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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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時満ちる

 井伊直政は京に来ていた。上様は丹波から動かない。八上城は波多野がそのまま治める事となり国衆も自分の土地へ戻っている。もう丹波には武田に敵対する勢力はない。丹後も本多忠勝と天海の活躍で制圧できていた。補給も菅原が治める越前から陸路で送られてきている。


 直政はつい小早川秀秋を殺してしまった。そのことを結城信平に話したところ大笑いされ、上様に報告してこいと言われた。その信平は直政より先に亀山城に向かっている。ならば先に話をしているはずでわざわざ自分の口から報告しなくてもいいのではないかと思って真っ直ぐ亀山に向かわなかった。ちょうど結果を幸村の阿呆に話してみたかったのです。バカにされそうな気もしますがあれと話すとなんだかんだ言ってためになる事が多いのです。


 ところが上杉景勝がいる屋敷を訪れたが真田幸村は不在だった。直江兼続もいないという。これは困ったと京の街を彷徨いていたら、耳元で声がした。


「井伊様では?」


 背後からどこかで聞いた声が聞こえた。いやいやまさかそんなはずはない。恐る恐る後ろを振り返ると、


「何でここに」


 直政が惚れている女、影猫がそこにいた。直政は顔が赤くなる。突然のことで何をどうしていいやらわからず、思いっきり照れながら、


「茶、茶でも」


 と言うのが精一杯だった。以前戦場で見て一目惚れして以来、出会う事はなかったのに何でここで会えるのか。たまたま京に来ただけなのに、これこそ運命やもしれん、なんて考えているとその後方に幸村が見えた。


「あ、あわ、いや何でもない。お役目でござるか?」


 影猫は表情を変えずに、


「はい。申し訳ありませんが詳しい事は」


 影猫がどういう存在かは信平から聞いていた。住む世界が近いが遠い相手だという事も。


「そうであろう。ここで会えてよかった。戦が終わったらまた会いたいものだ」


 影猫は?という顔を一瞬見せた。そこに、


「何だお前、何をしている?」


 と今度は聞いたことのある男の声がした。それを聞いて影猫は、


「井伊様、それでは私は」


「もう行ってしまわれるのか?」


「徳徳機密」


 と言って小走りに街角を曲がって行った。何だって!それはやばい。ぼーっと見送っていると幸村が近づいてきた。


「何を突っ立ってるんだお前は」


「お前を訪ねて行ったのだが留守だというので街を見ていたのだ」


 ふーん、街ねえ。


「今の女は?」


「いや、居なかったぞ」


「阿呆、普通には見えなんだがまあ言いたくないというのはわかった」


 と言って幸村は不気味な微笑みをする。下衆な感じを受けたが徳徳機密と聞いた以上誰にも話せん。しかしここで何を?




 直政と幸村は上杉景勝がいる屋敷へ向かった。直政は歩きながら信平の戦い様を自慢げに説明している。幸村はふむふむと聞きながら相槌を打ち時には考える仕草をして、頭の中にその状況を描いているようだった。


「信平様がそのような策をか。さすが大屋形様のお子であられる。それでお主は何をしていたのだ?」


「俺は敵の軍資金を奪い上様へ献上したぞ。それから」


「それから?」


「敵の大将、小早川秀秋の首を獲った」


「はああ?捕らえたではなく殺したのか?そこまで追い込まれる戦だったのだな」


「………」


 そういう事にしておこう。話題を変えよう。


「で、お前はどうしていた?直江殿も居なかったが?」


「うむ。上杉様がここに居座った理由の裏をな。ここを押さえておけば東へ攻め上がる事はできない。お屋形様が琵琶の海から大回りに丹波におられるのはなぜか。直江殿もそれを調べているはずだ。お前が去った後、直江殿とは色々な話をしたんだ。なかなか面白い人だぞ、景勝公が信頼するのもわかる」


「だがその割には景勝公のお側にいない事が多いと聞くぞ。おかしくないか?」


 幸村は大声で笑い出した。直政はそれを聞いて、


「何がおかしい?」


「それならお前も信平様のお側に同い年はないか。信頼されていない事になるぞ」


「あっ」


 幸村は笑いながら屋敷へ入って行った。そこに兼続が待っていた。


「真田殿、時が来た」


 幸村は頷いた。直政は何のこと?という顔をしている。





 亀山城には信平が来ていた。


「信平、直政も面白い事をするな」


「あれがあの男のいいところです。あれを見ていると人の行動を予測する事の難しさがわかります」


「武蔵での活躍も聞いたが、いい部下を持ったな」


「はい。元々は忠勝殿を貰い受けるはずだったのですが、今となっては忠勝殿は某には勿体無いお方という事がわかります。あの戦は勉強になりましたしあの経験がなければ八上城も敵に獲られていたでしょう」


「ええ、直政はどうした?」


「こちらへ来るように話したのですが、京へ向かったと凱が言ってました。何か考えがあるのでしょう」


「上杉のところか。百名ほど送ってやれ、ぼちぼち動くぞ」


「やはり待っておられたのですね」


「忠勝も向かっている。天海は丹後に残した。朽木はどうしている?」


「細川幽斎のところへ行かせました。戻しますか?」


 信勝は信平に指示を出した。その時、凱からの情報が入った。大軍が侵攻してくると。








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