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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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信平の機転

 中野直之は敵を槍で突き殺し、次の敵に向かっていた。こちらが優勢な気がしていた。兵の数はこちらが多く、上様の護衛兵も大砲を制圧しそうだ。殿は鉄砲を持っているし万が一敵を通したとしても殿が撃ち殺すだろう。射撃の訓練は十分にやってこられた、その成果で先程砲撃手を狙い撃てたのだと信じていた。その時何か光った気がして視線を向けると手筒が見えた。狙いは……………、殿だ。慌てて信平のところに戻ろうとするが、敵味方が入り乱れていて少しずつしか進めない。


「と、殿をお護りしろ!」


 ここぞとばかり大声を上げた。味方兵は何のことかわからない。敵兵は信平に近付いていないしこのまま戦う事が信平を護る事になると思っていたのだが、中野の焦りようを見て信平の元へ走り寄った。信平にもその声は届いた。信平は見た。


「なんだ、何、あれは。い、いかん。できるか俺に」


 できるかではない、やるしか無かった。空中を桜花惨劇を真似たと思われる榴弾が信平に向かって飛んできていた。信平は銃を連射した。目標は榴弾だ。


 信平が空中に銃を撃つのを見て信平の元へ駆け寄っていた兵は振り返って空中を見た。そして信平の正確な射撃は榴弾に命中する。その瞬間、


「ドッカーン!」


 榴弾が弾け中から尖ったマキビシのようなものが散乱した。それを見た兵は信平を庇う者、地面に臥せる者に別れた。幸いにも信平から距離があるところで炸裂したので信平までマキビシは飛んでこなかった。正確には駆け寄ってきた兵の背中が護った事になる。そして運が悪く炸裂した真下に中野がいた。




 チームAとBが敵の後ろから襲いかかる。敵も奮戦したが鎮圧する事ができた。敵は全滅、武田側も60名が死傷した。チームAのリーダー凱は信平の前へ出て跪く。


「凱、久しぶりだな。すまんが怪我人の手当を頼む。それと上様が心配だ。誰か様子を見にいかせてくれ」


 信平は信勝が将軍になる前はよく一緒に行動していたので凱は顔馴染みだ。この作戦は一応成功したが犠牲も多かった。


「信平様、我らは上様の元へ戻ります。3名医療に詳しい者を残していきます」


 そういうとすぐさま走り出した。信勝直結の部隊だけあって行動に迷いがない。信平は中野の元へ歩いた。


「大丈夫か?」


「と、殿。もったいなきお言葉、この程度はかすり傷でござる」


「いや、そうは見えんぞ」


 中野は咄嗟に伏せて両手で頭と首を庇っていた。それが功を奏し、手の甲はボロボロだが致命傷は避けれていた。背中にもマキビシが食い込んでいる。


「中野の治療を頼む。俺は上様のところへ行く。中野、お主はこのまま尾張へ戻り徳様に報告を頼む」


「それでは殿をお護りする事ができませぬ」


「怪我を治せ、その怪我では満足に働けまい」


「直政に顔向けができませぬ。後で何を言われるかわかったものでは」


「直政か。あれには、そうだな。俺からよく言っておく。お主のおかげで助かったぞ、礼を言う」


「もったいな………」


 中野はそこまで話して気を失った。信平は兵を連れて戻り始めたが何か気になる。何か忘れてはいないか?そうだ、あの逃げた忍びはどうなった?信平は銃に弾を補充し、兵に見晴らしのいいところに敵が潜んでいないか探させる事にした。




 信勝は前を行く本多忠勝の兵に追いついたところで進むのをやめた。忠勝が迎えに来ていたのだ。


「大きな音が聞こえたので様子を見にきました。ご無事で何より」


「奇襲を受けた。大砲を使ってきおった。狙いが正確なお陰で護る方も何とかなった。真田の兵は良く訓練されておる」


「真田殿は喜兵衛殿の兄ですから」


 忠勝が様子を見に行くと言うので一緒に戻る事にした。すると後から追ってきていた天海が追いついた。


「上様、見張りを大砲の射程まで広げております。しばしお待ちくだされ」


「天海、お主のせいでは無いぞ。俺もそこまで考えなかった。だが、ここまでの機動力、今後も侮れん」


「武藤殿の戦法を研究したのでしょう。今まで色々見せ過ぎたのかもしれません」


「だがそうしなければ勝てなかった。喜兵衛が悪いわけでは無い」


 忠勝は黙って聞いていたが武藤喜兵衛の話になると割り込んできた。喜兵衛は今は同格だが元上司だ。


「上様の仰る通り、武藤殿の策略に間違いはござらん。敵が真似するのならその上をいけばいいだけでござる」


 天海は忠勝の勢いに圧倒されかけたが


「本多殿。武藤殿を悪くいうつもりではありません。誤解のなきよう」


 忠勝はうんと頷いて天海から目を背けた。忠勝は天海が誰だか知っている。正確には顔を見てわかったのだが勝頼がそうしたのだからそれには何も言わない。味方ならそれでいい。


 信平の兵が権左を見つけた。信平はそれを確認し、声が聞こえるところを軍に戻る方向に歩きながらたわざと聞こえるように、


「上様が亡くなられた。大砲の警戒を怠った俺の責任だ」


 と呟いた。そして権左をそのままにして戻っていった。




 その頃、若狭へ侵入した細川、朽木は敵の城を一つずつ落として進んでいた。そして信勝も忠勝と共に若狭へ入った。



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