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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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激突

 内藤修理は突然突っ込んできた城兵に苦戦しながらも持ちこたえようとしていました。ところが騎馬隊に強い武将がいるのと備えで後ろにいた兵が弓矢の攻撃をくらって動揺してしまい崩される寸前でした。そこに吾郎が伝言に現れます。


「内藤様。勝頼様より左右へ散るようにとの指示でございます。後ろへは引かぬようお願い申します」


 勝頼殿には何か策があるのだな。内藤は周囲の兵に伝言を伝え自らも大声で、


「散れ、左右に散るのだ!」


 と叫びながら横方向へ動きました。攻めかける城兵から見ると突然道路の真ん中に道が開けた状態です。元々中央突破の予定だった城兵は、ここぞとばかり


「道が空いたぞ、突っ込めー! 」


 と一目散に突っ込んでいきます。騎馬隊には上泉伊勢守がいて、上手く行き過ぎでおかしいとは思ったのですが、前を進む足軽兵が敵に向かって突進する後ろからついていこうとしたその時、


「うわぁー!」


 足軽兵が武田軍の鉄砲、矢を受けて倒れていくのが見えました。そのくらいの備えはあろうと、その時はまだ敵の普通の反撃だと思っていました。


「怯むなー、どうせ死ぬのだ。突き進めー!」


 伊勢守から檄が飛び、兵はどんどん前へ進んでいきます。鉄砲は一度撃ったら次の弾は直ぐには飛んでこない、矢も武田軍に近づけば打てない。前進あるのみでした。なんとか勝頼の首を取りたい一心で突き進んでいきますが、背城の方で大きな音が連続で聞こえてきたのです。


『ドッカーン! 』


『ドーン! 』


 上泉伊勢守の後からも兵は続いて搦め手から出撃しています。まだ兵の半分は塀の後ろにいてぞろぞろと出撃中でした。そこで何かが起きたようだ。


「さっきの鉄球のような攻撃か。まだ続いている。連続で撃てるのか?」





 徳は中砲隊を指揮していました。通常弾と呼ばれるただの鉄球の他に、花火弾と呼んでいる火薬が着弾後爆発する新兵器です。20台の中砲全てからの砲弾を塀の後ろに打ち込んでから退却に入ります。


「次のを素早く撃つ訓練もしてたんだけどね。それはまた今度。はい、撤収撤収。あたいはクロスボウに移動するからみんなは殿の護衛に回ってね」


『承知! 』


 塀の後ろで爆発した花火弾はこれから出撃しようとしていた敵兵を直撃しました。死傷者多数、無傷の兵も出ていこうとした勢いを削がれ城から出てこれなくなりました。突然爆発してそれが何回も起きて仲間が即死したのです。怖くなって塀に近づけなくなってしまったのです。

 上泉伊勢守の狙いは倒れても倒れても後から兵が続けば誰かが勝頼の首を取れるというものでしたが、それが叶いませんでした。出撃できた兵は約1000人、これだけで勝頼隊3000人を相手にしなければなりません。


「前に出るしかない、進めー!」


 再び檄を飛ばし自らも槍を振るって逃げ遅れた内藤の兵を切り飛ばして進みますが、先を進む兵に矢が降り注いでいます。城兵も竹の盾を前面に出して防いでいましたが盾を持っている兵がバタバタと倒れ始めました。盾が無くなり兵は矢を受けてどんどん死傷していきます。

 武田の矢は竹の盾を貫いていたのです。クロスボウは石、普通の矢、そして鉄の矢を撃つことができます。しかも鉄砲と違いさほど時間をかけずに連射ができます。勝頼は盾を持っている兵には鉄の矢を使わせたのです。


 城側の兵力はどんどん削られていきますが、それでも兵は進んでいきクロスボウ隊に近づきました。それを見た半兵衛はクロスボウ隊を下がらせて玉井率いる長槍隊を前に出しました。


「いいか、1、2の3だ。訓練の通りにやればいい」


 敵が物凄い表情をしながら進んできます。玉井が叫びます。


「よし、1、2の3!」


 長槍を構えて、上に上げ、3の掛け声で下に叩きつけるのです。長槍隊は2列になっています。


 叩 叩 叩 叩 叩 叩

  突 突 突 突 突


 前列が叩きつけ、槍をまた上に上げた時に2列目の隊が間から突きます。それを交互に掛け声と共にマシーンのように繰り返すのです。


「1、2の3。1、2の3。1、2の3…………」


 長槍隊は呪文のように掛け声を繰り返し、槍を敵兵に叩きつけています。叩かれたダメージで敵兵は地面に這いつくばり槍がどいたと思って立ったら長槍に突かれて倒れていきます。武田の長槍隊の前に敵兵の死骸が積もっていき敵が進めなくなりました。その間にも勝頼隊からは弓矢の攻撃が続いています。それ以外にクロスボウ隊は配置を決めずに木の上に登ったり自分が打ちやすいところから援護攻撃をしています。クロスボウ隊は吾郎率いる伊那忍びの面々が主要メンバーなので身軽に動けるのです。そして騎馬隊にも矢が降り注ぎ始めました。騎馬武者は刀で槍を払いますが徐々に倒れていきます。


「ここまでか。行くぞ」


 上泉伊勢守と生き残った騎馬武者は馬を叩き猛スピードで走り出しました。


「伊勢守様、ご武運を!」


 伊勢守を含む騎馬武者は長槍隊に突っ込んでいきました。槍が3の掛け声で下がったところを駆け抜けたのです。とっさに2列目の隊が攻撃しますが何人かは長槍隊を抜けていきました。その中には上泉伊勢守もいました。クロスボウ隊が騎馬武者に攻撃しますが慌てているのか当てることはできません。


 伊勢守の前には足軽兵が立ち塞がり、その後ろに諏訪の旗が見えます。勝頼まではもう少しです。



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