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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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かなの行方

 徳は海上にいた。武田信豊が関白の動きを探るために出陣したが、そっちに武藤喜兵衛を置いているので安心して新型空母と共に大阪湾へ向かっている。途中で小田原から馬場に与えた戦艦駿河マーク2と合流する事になっている。馬場信春の跡を継いだ馬場美濃守昌房は難しい小田原という地を上手く治めていてさすが鬼美濃の子だとの評判だ。小田原には旧北条水軍の生き残りが多く、その中で武田に服従した者を海軍に抜擢した。馬場は反乱分子が紛れ込むことを嫌い飴と鞭を使い分けて上手く反武田を燻り出し、今残っているのは家族もろとも馬場を殿と羨む者達だ。食べたことのない豚肉やソーセージに兵の子供達はやんややんやの大騒ぎ、衣食住が今までより格段に良くなれば文句を言う奴は逆に叩かれる。小田原には武田商店が設置され、特殊部隊ゼットを年齢や怪我で引退した者達が働いている。当然、敵の草の監視や諸国との連絡網も兼ねている。


 戦艦駿河マーク2を待つ間に馬場美濃を思い出した。家督が上手く繋がってよかった。上手くいかないと武田の勢力衰えにつながるから大問題だ。そういえば信豊の跡を継いだ嫡男の信昌は昨年病に倒れ寝たきりだ。次男の次郎は経験不足だが非凡な才能を持っている。信豊が倒れた事も考えておかないとだな。などとその時は信豊が死ぬなんて1mmも考えていなかったのに後から虫の知らせだったのかもと思った。が、それは先の話だ。




 戦艦駿河マーク2が来たと物見から知らせがあったので甲板に出る。いい天気だ。物見が望遠鏡 見えるんです で東の方向を見て指差している。艦隊だ。10隻はいるな。全船連れてきたようだ。こちらは新型空母と戦艦一隻、巡洋艦2隻と楓改が一隻だ。かながみんな連れていってしまって高天神城に追加の船を要請したいるがまだ時間がかかるだろう。


 かなはどこまで行ったのか?そうしているうちに馬場の船団と合流した。小舟に乗り換えた将が空母に乗り込み跪く。


「徳様、大変ご無沙汰しております。馬場美濃、参上仕りました」


「馬場殿、久しぶりだけど会えて嬉しいけどあんたがきちゃダメでしょ!なんかあったら死んだ美濃守のおっちゃんにあたいが天国で怒られるだわさ」


「じっとしているわけにもいかず。お屋形様は駿河を出る際にそれがしを連れて行かれませんでした。それでは武田へ尽くす機会がありませぬ」


「お屋形様はあなたが大変な苦労を知ってるからこそ、小田原の地を纏めることを優先したのよ。戦だけが政治じゃあないの。まあ来ちゃったものは仕方ない。北条水軍の一番偉い奴を連れてきて」


 しばらくして若い侍が連れられてきた。いかにも海の男風ないで立ちをしている。


「徳様、この者ですが梶原景春と申します。北条水軍の将梶原景宗の嫡男で北条水軍の中では殿扱いとなっている者にございます」


「ああ、梶原殿の。景春君だね。徳です。よろしくね」


「梶原景春でございます。お目に掛かれて恐悦至極にございます」


「あなたのお父上は立派なお方よあの鉄盾は見事だった。うちの将の伊谷康直が関心していたわ」


「父上から徳様の事は耳が痛くなるほど聞かされて参りました。こうやってお仕え出来ることは梶原家にとってどれだけ幸運な事かわかっております。出自は北条ですが、今は馬場の一家臣として武田家に奉公致す所存」


「期待してるわ。美濃、いい若いのを捕まえたね。流石だわさ」


「ありがとうございます。井伊直政殿が協力してくれて助かりました。井伊殿は今どちらへ?」


「どこだろ?」


 井伊直政は幸村と東北へ行ってるはず。多分だけど、あれ?なんで多分?




 船団が大阪湾から瀬戸内海へ向かおうとしたその時、


「前方から船が来ます」


「ここは敵陣のようなものだからね。第二戦闘配置」


「それが大型空母のように見えるのですが」


「えっ、他に船は?」


「中駿河改がこちらに向かってきております。合図は至急救護必要」


 徳は医療班を準備させた。そして竹中半兵衛を呼んだ。


 中駿河改から伊谷康直とタンカに乗ったかなが現れ、かなはそのまま空母内に運ばれていった。伊谷康直は、


「面目ござらぬ。小早川水軍と戦になり船を失うてしまいました」


「マーク参も?」


「はい。航行不能となり敵に奪われるわけにもいかず全て沈めてきました。敵の船も全て海の底です」


「とにかく休んで。事情はそれから聞くは。半兵衛殿、戦闘空母の状況を確認してきて。高天神城からの応援船に補給物資は積んだわね?」


「もちろんです。おそらく魚雷は空でしょうからたんまりと。伊谷殿、後で詳しくお聞きいたしますぞ」


 半兵衛は中駿河改で戦闘空母へ向かった。徳はかなの元へ向かった。


「かな、喋れる?」


 かなは頷くだけで言葉が出ない。また負けてしまった。負けも同然の戦だった。悔しくて報告ができない。


「いいわ、休んで。話は伊谷殿から聞くから」


 そして伊谷康直から報告を聞いた徳は、戦闘空母をここに残して瀬戸内海へ向かった。かなは尾張へ運ばれていった。戦闘空母には高天神城からの応援船と共に後を追ってもらう。勝頼への報告はかなの護衛に頼んだ。


「この戦を無駄にはできない」


 徳は海を見てつぶやいた。




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