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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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徳が来た

「ルンルン、ランラン、リンリンリン。戦国だけど少女だけど殿の為に戦うのー♬、正妻なんかにゃ負けないわー♬」


 鼻歌を歌いながら農道を歩いている少女達。徳と親衛隊です。その前後には2〜3人ずつの旅人が付かず離れずに歩いています。向かっている先は小谷城下、勝頼が向かった先を武藤喜兵衛から聞き出し許可なく勝手に向かっています。


 親衛隊の中で踊りが一番上手なゆづという娘が、


「徳様、勝手に向かって大丈夫なのでしょうか?殿からのお咎めとか?」


「大丈夫よ。それになんか女の予感がするのよね」


「予感、ですか?」


「はっきりとはしないんだけど、あたいが行くことが殿にとって良くなる方向に行く気がするの。それと………」


「なんでしょうか?」


「新しい女よ!」




 小谷城では他国の忍びが城の中から消えました。どうやら城ではなく他を探すようです。それを聞いた多少忍びの心得がある勝頼は城を見たくなりました。


「吾郎、付き合ってくれ。ちょっと城を見てみたい」


 玉井は焦ります。


「いや、殿。それは危険です」


「大丈夫だ、心配するな。他国の忍びが居なくなるのを待っておったのだ。いつかこの城を攻めることがあるかもしれないから見れる時には見ておかないと。父上が言っておった、絶えず先見の明を持てと。吾郎、行くぞ」


 勝頼と吾郎は夜になるのを待って忍び装束に着替えて城へ侵入しました。




 城の中ではお市が長政の無事を祈っています。このタイミングで出馬要請というのは出来すぎています。兄上の考えは見え見えです。


「いきなり殺しはしないでしょうが。長政様がこの家を仕切って朝倉を切れれば………、あそこまで重臣方が強いのではどうにもできません」


 お市は織田の人質のような者です。織田と浅井が同盟を結んだ以上、朝倉にどれだけ恩があろうが織田と朝倉が争ったのなら織田に付かねば命が危ないのです。信長は妹だからといって表立って庇うことはしないでしょう。織田に浅井が攻められるような事があってはならないのです。そうなったら自分が嫁に来た意味がなくなってしまいます。お市は信長を身近で見てきました。戦国大名家に産まれた以上、人質になる事はわかっていましたし死ぬ事は怖いわけではありません。ただ、今は妊娠中です。この子だけは幸せになって欲しいという母親の気持ちが徐々に強くなってきています。


「しかしあの猿顔、九本の棒で公方とは。うまい引っ掛けを考えるものですね」


 お市は清洲にいる頃から秀吉が嫌いでした。顔も好みではないですが、話し方が気に入らないのです。軽くて人をおちょくっているような、そのくせに頭の回転が良く切れ者です。女を物としか見ていないのもなんとなくわかります。


 妊娠してからの事です。お市はおかしな夢を見るようになりました。道を走る黒い箱、空に浮かぶ白い箱、そして見たことがない服を着た中年の女が話しかけてきます。


『お市さんですね。あなたはこのままでは秀吉にいいようにされてしまいます。お腹の子は将来秀吉の側女になってしまいます。歴史を変えるのです。織田でも秀吉でもない、他の勢力を頼りなさい。その事を忘れないように』


 同じ夢を三度見ましたが、その後は夢に出てこなくなりました。この子が、お腹にいるこの子が秀吉の側女になるなんて冗談ではありません。ただ、女の身で何ができるのでしょう?明智十兵衛なる者が現れ足利義昭を匿うと聞いた時に、待つしかないと思いました。謎の女が言う他の勢力を。どこの誰かはわかりませんが、この子を秀吉に渡さなくてすむのなら誰でも構わないのです。


 屋根裏には勝頼が潜んでいます。部屋の中にいる妊婦は誰なのか?隣の部屋には侍女が控えており着ている着物もそれなりです。勝頼は城のあちこちを見て回りました。意外と広かったのですが忍び対策がありません。これでは筒抜けのはずなのになんで足利義昭の尻尾が掴めないのかが不思議でした。部屋にいる女性を見てあと2ヶ月くらいで産まれるのかな?と思っていてそろそろ戻るかと思った時に、城で物音がし始めました。


「何事ですか?」


「お方様。蜂須賀というお侍がお市様に会わせろと乗り込んで来ました。止めているのですが…」


「あ、ダメです。そちらにはお方様が」


 侍女を振り切ってむさい侍が入ってきました。


「小六、控えなさい。無礼ですよ!」


「おう、お市様。義昭はどこですか?どこを探しても出てこない。教えてもらえんのでしたらお市様を人質にして浅井久政殿に聞くことにいたします」


「やめなさい、小六。私も義父上も知らない事です。このような事をしてただで済むと思っているのですか?」


「元々わしはあちこちを転々としてきた。今更放逐など怖くはない。それよりも秀吉に手柄を立てさせてやりたい。あいつには世話になったからな。絶対にこの付近にいるはずなのだ、足利義昭を連れてさえ行けば罪など消し飛ぶよ」


 蜂須賀小六はお市を捕まえようとしました。お市の腕を掴んだ瞬間、突然後頭部に打撃を受け気を失ってしまいます。バタンと倒れた小六の後ろにイケメンが立っています。


「伊那勝頼という。お市殿かな?」



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― 新着の感想 ―
[良い点] うまい引っ掛け イヤ、それ、ただのダジャレ……。
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