結界の修復と飲み込む
翌日
俺らはドラゴンの封印場所に向かう途中で出くわした魔獣は師匠らが倒した。俺らに力を使わせないためだ。そしてドラゴンの封印場所についに辿り着いた。結界があるが、穴が空き、ボロボロだ。これは限界かもしれない。
「危なかったわ。あと2週間も遅かったら、結界は崩壊しているわね。よし。じゃあ、行くわよ。マルク、メル、ミカちゃん、準備はいい?」
「「はい」」
「はい。じゃあ手を繋ぎます。メル姉とミカさんは母上に預ける事をイメージしてください。そして、魔法理論のマナ線を意識して、そのマナ線を通って母上にマナを渡すイメージです」
「「はい」」
そしてマナは移動していく。母上が目を閉じて、マナを感じていく。
そして
「いくわ。『我願う。この世の理を捻じ曲げる、結界よ。我が名をに従い、化現せよ』」
結界が二つ現れ、新しい結界が元の結界と合わさり強くなって、穴が少しずつ塞がってくる。すごいマナ量を持ってかれる。キツイな、二人もかなり持ってかれる感覚を味わっているんだろう。苦しそうだ。俺がマナを増やしてく。
結構、二人とも辛そうだ。
「二人ともマナ回復薬を」
「「はい」」
「師匠」
「ほれ、飲め」
二人のマナが少し増え、マナ量が安定して、さらに結界は張られていく。ただ、もう限界に近づきつつある二人。
「まだよ」
く、半分くらいか。くそ。これはきついぞ。二人とも限界に近いか。もうもたない。それでも容赦なくマナは持ってかれる。
「二人とも、手を離せ。俺があとは供給する」
「な、マル君」
「マルク隊長」
そして俺は一人で供給する。きついな。まだか。これでも足りないのか。おい、勇者様、なんていうもんを作ったんだ。そして、こんな結界じゃないとできないって、どんな怪物だよ。
「マルクもういいわ。まだ八割も行ってないの。あなたのマナが切れるわ」
「大丈夫です。まだ策はあります。ヤイ、あれを」
「おい、本当にやるのか?」
「それしか方法はない」
「おい、何をする気だ?」
「ヤイ、早く、もう厳しい」
「くそ、死ぬなよ。マルク」
ヤイが結界の魔道具を地面に叩きつけ、壊す。パリン。魔道具が音を立てて壊れる。そして、ヤイはマナを貯める電池部分を取り出す。
「おい、マルク、例のだ。どうする?」
「ああ、口に頼む。放り込んでくれ」
「わかった。頼みます。神様。マルクをお救いください」
そして、ヤイはマナを貯める電池部分を放り込む。
そして俺は『飲み込む』。ごくん。くわあー。体は痛い。
くそ、俺の中でマナが暴れ出す。それを母上に調整して渡していかないと。マナ線が壊れる。く、調整が難しい。俺のマナ線か、放出するマナかどちらかしか調整できない。
「マルク」
「だい、じょ、う、ぶ」
「もう少しよ。マルク」
そして結界が出来上がっていく。もう少し、もう少しだけ、俺の体よ、持ってくれ。もう少しなんだ。
「マルク、もう完成するわ。もういい。あとは私がするわ」
「いいえ、母上ももう限界です。俺はさっきので回復しています。もう少し我慢できます。それに全部放出した方が良さそうです」
「わかったわ。もう少しよ」
そして、もう少しのところまで来た。こんな時に魔獣が来た。それを師匠達が倒していく。だが、数が多い。
「くそ、魔族か?あいつ一人じゃねえのか?」
「あの魔族はやけに弱いと思いましたが。囮でしたか」
「てめえら、ここは死んでも守るぞ」
「「「「おう」」」」
何とか、師匠らが魔族を、魔獣を近づけさせないでくれている。これならいける。最後だ。全て持ってけ、バカヤロー。
結界は収縮していく。穴がなくなり、そして結界は完成した。
「もう大丈夫よ。前より強くなったわ。神が助けてくれたのかしら。それともシズルかな?」
「シズルさんでしょ。母上の思いに応えてくれたのですよ」
「おい、魔獣が引いていく。結界の近くに寄れねえみてえだ」
「そうですか。師匠、もう動けません。ダメな弟子ですみません」
「何言ってんだ。最高の弟子だ。バカヤロー。やりやがった。シズルを超えたな」
「まだまだ・・・・」
「おい」
「気を失ったのよ」
「はぁ、焦ったぜ。この馬鹿弟子が。マジで死んだかと思ったわ。ちゃんと息はしてるわ」
「ねえ、戻りましょう」
「ああ、者共、戻るぞ。帰りは気をつけろ。ゼル、メルを担いで行け。ケビン、お前がリネアだ。リオル、お前はミカを、俺がマルクを担いで行く。ガッソ、サンゼル、ヤイ、お前らで守れ」
「「「「ああ」」」」」
そしてガイスらはマルクらを抱えて、街に戻って来た。リネア、メル、ミカらは歩けないが、気は保ち、状況を説明した。そしてマルクは一切起き上がることなく、眠っていた。
そのあと、魔族が魔獣を氾濫させて辺境伯に来たがガイスやガッソ、第00小隊、そしてゼルに辺境伯軍、冒険者で撃退した。被害は出たが、ドラゴンの復活という最悪の状況を回避した辺境伯領は数十人の死傷者で済む結果となった。第00小隊、ゼルやガイスらには被害はなく、アドルフやルインらも無事だった。その後、マルクが目を覚ますのは森から帰ってきて6日後だった。
初期や中期の伏線の回収の回です。




