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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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魔神ゴー

 武藤信之は向かってくる馬上の武士が前田利長だと気づいた。


「さっきの阿呆は前田利長だな。丹羽様、滝川様の敵。ここで背を向けては織田勢に面目が立たぬ。迎え討つぞ!」


 信之が青い旗を振り回すと徐々に後方へ下がりつつ戦闘をしていた武藤軍がスッと前傾姿勢になったように見えた。攻撃態勢にスイッチしたのだ。武藤の兵は訓練されている。父、喜兵衛が言うには徳様考案の徳徳体操第一なる地獄の訓練前に行う準備運動なる不思議な動作から閃いたそうだ。なんでも兵が揃って同じ動きをする体操らしいが信之はそれを見たことはない。武藤喜兵衛はそれを見て合図とともに全部の兵を思い通りに動かす事を思いついたらしい。


 信之の前にあっという間に槍衾ができた。今まで武藤兵を追いかけていた前方の敵兵はあっという間に排除された。信之の後ろにいた弓兵が利長向けて矢を放つ。利長はそれを槍で必死に払う。利長の周囲に兵が出てきて利長を庇う。兵が次々に倒れていき、ついに利長の肩に矢が刺さった。


 それを見た後方の前田兵がまずいとばかりに前線へと走り出す。それを武藤兵が抑えにかかるがこの一瞬、数は前田の方が多い。利長は馬に気合を入れて走り出した。信之に向かってだ。だが利長の前には槍衾が待ち構えていた。馬がそれを見て立ち止まってしまう。いくら馬でも槍に自ら突っ込みはしない。


「ええい、お前たち、あの槍を崩せ!」



 信之の前に与助が現れた。


「殿、すぐそこまで」


 それだけ言ってまた姿を消した。それだけ聞けば十分だった。出し惜しみする必要がないという事がわかった。信之は青い棒と赤い棒を持ち手を上にあげクロスさせてから2回腕をぐるぐる回した。それを見た兵がまた配置を変えていく。


「10秒保たせよ、10、9、8、」


 信之の声に槍衾隊が同じように


「10、9、8」


 と声を上げ敵を抑える。利長の号令で槍衾を崩そうと前田兵が数の暴力で蹂躙しようとしていたが急に槍衾の抵抗が強くなった。


「3、2、1、下がれ!」


 槍衾が急に引いた。押せ押せで攻めていた前田兵が前方に倒れる。その兵に後続の兵が躓き乗っかる。下敷きになった兵が苦悶の声を上げているが歓声にかき消されてそのまま息が出来ずに死んでいく。味方兵が邪魔になって前田兵が進めなくなり間ができた。その間に槍衾隊は一気に下がり30mほどの空間ができた。


「てー!」


 どこからか現れた手筒隊が前田軍に向かって拡散手榴弾、桜花惨劇マーク2を放つ。貿易で手に入れた唐辛子パウダーと油がまぶしてある先が刃物のように尖れた鉄片が前田兵に襲いかかる。そしてそれは前田利長をも襲った。

 傷口に塩を塗られたような痛みが利長を襲い馬から転げ落ちてしまう。そしてその馬も目に唐辛子パウダーが入ったのか落馬した利長を蹴り上げてしまった。即死だ。


 桜花惨劇マーク2を二十発炸裂させたあと、火矢を放った。油に燃え移り武藤兵と前田兵の間に火の壁ができたように見えた。兵にも火が着き慌てて消そうとすると隣の兵に燃え移り大騒ぎだ。そこに通常の矢が降り注いでいく。弾が尽きた頃、前田利長の部隊は壊滅状態になっていた。だが、すぐに次の兵が攻めてきた。前田利家の本隊だ。


 そして武藤信之のところに武田信豊が現れた。信豊は先行して五千の兵を連れてきていた。


「源三郎、よくぞ持ち堪えた。下がるが良い」


「お待ちしておりました。ちょうど弾薬が尽きたところです。前田利長は討ち取りましたが、利家が出てきています。どうされますか?」


「ここまできたら前田利家の首を取らねば織田殿に申し訳が立たん。このまま攻め勝つ」


「ですが父上は?兵の数は足りておりませぬ」


「すぐに追いつく。向こうでもいろいろあったのだ。お前達、出番だ」


 特殊部隊ゼットのチーム戊が現れた。


「魔神組一番、あい」


「魔神組二番、ひなた」


「魔神組三番、りか」


「魔神組四番、みれい」


「魔神組五番、りこ」


『5人揃って、魔神ゴー!』


 いつものポーズをする5人の女達。その後ろに荷車が多数あり、配下の者達がカチャカチャ準備を始めている。

 みれいが、


「武藤様、殿は私たちが守ります。それと桜花惨劇改と、ボーガンの矢の予備を持ってきましたのでお使いください」


「助かる。殿、ご指示通り後方支援に回ります」


「頼む。すぐに喜兵衛がくる。それまで持ち堪えるぞ」





 前田利家の前に利長の遺体が運ばれてきた。馬に蹴られて首があさっての方向を向いている。利家の目から涙が溢れ呻き声が聞こえる。家臣は何も言えなかった。だが戦の音がその沈黙を破った。


「利長の弔い合戦になった。信忠の首を取るだけでは済まんぞ!総攻撃だ!」


 顔を真っ赤にした利家は、気持ちを切り替えてそう叫んだ。家臣が走り出た後、一人で遺体の前に座り込んだ。しばらくそうしていたが、また爆発音がした。利家は立ち上がった。


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