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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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反乱

 そして、親子会談決裂の状況は隠し湯を見張っていた伊那忍びから勝頼に伝わりました。


「そうか。兄上の頭は堅すぎる。父上の想いが伝わらなかったとなると…………、困ったものだ」


 綺麗事だけでは世の中はまわりません。結局三雄殿から聞いた方向に進んでいる。自分なりに歴史を変えてきたのだがここは変えられないと言う事か。勝頼はため息をついた後考え始めました。これからどうなるか、そして自分はどうすべきかを。


「三雄殿に会いたいが、まだ約束の日は先か。となると半兵衛か」


 勝頼は竹中半兵衛を呼び出しました。





 飯富兵部はすぐ新屋形に向かいました。そこでとんでもない事を依頼されます。


「父上は駄目だ。あのようなお考えでは仮に天下を取っても民がついてこない。あのまま放っておいては武田家は滅んでしまうであろう。兵部、重臣供に話をし、父上を討ち取るぞ!」


 何でそうなるのだ。


「義信様。無理でございます。お屋形様を討ち取るなどと誰も味方をする者はおりません」


「それを説得するのがお前の仕事であろう。父上の考えを説明すれば必ずわかってもらえるはずだ」


 三条の方、於津禰までもが兵部を煽ります。


「兵部殿。このままでは義信の命が危ういのです。なんとか、なんとか頼みます」


「兵部殿。このままでは武田と今川が争う事になってしまいます。私はどうすれば?」


 兵部は3人から散々攻められ新屋形をでました。家に帰る途中で弟の三郎兵衞に会いました。


「兄上、新屋形からのお帰りですか?だいぶお疲れのようですが」


「三郎兵衞、お屋形様を頼む」


 それだけを言って兵部は逃げるように帰っていきました。


「兄上、一体何が?」




 兵部は次の日も、その次の日も新屋形へ行きお三方の説得を続けますが、話はどんどん過激な方へ進んでいきます。


「お屋形様は武田の未来を考えておられるのです。義と仰せられますが、義で家臣や民は守れません。今までも北条や今川とは組んだり離れたり、その時々の事情でお互いの都合のいい関係ではありませんか。それに、今回の会談の件につきまして古府中にいる者に聞きましたが皆お屋形様贔屓でした。ここは我慢です。しばらく謹慎しておればお屋形様の怒りも鎮まりましょう」


「甘い、甘いぞ兵部。父上を放っておくことはできんのだ。それに誰も余に誰も味方をしないというのか。ならば余が自ら赴こう。兵部、お前は着いてくるのであろう」


「そうです。義信が自ら立てば何人かは味方になってくれましょう。隠し湯には大した護衛はいないのでしょう。一気に押し寄せれば制圧することは難しくはないはずです」


「そ、それはなりません。義信様自らがお出向きになられては。それに隠し湯への道は狭く大勢に兵で攻めかける事は出来ません。それに目立ちますと隠し湯に行く途中で嗅ぎつけた者達と戦闘になりお屋形様のところまで行く前に捉えらてしまいます」


「なら、どうするのだ?兵部、兵部!」


「それがしが………参ります。仮に失敗してもそれがしが単独で仕組んだ事でございます。義信様には関係はありませぬ」


「おお、やってくれるか。必ず成功させよ」


「頼みましたよ、兵部殿」


「かたじけなく思います。兵部殿、ご武運を」


 兵部はそういうしかありませんでした。義信は決して引きません。こんな風に育ててしまった傅役としての責任、今回説得できなかった責任を取り、武田家の為に犠牲になる決心をしたのです。翌日、兵部は新屋形へ行かず準備に当てました。どうしてこんな事になってしまったのか?俺はどこで間違えたのであろうか?いくら考えても答えは出ませんでした。兵部は信頼できる30名を集め、翌朝出陣する事を告げました。行き先は伝えずに。





 三郎兵衞は、数日前の兄の挙動が気になっていました。密かに兄の動きを見張らせています。それと穴山信君に相談をしたのです。


「穴山殿。どうも兄上の様子がおかしいのだ。義信様の事でかなり悩んでいるようなのだ」


「兵部殿は傅役でございますからな。心情お察しします。ですが、親子の問題ですので静観するしかありますまい」


「それがかなり思いつめている様子なのだ」


「あっ、これは不味い事になるかもしれませんぞ。昨日、兵部殿が拙宅にわざわざ義信様について相談に来られました。時間が解決するのではとお話ししたのですが、帰り際にどちらに付くと聞かれたのです。何をと思い兵部殿の目を見たところ悲しそうな目をしてそのまま出ていかれました」


「それでは、まさか」


「配下を隠し湯に配置いたします。何かあれば道を塞ぐようにしておきましょう」




 そして決行の朝、飯富兵部は配下を連れて隠し湯へ向かいます。誰を討ちに行くかを知らせたのは今朝です。皆、まさかという顔をしましたが主人の顔を見てその心を理解しました。兵部は泣いていたのです。そして隠し湯に向けて馬を走らせました。


 三郎兵衞は兄が決行した事を知り隠し湯に走ります。もしものためにすぐに出かけられるように準備をしていました。そして穴山も隠し湯に向かいます。兵部は隠し湯に向かう道を進んでいきましたがそこには穴山の兵が待ち構えていました。




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