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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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どこにいる?

 織田、浅井、徳川連合軍二万の兵が六角義賢の居城である観音寺城を攻めはじめる頃、勝頼、玉井、吾郎、辰三他忍び勢は小谷城下に潜んでいました。全員旅人姿です。狙いは足利義昭、そして明智十兵衛です。


 織田信長は、秀吉の話を聞き小谷城に足利義昭がいる可能性が増えたと考えました。信長本陣に挨拶に現れた長政に尋ねたのですが知らぬ存ぜぬの一点張りでした。信長は長政が好きでしたし、これ以上責めてもゲロしないと思い目の前の戦に集中します。浅井家が朝倉家と関わりがある事は知っていましたし長政の立場もわかります。もちろんいつまでも放っては置けませんが、まずは上洛時の道を開くことに専念します。


『もしもの時は、仕方あるまい』


 腹の中では最悪のケースも考えながら。




 秀吉は観音寺城責めに参加していますが、小六を小谷城下に途中で戻しました。どうも気になるのです。あれだけ探していないのですからいないと思えばいいのですが、秀吉の勘がここにいると言っています。


 勝頼達は目立たぬように宿を分散してとっていました。吾郎の宿に偶然小六が泊まりにきました。吾郎は蜂須賀小六を見た事があり、念のため翌朝宿を引き払い少し離れた農村の隠れ家に寝床を切り替えてから勝頼へ報告に行きました。勝頼は三雄からこの先に起きるであろうイベントを聞かされています。歴史はすでに変わっていますが、念には念をという事で吾郎に言って拠点は準備していました。ここには草として現地に馴染む為に3年前から1人の伊那忍びを住まわせています。




「木下秀吉の配下で蜂須賀小六というものが城下に潜んでおります。他に忍びもいるようです」


「そうか。見つけた様子は?」


「ありません。かなり広範囲を調べているようです。我等が来る前から調べていたようです。ただ、こちらに気付かれないよう行動するのが難しく詳しいところまでは。まだ義昭様を見つけていないのは確かです」


 秀吉の配下か。厄介なことになった。仮に義昭を見つけても連れだすのが難しくなったか。作戦変更だな。

 勝頼はここに来る前に半兵衛、喜兵衛と相談し色々なパターンを想定した作戦を練ってきていました。本来狙っていたのは遠江か信濃まで足利義昭を連れて行き、そこから信玄の風林火山の旗のもと上洛をする事です。天下に武田ありと知らしめる一大イベントを計画していました。その時は上杉謙信、北条氏政も連れて。


 現状では連れ帰る際に戦闘になるでしょう。蜂須賀小六は想定外でした。他にも朝倉の手の者の姿も散見していますし、戦闘になるのはリスクが大きすぎます。パターン2は面談後、義昭に拒まれた場合です。自分を巡って織田と朝倉が戦になった、それをここまで出てきて武力で制圧し上洛せよ、とご都合主義で主張された場合です。この時は顔だけ繋いで引き上げる予定でした。


 パターン3は連れ帰れそうもない場合です。この時は顔つなぎだけして織田、朝倉に戦を継続してもらい勝った方に上洛してもらいます。そして、その後時機を見て上洛するというものです。


 織田、徳川、上杉、北条による武田包囲網は不発に終わり、真・三国同盟ができた今、三河から尾張へ攻め入る事も出来るでしょう。足利義昭が手に入れば、ですが。下手をすると足利義昭を攻める逆賊になってしまう可能性もあり、これは信玄が望まない形です。


 色々と考えながら、勝頼達も足利義昭、それと明智十兵衛を探しますが城の中、城下に気配がありませんでした。小谷城の警備は薄く忍び込むのは簡単ですが、他の忍びも動いているので武田が来ていると悟られたくはありません。勝頼は主だった者を集めました。


「ここには居ないな。だが近くに居るはずだ。織田は戦中だし今さら朝倉へは戻れないだろう。半兵衛によると裏で糸を引いているのは明智十兵衛だろうと言っていた。義昭にその知恵はないそうだ」


 玉井がそれを聞いて、


「十兵衛とやらの狙いは何なのでしょう?浅井もいい迷惑だとは思いませんか?」


「十兵衛は織田に通じているのではないかと思う。ならばそのまま織田へ行けばいいのだが、義昭が首を縦に振らないのであろう。織田が自分を守る強者だと信じられないんじゃないかな?」


 足利義昭から見れば織田信長は成り上がり者に過ぎません。その昔から名前を聞く、朝倉、上杉、武田なら信じれるでしょう。義昭は強者に自分を担ぎ上げて欲しいのです。


「それで十兵衛は浅井という緩衝物を噛ませたと、いい結果になるとも思えません」


「我らが出て来るのを待っているのかも知れんぞ。第3勢力ってやつだな」


「まさか、そのような!」


 明智十兵衛、三雄から聞いたこの男のイメージは真面目な堅物。世の為人の為に日ノ本を良くしようとして頑張った結果、下克上に出るしかないところに追い込まれ、最後は味方に恵まれず滅んでいった不思議な男でした。


「会ってみたいものだ」


 勝頼の独り言がシーンとした部屋に響きました。


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