表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/471

駆け引き

 馬場民部が帰った後、北条氏康は氏政に先程の会話の意味を聞いたのだですが、


「わからぬのか?武田はいずれ今川を攻める。その時に富士川からこっち側は北条で好きにしろと言っておるのだ」


「それに従うのですか?」


「わからぬのか?そんなものは口約束。戦になれば勢い余って川を越える事もある。お互いにな、早い者勝ちよ」


 そう言って氏康はニヤリと笑った。


「そうなのですか?それならばこちらから今川を攻めてしまえばいいではないですか?」


「馬鹿者、そんな事をすれば今川と武田が組んで北条を攻めてくる。逆も然り。信玄の時がくればというのはそういう意味だ」


 氏政はわかったようなわからないような感じです。つまり、武田が今川を攻めた時に北条は今川の領地を富士川の境まで取っていいよ、富士川から西は武田が貰うよ、という確認に馬場が来たという事です。氏康は今の今川をどうするか考えていましたが、武田の案に乗ることにしました。


「短い同盟だったな、いずれは武田とも争うのであろう」


 氏康は氏政に聞こえるように独り言を言って自分の部屋に戻りました。





 そして真田幸隆は岡崎に来ていました。そうです、徳川家康のところです。家康はやっと三河一向一揆が収まりつつあり外に目を向ける余裕が出てきたところでした。


「徳川様、お初にお目にかかります。武田信玄が配下、真田幸隆と申します」


「家康である。そなたが真田殿か。戦上手との噂は聞いておる。さて、穴山殿が来るのかと思っていたが穴山殿はどうかされたのかな?」


「穴山殿は別のお役目があるゆえ、それがしが参上いたしました。今日お目にかかったのは今川攻めの事でございます」


「勝頼殿が今川から嫁を迎えたばかりではないか?てっきり武田は今川と組んで三河を攻めに来ると思っていたのだが、違うのかな?」


「以前、穴山殿が岡崎へお伺いした時の話の続きでございます。お屋形様は今川を見限っておられます。義元公亡き後の今川をあてにはできないとはっきりと申されました」


「ではなぜ、せっかく大義名分ありで追い返した今川の嫁をまた、そうか違う女だったな。再び今川と縁を結ぶために氏真の妹を貰い受けたのだ?」


「縁を結ぶためと仰りましたが違います。今回の結婚は今川にとどめをさすためでございます」


 真田幸隆か、面白い男だ。信玄の信頼も厚いと聞く。武田は家臣団が優れている、そしてあの勝頼だ。あいつも不思議な魅力を持っている、そう、例えば信長のような。

 武田と組んで今川を攻めるのは得策だろう。だが、今はまだ一向一揆が完全には終息していないし、東三河は未だに今川の勢力が残っている。


「いつだ、いつ仕掛ける?」


「お屋形様は今、関東へご出馬されておられます。その戦が終わればすぐにでも富士川から駿河へ攻めかかる事でしょう。徳川様におかれましては速やかに三河から遠江の今川勢と戦っていただきたい。今川の領地は切り取り次第という事です」


「待たれよ真田殿。前回の穴山殿との話では大井川を境にするという約束であった。それはどうなるのだ?」


「その時はそういう事情だったのでしょう。徳川様なら大井川まで一気に出てこられると思ったのだと思います。武田は富士川から駿府へ向かい、そのまま大井川まで制圧します。その時に徳川様が大井川まで来ていなければ」


「川を越して攻め上がるというのか?ならば徳川が先に大井川を渡ったらどうなる?」


「両軍が遭遇したところ、そこが境界線となりましょう」




 真田幸隆が帰った後、酒井忠次、本多忠勝は怒りまくっています。


「なんだあの男の態度は。殿を下に見ているのではないか?」


「あのような話、信用できませんぞ」


 家康はうるさい、と一喝してから、


「だが、それに乗るしかあるまい。そうしなければ今川の領地は全て武田に取られる。そうなっては我が徳川も武田に屈服するしかなくなってしまう。遠江と三河を抑えれば織田や北条、上杉と組んで武田に対抗できるであろう。まずは一向一揆を完全に収め、東三河の今川勢を追い出すのだ」





 箕輪城では搦め手から一斉に兵が飛び出してきて内藤修理の隊に突っ込んできました。槍や刀を振り回してとにかく前進する事に集中しています。そしてその後ろから騎馬隊が現れます。それとほぼ同時に兵がぶつかっている内藤隊の後方に敵の陣地から矢が降り注ぎ、内藤隊が崩れ始めました。そこを敵兵がついてこっちへ向かってこようとしています。


「徳様、中砲を搦め手の兵が出てくるあたりへ集中砲火して下さい。敵の勢いを殺すのです。撃ったら速やかに撤収です」


「はいな! 半兵衛殿」


「殿、内藤様の隊に左右へ広がって逃げるようにご指示を。空いた中央に鉄砲とクロスボウ隊をぶつけます」


「半兵衛。あいわかった。吾郎、内藤殿に伝言を頼む。徳は半兵衛について攻撃準備。クロスボウ隊の後ろには槍隊を配置。玉井は職長に槍隊と足軽への指示をつたえよ。槍は突くのではなく上から叩くのだ。訓練の通りやればいい。鉄砲とクロスボウ隊は撃ったら退却後、自由行動に入れ。好きに援護させろ」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ