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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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信玄の決意

 何を言ってるんだ、子孫?何の事だ?


「言っても信じていただけないかもしれませんが、ある時、未来の夢を見たのです。そして子孫、450年先の未来に住む諏訪三雄なる人物と会話ができるようになったのです」


 勝頼は、月に一回諏訪神社で話をしている事、物のやり取りは出来ない事、勝頼と三雄以外は会話に参加できない事、目で見たものを書き写している事を説明した。


「そしてそこで得た未来の知識のうち、この戦国で実現できる物を少しづつ作っていたのです。中砲もそうですし、そうそう、飢饉が起きる事を教わり備えたお陰で被害を食い止めた事もありました」


 信玄、山県は思い出したように頷きました。


「勝頼、あの時は助かった。お陰で水害も防げたし民が餓えることもなかった。あの豚というのもその三雄とやらから教わったのか?」


「はい。三雄殿の世界では我々の時代の事は記録として残っているそうです。我々が源平の合戦を知るようにです。ただ、それがしの行動が歴史を変えてしまったようで、少しずつですが三雄殿の知る歴史から離れていっています」


 竹中半兵衛は教科書を勉強していたのでそういう事だったのか、という顔をしていますが、武藤喜兵衛は目が点になっています。信玄は、


「今回の上杉と北条の同盟も知っていたのか?」


「はい。上杉謙信が死んだ後、北条の養子と長尾家からの養子で家督争いが起こります。そこでお屋形様亡き後のそれがしが………」


「ちょっと待て!わしが死んだ後という事は、そうか、わしはいつ死ぬのだ?」


「元亀四年、今から七年後です。労咳で死んだ説と野田城で鉄砲で狙撃された説があるようです。ですが、すでにお屋形様は労咳を克服しました。野田城もすでに武田の領地です。それに、武田の駿河攻めも何年か早く進んでいます。すでに三雄殿の知る歴史はあてにならなくなってきています」


 労咳は、勝頼の用意した食事で完治した。駿河攻めも勝頼に乗っかって進めて上手くいった。それよりも後七年か、急がねばならん。


「その三雄とかいう者に礼を言っておいてくれ。お陰で色々と助かったようだ。だがな勝頼、三雄のいう事はこれからは当てにならないという事のようだ」


「はい。実は三雄殿はそれがしにこう言いました。俺は勝頼に天下を取れとは言わない。勝頼が何をしたいのか、それを助ける、と。それがしは最初は民を守りたいと言いました。そして次に父上を上洛させたいと言い、今に至ります。以前の歴史では武田は滅ぶそうです。そして天下は織田、豊臣、徳川の順で動くと」


「豊臣というのは誰だ?」


「織田の家臣で木下藤吉郎という者だそうです。草履取りから天下を取った男だそうです。それがしは忍びを使ってその男を調べましたが、すでに信長に気に入られているようでどんどん出世しています。実はここにいる半兵衛は、秀吉の家臣になって秀吉の出世を助ける軍師だったそうなのですが、それがしが手を打って手に入れました。非常に優秀な男です」


「七年後、わしはまだ上洛できなかったのか?」


「上洛の途中でお亡くなりになったそうです。ですが今回は違います。時代は早く動いています。のんびりしてはいられません。上杉と北条の同盟しかり、織田が美濃を取って将軍を手に入れようと朝倉へ仕掛けそうです」


 信玄は考え込んでいる。織田が朝倉へ仕掛けた時が絶好機だ。だが、そこに上杉と北条が組んで攻め込まれると辛い。場がシーンとしている。そこに武藤喜兵衛が、


「お屋形様、発言してもよろしいでしょうか?」


「ああ、いいぞ。ここでは遠慮はするな。ここはそういう場だ」


 喜兵衛は勝頼の顔を見た後、話し始めました。


「 勝頼様の話は驚く事ばかりですが、川中島以来、近くで見てきたそれがしの目から見ても、真実だと思います。それであれば徳様や半兵衛殿の知識もうなづけます」


「それで?」


 信玄は何が言いたいのかと問いました。


「勝頼様はお屋形様を上洛させたいと願い行動をして参りました。お屋形様の意志をお教えいただけませんか?足利将軍を支えていくのか、それとも武田が将軍職を得るのかです」


「わしが何をしたいか、という事だな?」


 信玄は怒ったのでしょうか、空気がビリビリしてきました。


「はい」


 武藤喜兵衛は信玄のオーラにビビりながら平伏して答えます。皆が信玄の答えを待っています。信玄はふっと穏やかな表情になってから話始めました。


「わしは上洛には興味がなかった。親父を追い出し、そうだ。親父殿には京へ行ってもらった。三条の伝手でな」


 信玄の父、武田信虎は健在でした。信虎は甲斐を追放された後も信玄にあーしろ、こーしろと手紙でうるさく言ってきていましたが、今川や北条に関する情報は役立っていました。信玄も小煩くは思いながらも今川に生活費を送って面倒を見ていたのですが、今川が居なくなり駿河が武田領になった今、置いておくことはできません。京の都に屋敷を借りてそこに移住させたのです。


「親父殿の話はともかくだ。家督を継いだときには甲斐の民の事しか考えていなかった。親父殿は信濃を取ろうとしてできなかった。それを行う事で主人として認められたいという気持ちもあったのだ。そのうちに上杉謙信という男が現れた。軍神と呼ばれているがその名に相応しい強者よ。だが、わしはその謙信に勝った。謙信は上洛して関東管領の任を受けた。ただ、その任のせいで関東で手こずっている。信長は足利義昭様を、名を義秋から変えられたそうだ。義昭様を手に入れて日ノ本を変えようとしている。上洛に意味があるのか?上洛して何がしたいのか?わしはそれを考えてきた」


 一同信玄の話に聞き入っている。


「わしは天下を取る。武田幕府を開くのだ」







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