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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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上杉の策略

 徳川家康は今川との戦いで消耗し三河から動けませんでした。東には武田、西には織田です。そりゃ動けないですね。動けないので我慢し、体力回復に専念しています。織田、武田双方とも同盟を結んでいますが、今川との戦いで武田にはいいようにしてやられました。特に石川数正から聞いた武藤喜兵衛なる若者の暴言が頭から離れません。


「何が武田と一戦構えるかだ、ふざけおって。信玄さえいなくなれば武田なんぞ………」


 そこでふと勝頼の顔が頭に浮かびました。そうだ、武田にはあの跡取りがいる、と。改めて今回の武田の動きをおさらいしました。今川氏真が三河へ攻めかかるとは予想できませんでしたし、その隙を武田があんなに早く突く事ができるとも思ってはいませんでした。偶然なのでしょうか?


「まさか、今川の嫁を貰った事から繋がっているのか?そうだとすると辻褄は合うが、誰の考えだ?信玄とは思えん」


 家康は忍びに勝頼を調べるように命令を出しました。





 北条氏康は氏政に家督を譲り表だって戦には出ないようになりましたが、その分政治に精を出しています。とはいえ北条の戦は絶えません。里見を攻め、佐竹を攻め、上杉に取られた関東の城を取り返し大忙しです。


 氏康は伊那勝頼という男が気になりこの一年で色々と調べました。古府中に住んでいるようですが、たまに姿をくらまします。手練れの忍びも見逃してしまうそうでどうやら忍びの心得もあるようです。

 正室の他に側室も数人いて、他の重臣達からの信頼も厚い、報告を聞くといい事ばかりです。


「あの若さで大したものよ。わしが死んだ後、氏政で対抗できるだろうか?無理であろうな、ならばわしの目の黒いうちに出来ることはなんだ?」


 一年前に会った伊那勝頼、いずれ家督を継ぐでしょう。その時に北条はどうあるべきか、です。北条家は今まで西に目を向けていませんでした。今川がいたという事もありますが、北条の戦場は関東だからです。上総、下総、武蔵、上野、下野、常陸と戦場が広く領地の取り合いをしてきました。


 何か大きな変化が来ているような感じを受けていました。織田の台頭、今川の滅亡、武田の拡大、この10年で周囲の変化が大きいのです。それに対して北条はあまり変わっていません。


「氏政はこの事に気付いてはいまい。何か手を打たねばならん」


 そんな時に、上杉からの使者が来ました。このところよく現れる三宝院という坊さんです。三宝院は上杉謙信の義理の弟にあたる人物で元の名を上杉憲重といいます。旧上杉家は北条から攻められて関東から追い出された経緯があり、三宝院は越後で生まれました。北条家とは因縁がある家柄ですが、当の本人は義兄の謙信が家督を継いでしまったのであまり意識していません。元々は野心に溢れていたのですが、出家した事もあり今は交渉役に徹しています。北条氏康とは何度か使者として合っていて顔みしりになっています。

 部屋に入ると三宝院が平伏しています。


「面をあげられよ、三宝院殿。今日は何の用で参られた?上杉の軍が上野から引いたようだがその件か?」


「御察しの通りでございます。主人、上杉謙信から書状を預かって参りました」


 氏康は書状を読み始めて声を上げた。


「こ、これは?」





 上杉謙信の元へ訪れた織田信長の使者は、木下秀吉でした。秀吉は織田信長の元で才覚を表してきています。三雄の歴史ではこの後竹中半兵衛を配下にして武功を上げていくのですが、ここでは歴史が変わっています。


「上杉様、我が殿の書状、お読みいただけましたでしょうか?」


「面白いがな、狙いが丸見えよ。信長はどこを見ている?」


「天下を支える力になると言ってました。将軍家を支えたいと」


「それは余も同じだ。だがな木下殿、信長が見ているのはそこではないぞ」


「と申されますと?」


「まあいい。この後、数年で世の中は大きく動くであろう。足利将軍を支えると言ったが誰が将軍になっても所詮は傀儡。将軍の思うように信長が動くわけがない。そうであろう木下殿?」


「殿のお考えはそれがしにはこれっぽっちもわかりません」


 秀吉は親指と人差し指でコの字を作って話をし、それから


「ですが、殿は大将です。一番てっぺんにいるのは我が殿」


「信長は武田が怖いのだ、武田がいなくなれば全て上手くいくと思っている。自分だけではどうしようもないので余を頼ったのだ。だが、時が過ぎた時、お主の殿には今度は余が邪魔になるのではないのか?」


「それがしにはわかりません。先の事よりも今です。今、お互いに利害が一致するのであればこのお話は、」


「余が武田と組んで織田を攻めると言ったら?」


 秀吉は大慌てで、


「ご勘弁を。そんな事になったら使者のそれがしの首が飛んでしまいます。殿はそりゃーもう恐ろしいお方で………………」


「信長に話は聞いたと伝えよ」


「それだけでございますか?」


「それだけだ」


 秀吉は仕方なく岐阜へ帰参しました。謙信はその後すぐに、北条へ使者を出しました。





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