襲撃
清正が用意された船に乗り込み、清水から船の説明を受けながら沖を見た時だった。煙を出しながらこっちに向かってくる船が見えたのです。清正は何か起きたと感じ清水に
「清水殿、あれは?」
清水は慌てている。慌てながらも部下に指示をしてから清正に答えた。
「味方の船です。造船所にあった軍船 呉ですが攻撃を受けたようです。あれが攻撃を受けたという事は」
「造船所もか」
「はい。今、呉に乗っている者の救出を指示しました。生きている者がいれば話が聞けます」
清正は造船所に行くのをやめることにしました。勘が危険だと言っている。見ているときて小舟が5隻、呉に向かって進んでいき、呉が沈む前に乗組員を救助したようだ。清水の指示は的確に見えた。この男は信頼できそうだ。呉は何とかここまで逃げてきたようだ。何からだと考えれば武田の船しかあるまい。
少し前の事、徳率いる武田海軍の船達は、サルベージしていた小早川の船を全て沈め情報を得た後、小早川の造船所に向かった。今までの調査でどこら辺にありそうかまではわかっている。その門番的な役割を風魔の村がしていることも。
「風魔の手練れは東北に行ってるから、女子供しかいないかもだけど」
徳の目は容赦するなと言っている。竹中半兵衛は、勝頼ならば助けようとするだろうがその判断は甘いと思っている。徳はあえてわかっていて自分が鬼になろうとしているのがわかった。そして戦艦初倉の主砲、新型空母の主砲が風魔の村を砲撃した。
その音は小早川の造船所にも聞こえたはずだ。徳は中駿河改5隻を空母から出して迎撃に向かわせた。中駿河改にも小型のスクリュークラッシャー砲が装備されている。射程距離は戦艦よりは短いがこの位置では十分だ。それと艦首にドリルミサイル、船底に魚雷と中駿河改は攻撃特化型だ。
ちなみに新型空母の主砲は船の両側面にあり、甲板は未使用だ。
砲撃が終わり、子駿河に乗り込んだ武田兵が島に上陸し風魔の村の生き残りを殲滅した。徳は風魔の村から何でもいいから根こそぎ回収するように指示をしている。その頃、造船所から小早川の残っていた船が中駿河に向かってくるのが見えた。中駿河も何の遠慮もなしに攻撃を始めている。戦艦初倉からの援護射撃もあり、何隻かは煙を出しながら逃げ出したがほとんどの船を沈める事ができた。中駿河が2隻航行不能になったが、新型空母が回収した。他の中駿河も補給のため空母に戻ったので、空母は子駿河の帰りを待つことにした。
そのまま戦艦初倉は先行して造船所を海上からめった打ちにした。徳の指示は単純で殲滅だったのだから悩む必要はない。戦艦初倉の艦長は蒲原家の遠縁で裏切った佐々木が許せなかった。蒲原家は昔から徳には何かと世話になっていて徳を裏切るなんて信じられないのだ。
しばらくして新型空母と戦艦初倉が合流した。場所は小早川の造船所の沖だ。
「ここだけ?」
「情報ではそうですが、さて」
徳の質問に半兵衛が答えた。ここは敵地、油断大敵だ。
「馬場美濃達が残りがいても何とかするでしょ。周囲の警戒を怠らない事、上陸するわよ」
「徳様自らですか?危のうございます」
「そりゃ護衛はつけるだわさ」
「それではそれがしが先に上陸し安全を確保しますゆえ、しばしお待ちを」
「半兵衛殿。ありがたいけどそんな時間もったいない。あたいも武器持ってるし、とんじゃかないわよ」
「遠州弁で気にしないと言われましてもこっちはとんじゃかあるのです」
半兵衛がどうしても譲らないので徳は仕方なく折れた。そして竹中半兵衛、万兵衛親子と兵達が子駿河で先に上陸した。徳は海上の子駿河で待機している。しばらくすると銃声が聞こえた。
「まずい、あたい達も上陸よ。中駿河は攻撃待機」
徳が子駿河を浅瀬に着けて上陸すると再び銃声が聞こえた。最初の音は火縄だが今度が銃の音だ。徳は両手に銃を持った。片方はリボルバーでもう片方は弾倉式だ。兵が慌てて徳の前に出て先に建屋に飛び込んだ。そうしないと徳が先に飛び込んでしまうと思ったのだ。その兵は飛んできた火縄の弾で腕を怪我した。
「いくらあたいだっていきなりは飛び込まないだわさ。でもありがとうね」
そう言って撃たれた兵に一応お礼を言う。兵は物陰に這いつくばりながら徳にお辞儀をする。
「半兵衛殿、生きてる?」
そうすると万兵衛の声が帰ってきたら。
「徳様、父は脚を撃たれましたが無事です。敵は5名、武器は火縄と苦無です」
「ちょっと耳を塞いでね」
徳は手榴弾のような物を投げた。そう、それは以前使用した爆音弾の携帯版、音はすごいが殺傷力はないと言うよくわからない武器だ。徳の配下達はそれを知っているので耳栓を携帯している。味方の兵や万兵衛は慌てて耳栓をするが半兵衛は怪我をしていて間に合わなかった。
『ドーン!』
爆音が建物の中で響き渡る。建物が音で震えた。徳はそのまま建物の中に入り前の方へ進んでいく。そして口から泡を吹いている敵兵を撃ち殺した。一人を除いて。




