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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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ゲリラ戦法

「熊本まで行くことはあるまい。秀吉は九州まで制圧に行ったようだが勝頼殿は中央で決着を付けるおつもりだろう」


 景勝の呟きに皆が頷いた。ならばどこで決着を付けるのか。


「兼続、どうなると思う」


 景勝はそれを聞いた。ここには真田幸村と井伊直政もいる。意見交換には良い面子だ。


「そうですな。大阪城を攻める事になりましょう。秀吉さえ殺せばいいのですがあれは大阪城からは出ますまい」


 幸村も同意見だ。だが、直政は、


「誘き出すのはどうですか?」


 どうやって?それができれば野戦となるが。


「上様も上杉様も自領へ引き上げるのです。さすれば寿命の短い秀吉は焦ります」


 その通りだ。だが、ならば何故勝頼公は東北へ出かけているのか。信豊殿は死んだのか、辻褄が合わない。直政は正論を言っているのであろう。だがそれは勝頼公の意思に反する。幸村は、


「直政は真っ直ぐすぎる。それだから騙されて大怪我をする」


「ちょっと待った。それは聞き捨てならんぞ、幸村、あれはたまたま俺がいたから穴山様のところはあの程度で済んだのだ。言い直せ」


「大怪我をしたのは事実。それを助けたのは誰だっけかな?」


「またそれを言うか。卑怯者め」


「卑怯とは何だ、卑怯とは」


「ゴッホン、景勝公の御前である。控えられよ」


 兼続の冷静な声が響き渡る。2人はしまったと思って景勝を見ると笑っていた。兼続も驚いた。滅多に笑わないお方なのだ。


「義兄殿はいい若者をお持ちだ。色々な意見を出すことはいい事だ。大阪城を攻めるしかなさそうに見えるがそれは大変な戦になる。井伊殿のような意見も大事なのだ。上杉にも兼続のような智に長けた者がいる。存分に意見を出し合うといい」


 そう言って景勝は席を外した。残された3人は色々な話をした。幸村にとっても兼続にとってもそれは有意義な時間だった。


「直江殿が石田三成に喧嘩を売った手紙、読んでみたいものだ」


 幸村が話を変えると、兼続はそれはこうこうこういった事で、と説明し出す。兼続が徳の事を聞き出そうとすると幸村は話していい範囲で説明をする。どんどん話が盛り上がっていくのだが直政は途中で焦り出した。


「某は殿のところへ向かいたい。幸村、すまんがここで別れよう」


 幸村は直江兼続の事を気に入っている。さて、どっちにいるのが得策か。敵は三万が京の西にいて九州から八万の大軍が上京してきている。


「信平様は丹波か。上様もいるしそっちが本命だろう。俺は敵の裏を描くから京に残る」


 それを聞いた兼続は幸村が自分と同じ考えをしている事に驚きつつ、直政へは一晩ここで泊まっていくように進めた後、


「井伊殿。俺も京に残ります。ご武運を」


 と言った。兼続も敵はこっちに来ないと思っていた。直政が去った後、兼続と幸村は丸七日間持論をぶつけ合った。勝頼が何故東北から動かないのか?信豊が何故出陣したのか?信勝が自ら敵地を攻め上がっているのは何故か?そしてこの2人は協力して次の行動を起こす事になる。





 その頃、信勝軍は丹波にいた。制圧したとはいえついこの間まで敵地だったところだ。反乱分子の夜討ちが毎晩続いている。丹後に進んだ本多忠勝のところも同様だ。明智に付き、豊臣に付き、今度は武田に侵略される。国衆からしたらたまったものではない。信勝はできるだけ戦闘を避けるように指示をしていたが、実際はなかなかそう上手くはいかない。


「お屋形様、ここが戦場になるとまずいですぞ。内部からも裏切り者が出ます」


 天海は思い通りにいっていない実情を信勝に話した。反乱分子の制圧は信平が中心になって新規参入した朽木の兵を使い実施しているが、丹波から逃げ出した国衆もいて今後どうなるかわからない。そいつらは豊臣軍に合流しているようだ。


「地の利がこちらになく向こうにあるのでは戦えない。信平を呼んでくれ」


 結城信平は朽木元綱と共に現れた。話の内容が夜討ちの事だと思ったのだ。


「お屋形様、結城信平参上いたしました」


「朽木殿も一緒だな。で、どうだ?」


「はい。以前徳様に聞いたゲリラ戦法というのを使ってきています。どこからともなく現れ、襲っては引いていく、の繰り返しです」


「やはりな。朽木殿、何かいい策はないか?」


「この辺りの国衆でこちらに寝返った者を使ってはいかがでしょうか?」


 信平は朽木の顔を睨んだ。それは最初に考えた策だ。だが危険すぎる。そいつらが裏切ったら全滅してしまう。信勝もそれを思い、朽木に問うた。


「勝算は?」


「国衆の中に知り合いがおりまする。波多野家の生き残りなのですが波多野宗永と申します。波多野家は丹波をまとめる国衆でしたが、織田様と明智様の戦で大敗し衰退してしまいました。宗永は波多野家復興を志しており今は仕方なく豊臣に屈しておりますが以前より縁があれば武田様に奉公したいと言っておりました。今回我先にと武田に付いた者になります」


「ほう、朽木殿はもうその波多野に会ったのか?」


「まだでございます。ご許可を得てからと思っておりました」


 いい心がけだ。新規参入で目立ちすぎると内部に敵を作る。特に勝手に動いて成果を出せば身内からのやっかみにあう。


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