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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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万兵衛と馬場美濃

 加藤清正は自国である肥後についた。廣島を離れる際、小早川秀秋には自分が戻るまでに軍備を整えて置くように指示した。海での勝負は負けたと言ってもいいだろう。武田も船を失ったが小早川の比ではない。ならば陸で勝てばいい。水運が使えないのは不利ではあるが戦は基本陸だ。清正が手配していた南蛮船が来ていると思ったが気配すらない。聞くともう来ていなければおかしいという。まさか、とは思うが当てにはしない方が良さそうだ。


 こっちに向かっている最中に前田利家の死を知った。これもまさかと思ったが秀吉からの文によれば事実だという。念の為草からの情報を得たが同じ内容だった。まさかが続くというのは自分の考えが甘いという事だ。利家だけでなく利長も亡くなったと聞き、自分が残っていればと思ったが秀吉の指示だったのだから仕方のない事だと考えた時、秀吉にも想定外だったのだろうと気づいた。すぐに大阪に戻るべきかと思ったが秀吉からその指示はなかった。ならば自分にできる事は大軍団を連れて大阪へ行く事だと、清正は九州勢で八万の兵を集めることにした。島津の協力で何とか兵を集めた時、2ヶ月が経過していた。その間に城下のキリシタンを通じて南蛮船の状況を聞いたが、船が一切来なくなったという。


「武田め、沖を抑えていると見える」


 清正は海を捨てた。念の為、島津義久に聞いたが同じ回答だった。海外貿易が出来なくなっていて調査に出した船も帰ってこないので困っていると。島津は独自で船を手に入れているが、それは無事だという。


「島津殿、船は貴重です。小早川は船を全て失いました。それがしのところにはまだ軍船はありますが、廣島で聞いた武田の船の大筒には敵いません」


「武田は小田原を船で攻めたと聞く。小早川水軍は長宗我部を倒した。我らの船は長宗我部に勝てなかったので南蛮から船を買ったのだ。その長宗我部に勝った小早川より武田の船が強いなら南蛮船でも勝てぬだろう。本当なら、だが」


「残念ながら本当の話です。船ではまともに戦っては勝てません。いざという時のために」


 それを聞いた島津は笑った。島津は清正を気に入っている。宿敵大友宗麟を倒す事ができたのは清正のおかげだった。それゆえに秀吉に服従した経緯がある。


「其方が言うのなら間違いあるまい。海の武田が手強い事はわかり申した。武田の騎馬隊の話は聞いた事があるが戦上手なのか?」


「戦術もさることながらおかしな武器を使います。前田様はからくり人形に矢を放たれお亡くなりになったと聞いています」


 島津はそれを聞いて黙った。南蛮から手に入れたからくり人形を思い浮かべたが、その場面が想像できない。そして八万の大軍が陸を廣島へ向けて進んでいった。




 馬場美濃守は、四国沖で補給をしては瀬戸内海、九州沿岸を巡回している。南蛮船から攻撃を受けたこともあり、武田の船以外は全て敵とみなし撃沈している。何度も南蛮船を沈めたが徳の言う通り九州の大名が貿易をしているようだ。その様子は空母を経由して尾張へ伝えられている。


 補給拠点の戦闘空母には竹中半兵衛の息子である万兵衛がいて各方面へ指示を出している。高天神城も尾張も遠いので徳や半兵衛の連絡や指示を待っているわけにはいかない。万兵衛もいずれ竹中を継いで城持ち大名になる身だ。父、半兵衛は影の軍師として武田家の信頼が厚く、徳様も頼りにしている。他の重臣が戦で武功を上げて偉くなっているのと違う道を進んで領地も得ている。万兵衛は自分の出来ることをすればいい、と半兵衛から教わっていて今の役目を果たそうとしている。


 馬場美濃守から、九州に草を上陸させて情報を取ることを提案された。


「島津のところだ。あそこなら忍び込めるだろう」


「ですが、こちらの情報も漏れますぞ。やり取りもありますし」


「危険はあるが、我らも武功を上げねばならん。父、馬場信春は信玄公のため、身を粉にして戦で暴れ回り鬼美濃と呼ばれるほどになった。わしはその名を継いだが名前だけだ。これでは亡き父上に面目が立たん」


「馬場様、それがしは例の佐々木道誉の事が気になっています。武田海軍は強いですが内側からは弱いのです。今は優位に立っています。この状態を維持しつつ敵の残戦力を削る事が今の我らのなすべき事です。それに馬場様は何隻も敵の船を沈めておられるではありませんか?これも武功ですぞ」


 馬場は不満そうだが折れた。父、鬼美濃から伝授されたというか鍛えられた槍を披露する場がないのだ。それが悔しい。折れたのは、井伊直政との交流で武田信平の話を聞かされたからだ。ちょっとの差で将軍になれなかった信平は、自分の立場を理解して目立つのではなく武田のために出来ることを行う素晴らしいお方だと、あの変わり者だが憎めない井伊直政が真剣な眼差しで話をしたあの顔、あの話は今のためにあったのかもしれないと思い出したのだ。


 馬場はひたすら仕事に没頭した。そしてその功績は後になって効いてくる。

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