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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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サルベージ

 中納言?徳は誰の事かわからなかった。大阪の情報は勝頼は信豊のところへは伝わっているのだろが、徳や半兵衛には届いていないものもある。徳の周りは護衛の忍びが多くいるがあくまでも護衛の役目であり、情報収集部隊では無い。


 半兵衛は聞いた。


「中納言様ですか。どなたかが小早川を継がれたのですな」


「左様。太閤殿下の甥子であらせられる秀秋様だ。大阪から船で廣島へ向かう際に武田と戦になったと聞く」


「太閤殿下の。そうですか、それはさぞかし立派なお方なのでしょうな?」


「わからん。わからんが武田との戦で勝利し、お国入りされた。ここで船を調べるように言ったのも秀秋様だと聞く」


 半兵衛は少し考えた。その間に万兵衛が質問を続ける。


「ここで沈んでいるのは武田の船だけですか?」


「お主らは武田であろう。見ればわかるのでは無いか」


 万兵衛がそれを聞いてまた鞭を振り始めた。


「い、い、痛い。やめてくれ………………:、や、やめ」


 万兵衛は手を止めて


「素直に答えよ。小早川の船も相当沈んだのであろう」


「秀秋様のお迎えに出た船が全部沈められた。小早川には軍船はあと数隻しか残っていない」


 それを聞いた若い敵兵が、


「ですが、加藤様や九州勢の船は健在」


「これ、余計な事を言うな」


 万兵衛は若い敵兵以外を鞭で撃ち下ろす。なんか上手い事聞き出せそうだ。




 そんなこんなで情報を聞き出した半兵衛は、徳の方を振り返った。まだ聞きたい事はありますか?と目で訴える。徳はそのまま自室へ引き上げた。半兵衛はそれを見て敵兵を牢に入れるように言って甲板に出た。敵船、味方の沈んだ船も回収できないように止めを指すよう指示をしてから再び船内にも取り、徳の部屋へ出向く。


「徳様、どう思われましたか?」


「小早川秀秋、秀吉の甥かあ。拾が産まれたから邪魔なはずだけど三成みたいに殺すのではなく小早川ねえ。ちょっと秀吉の考えがわからない。それと黒田官兵衛が死んだと言うのは吉報ね。かなの魚雷がたまたま当たった、なぜか小早川秀秋を庇って黒田官兵衛が死んだ、気になるのは出来過ぎなとこね」


「黒田官兵衛の死は偽装ではないでしょうか?」


「そうね。その方が自然ね」


 小早川秀秋を前面に出し、影に隠れて操る。その方が黒田官兵衛っぽい。


「これからどうされますか?」


「船は全部沈める。風魔の村も焼き払う。造船所も壊す。四国だけでなく廣島攻める。海上から破壊できるところは全て破壊する。中駿河を馬場殿のところへやってくれる?何も残すなと伝えて」


「ではすぐに」


 半兵衛が出て行ったあと、この先の事を考え始めた。高天神城からの補給はくるが間に合わないだろう。念の為にしかならない。

 半兵衛は中駿河2隻を空母から出した。1隻は徳の指示通り馬場のところへ四国の反対側から攻めるようにという事を伝えさせるために。もう1隻は尾張へ向かわせた。陸の動きが心配だったのと念の為、小早川秀秋やかな達の戦がどう伝わっているかの確認のためだ。小早川秀秋の事を誰も知らないと言うのはまずい。




 そして廣島では、小早川秀秋が領主として威張り散らしていた。武田に海戦で勝ったことになっている。実際は武田から寝返った戦艦は乗組員毎海に沈み、小早川水軍も船の大半を失った。自慢の最新鋭艦、官兵衛もあっけなく沈んだ。水軍の兵もほとんどが亡くなったが、小早川秀秋、家老の清水景治、山口宗永は生き残った。戦艦 官兵衛から出た小舟の集団に武田の攻撃が襲った。海の中を走る爆弾だ。黒田官兵衛が秀秋の乗る船の後ろに他の小舟を素早く並べさせ秀秋の船を守ったのだ。だが、爆発の余波で船が転覆し、黒田官兵衛は行方不明になってしまった。今頃はサメの餌だとろう。秀秋達は後からやってきたモーターボートに助けられた。モーターボートには武田を裏切った佐々木という男が乗っていた。


 家老の山口宗永は秀吉がお目付でつけてきた男だ。秀秋はバカだが真面目だ。上手くコントロールすれば小早川は実質山口の物も同然と考え、秀秋を上手く誘導しているつもりだった。だが、秀秋は黒田官兵衛と話をした事で少し進歩したようで逆に乗せられている振りをしている。

 何にせよ、家督を継いだのだから領地を守らなければならない。だが、島が多いこの国で戦に使える船が無くなってしまった。


 そこで秀秋は秀吉を頼ろうとしたが、山口が止めた。そんな事をすればお咎めを受けるかもしれない。ただ秀秋は秀吉に海戦で勝ったと伝えたかった。報告はすべきだ、と山口もそこは折れたが船を大半失ったとは言えない。秀秋は小早川の船がどれだけ大事かを理解していないのだ。山口は水軍担当の家老である清水と結託して報告内容を決めた。清水とは海では言い争ったがお家の大事であるため、山口は下手に出た。


「清水殿、すまない。殿が太閤殿下に勝ったと自慢したいらしいのだ。この海での出来事は報告せねばならないが、船を失った事をどう報告するか悩んでいる」


「山口殿。自慢はともかく武田の船を沈めたのは事実。それに報告は必須。船は失ったが今、それがしの手の者が回収に出向いている。海に潜るのが得意な者達だ。太閤殿下にお会いした事はないが、嘘をつくのはまずいのではないか?」


「それだ。敵船の回収を話に入れよう。それと黒田官兵衛様の事も言わねばなるまい」


「黒田様は陸に上がった中には居られなんだ。報告すねばならないがそもそも何で海に居られたのか」


「兵の話では隆景様のご依頼だそうだ」


「そうか。隆景様が」


 隆景は水軍を、秀秋に任せた小早川を心配していたのだと思うと清水は胸が熱くなった。そして早馬での報告がされ、廣島に加藤清正が現れた。





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