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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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再び春日山へ

 古府中から花嫁行列がスタートしました。お供は護衛に五郎盛信、跡部勝資が30騎ずつ、後は荷駄になります。花嫁道具の他に、結納の品、それと中砲が3台積まれています。勝頼は中砲の使い方指導員として徳と親衛隊を同行させています。五郎盛信が話しかけてきました。


「兄上、菊にいい嫁ぎ先を見つけて下さりありがとうございます」


「なんだ、俺の妹でもあるのだぞ。母が違うなど関係のない事だ。それより雪姫はどうだ?」


 雪姫は美人ですが、身体が小さく妊娠したものの寝込む事が多くなりました。


「もうじき産まれそうですが、雪の身体が持つかどうかは五分五分というのが医者の見立て。兄上、私は雪が大変な時に何もできないのです。どうしたらいいでしょう?」


「盛信。男には男の役割がある。雪姫は女の役割を果たそうとしている。男にできるのは見守るだけだ」


 勝頼はかっこよく決めたつもりでしたが盛信はシュンとしています。こういう時は男は弱いものです。嫁ラブが強いほど特に。


 春日山城に着き、祝言があげられて宴会になりました。盛信も跡部も酒を飲め飲め、越後の酒は美味いぞとベロンベロンにされています。確かに美味い、さすが米どころですね。勝頼は上手く逃げながら謙信へ酒を注ぎに行きました。謙信は上機嫌です。


「来たな勝頼、待っておったぞ」


「私も待っておりました。2人で話せる時を」


「そうか。ちょっと付いて来い」


 謙信は勝頼を連れて城の奥の方へ向かいます。ふーん、こんなところもあるんだ、忍びが入り込むには厳しいな。そこは城の中深くまで入り込まないと行けない場所でした。やっぱりこういうところってあるんだね、と感心していると、


「ここだ。入れ」


 通された部屋は六畳ほどの狭い部屋でそこには先客がいました。背が小さく小人のようですが顔は老けています。


「この男は俺が飼っている忍びだ。甚内という。川中島で勝頼の痕跡を見つけたのもこいつだ」


 勝頼は甚内を見て、不気味な感じを受けましたが、顔には出さず、


「伊那勝頼です。お見知り置きを」


 と丁寧な挨拶をしました。わざわざ謙信が忍びと会わせる理由がわからなかったのです。そういう時は謙虚にいくことにしています。


 謙信は、


「ほう、やけに丁寧だな。そう構えなくてもいい、こいつが織田信長の情報を持ってきたので教えてやろうと思ったのだ」


「教えていただいていいのですか?」


「お前も忍びを使ってるだろう。こいつが言うにはなかなかの手練れだそうじゃないか。もう知っている事かも知れんがまあいいだろう、甚内、さっきの話を勝頼にもしてやれ」


 織田信長は朝倉義景と争っています。きっかけは足利義昭、将軍継承予定のこの男、最初は兄である足利義輝が将軍になったので仏門に入りました。この頃は将軍家や宮様も継承権のない人達は仏門に入る事が多かったのです。ところが兄が三好、松永に殺されてしまい、望まない自分の番がやって来てしまいました。

 最初はその気がなかったのですが、将軍家に忠誠心のある三渕藤英、細川藤孝兄弟に説得されその気になっていきます。ただ京にいては三好等に殺されてしまう為に匿ってくれる大名を転々とし、今は越前の朝倉義景のところへ滞在していました。そこで美濃の浪人であった明智十兵衛という不思議な男と知り合います。


 明智十兵衛は、足利義昭と同じように各地を転々としてきました。元々は美濃の城持ち国衆でしたが地元を追われた後、各地を回り見聞を深めてきました。細川藤孝とも縁があり、義昭も明智十兵衛の伝手で越前に来ることができたのです。


 足利義昭は皆に乗せられてやる気を出しました。俺が将軍だ、従え!という感じなのですが回りは敵ばかりです。強い大名は地方にいて上洛する事が出来ません。だんだんとイライラしてきて各地の大名に上洛を促す手紙を書いたりしてました。


 朝倉義景はそれが面白くなく義昭を追い出そうとしたのですが、成り上がりの織田信長が義昭を寄越せと言ってきたのに腹を立て、戦になりました。これも裏では明智十兵衛が糸を引いていました。信長に義昭を立てて上洛するよう説得したのです。


「甚内殿。明智十兵衛という名は聞いたことがあります。なかなかの男らしいのですが、会ったことはありますか?」


「それがしは忍びゆえ、直接話しはしておりません。ですが、野心に満ちた男のようです。木下秀吉はご存知か?」


「はい、この春日山城で会いました」


「あの男も野心の塊のような男ですが、明智とは異なります。木下は自分が上に立つ事を目指し、明智は戦を無くす事を目指しているように見えます」


 勝頼は明智十兵衛に会ってみたいと思いました。目指すところが似ているのです。甚内の話が続きます。


 織田と朝倉は何度かぶつかりましたが決着はつきませんでした。そこで織田は徳川の応援を加えさらに、松永弾正も配下として戦に望もうとしていたのですが、


「急遽出陣が取りやめになりました。足利義昭が越前から消えたのです」


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