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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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空中戦2回目

 ハンググライダー隊は官兵衛の兵が撃つ鉄砲の射程距離外を旋回していた。鉄砲は一定間隔で撃ってくる。弾込めに時間を要するので間隔が空くのだ。その事に気がつき、その隙をついて攻撃できそうだと考えていたら味方が不利になっている。


「行くぞ!」


 この隊を凱から任されている豪は隣を飛んでいる鵬に手で合図を送った。鵬はそれを周囲に手信号で伝える。武田海軍が手旗で伝文を送るように空でも指示ができるように手による合図を決めている。その時、豪はあるものを見た。


「何だと!作戦変更。鵬!」


 300m程先の空にハンググライダーが飛んでいる。こちらは白に色を統一している。白の方が敵から見つかりにくいからだと教わった。それに対し向こうは黒だ。黒く染められたハンググライダーが三十機、夜討ちをする想定なのかもしれないなと思ったが鵬はそんな事を考えている場合ではないと慌てて編隊を組むように指示を飛ばす。黒い敵は徐々に近づいてくる。風向きはこちらから見て追い風だ。つまり敵は、


「ブースターを使っている。それも聞いていたのより強力な。そこまで真似をされたということか」


 敵のハンググライダーは以前関ヶ原でゼンマイブースターをすでに使っているが、豪はそれを聞いていた。一瞬慌てたが冷静に敵の動きを見始めた。空中戦、こうなる事を想定して訓練はしてきた。だが初めての実戦になる。武田側は慌てずに装備されたボーガンの点検を始める。今回は出番がないはずのボーガンだ。それと何かをする音が聞こえる。


 敵は少しづつ近づいてきている。豪は双眼鏡 見えるんです を使い敵の装備を確認する。同じようにボーガンが左右に一つずつ装着されているが矢の予備が多い。敵は最初から空中戦に備えて準備をしてきたようだ。


「これは不利だ。ならば」


 豪はまた指示を出した。鵬は驚いたが深く息を吸った後直ぐに動いた。二十機の甲斐紫電マーク2は、5機を残して急降下していく。そう、ここを無視して味方の援護に向かったのだ。敵が弾込めをしている時間を狙って絶妙のタイミングだった。空には鵬も残っていた。豪は驚いて、


「お前も行かないとだろ!」


 と手を動かすが鵬は、


「お前をただでは死なせない。あいつらを殲滅するのに俺は必要だろう?」


 と返事を返す。急降下組はもう大空へ浮かぶ事はない。ただ急降下組の邪魔を敵にされるわけにはいかない。予想通り急降下をする甲斐紫電マーク2を見た敵は慌てて急加速しながら追いかけようとしたが敵の動きが遅れている。急に急降下されて焦ったのだ。そこを追い風に乗って豪達の攻撃が始まった。


 豪は手筒を出して敵の上空に残していた桜花惨劇を発射した。空中で爆発した手榴弾もどきは尖った鉄片を高速で撒き散らす。敵に直接は当たらず鉄片は敵のハンググライダーに突き刺さる。そしてその衝撃で敵はバランスを崩して落下していく。持ち堪えた一部の敵は帆に穴が空いてしまい上手く操作ができなくなった。そこを鵬達4機がボーガンで攻撃していく。


 敵の数が20機になった。鵬達4機はボーガンを撃ち尽くしてしまっている。それを見た無傷の敵達はボーガンで攻撃をしてきた。空中戦が始まった。敵が追いかけこちらはゼンマイブースターを使って逃げ惑う。豪と鵬以外の3機はもう限界だと秘密兵器を使った。


「上手くいってくれ、圧縮砲!」


 甲斐紫電マーク2の支柱前面から、苦無が発射された。苦無は十箇所から同時発射された。支柱の中に埋め込まれた発射口から圧縮された空気を使って飛び出す苦無、散弾のように飛び命中精度は低いが幾つかは敵にダメージを与えた。敵は加速中で攻撃する事しか考えていなかったため不意を突かれバランスを崩して落下していく。隙を見て武田側はまた変な音を出し始めた。ハンググライダーの持ち手の横に何か装置があり、手でシュポシュポ空気を送り込んでいるのだ。空気が溜まればまた次の苦無が発射できる仕組みだ。


 残った敵は15機になった。双方の攻撃が続いた。再び苦無が発射され、敵もボーガンを撃ち続けている。武田側は善戦したが遂に豪と鵬だけになってしまう。豪はここまでか、と懐から銃を取り出した。凱から預かったハンドガンだ。


「ダーン、ダーン!」


 空中で銃声が鳴り響く。弾は9発、弾は敵に当たらなくてもハンググライダーに当たり衝撃でバランスを崩して落下していく。鵬も全ての武器を使い果たした。残った敵は3機、その中に飛龍がいた。


 飛龍は逃げる鵬を追尾し小刀で甲斐紫電マーク2の布を引き裂いた。鵬は落下しながら敵にぶつかり一機を道連れにしながら落ちていった。これで空中には豪と飛龍と敵一機になった。豪は最後の圧縮砲を発射したが全て避けられてしまう。


「見事だ。わしの名は飛龍。お主は?」


「豪だ。そうかお前が飛龍か。大物が出てきたな」


「空が武田の時代は終わったのだ」


「確かに同じくらいの性能だがもうお前達の甲斐紫電も数少ないではないか」


「なーに、大阪城にはまだまだ沢山用意している。お前を殺して戻るとしよう」


 豪にはもう武器は残っていない。懐に隠してあった小刀を投げて一機は落としたが飛龍の攻撃をくらい落下していった。飛龍は下を見て、


「状況は加藤清正へ報告するか。あの支柱から苦無を飛ばすのには驚いたがなあに、また真似をすればいいだけの事」


 と呟いて高笑いしながら風に乗って亀山城方面へ飛んでいった。

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