今は走っているよ」
「そうか。走っているか。たくさん走れ。走れるやつは強くなれる」
「うん」
こうしてアランと仲良く過ごした休暇だった。俺が家を出ることが決まり、兄上らが家に来ることになった。この家は父上たちだけだと少し広い。だから兄上らが先日引っ越した。
俺の部屋はアランが使っている。俺はこの二日間、客間でミカと一緒に泊まった。俺が動けないからだ。迷惑をかける。ミカはもうだいぶ動ける。
奇跡を二連続で使ったが問題はなかったようだ。そして家を出て、新たな俺たちの家に引っ越す時にアランが泣きついたのはいつも通りだ。成長したけど、まだ子供だ。




