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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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狙撃ポイント

 織田信忠を襲った部隊とは別にずっと武田信豊が動くのを待っていた五百の兵、それを率いているのは甲賀の地龍だった。秀吉が明智の戦で敗れた丹波衆の残党を飛龍と地龍に預け、ゲリラ部隊として育てていたのだ。なかなか信豊が動かず仕掛けることができなかったのだが、遂に動きを見せたのを見て攻撃準備に入った。


「焦るな、ここまで待ったのだ。兵が動けば縦長になる。そうなれば信豊までの邪魔が減る」


 信豊は兵の中央にいた。たった五百の兵では仕掛けても辿り着くことさえ出来ない。今攻め込んでも無駄死にだ。見ていると兵の一部が駆け足で織田陣の方へ走っていく。武田信豊の周りの兵が徐々に減っていき信豊自身もゆっくり前へ向かって進み始めた。近くには武藤喜兵衛の姿も見える。間違いなく信豊だ。


「もう少し待て。先回りするぞ、例の場所まで奴らが進んだ時が信豊の最後だ」


 信豊の周りは旗本が囲み武藤喜兵衛も近くにいる。武藤は厄介だ。またおかしな武器を使ってくるかもしれん。だが地の利はこっちにある。ここは豊臣の領地だ。念の為上杉の動きも探ったが周辺の城からの支援が行われないように抑えに回っているようだ。上杉により京側からの支援は断ち切られた状態になっている。だが、地龍は仕掛ける場所を決めていた。そこを奴らが通りさえすればいい。そして信豊が乗った馬がゆっくりとその場所へ向かう。そのすぐ後ろには武藤喜兵衛がやはり馬上で何か信豊に話しかけているようだ。前方の兵が早足になって織田陣の方へ向かっていく。劣勢の織田に加勢に行くのだろう。


「作戦通りだ。なかなか動かなくて焦ったが前田利家がいい仕事をしたようだ。いいか、例の場所で仕掛けるぞ!」


 地龍の声に周囲が頷く。そこに突然の襲撃を受けた。武田の忍びが地龍達の動きが怪しいと仕掛けてきたのだ。飛苦無が地龍達を襲うが地龍達も備えていたので難なく撃退はしたが、死に際に合図を出そうとした時は流石に焦った。物音を立てないように対応していたのだが急遽飛びかかり止めを刺した。


「流石だ、タダでは死なんという事だ。口で言うのは簡単だがそれが実行できるのは敵ながら見事。仕方がない、もういいだろう、仕掛けるぞ」


 さっきの物音は周囲の忍びには聞こえただろう。次に仕掛けられると面倒だ。丁度目的地に信豊が差し掛かるところだ。頃合いだ。


 地龍の合図とともに鉄砲が信豊を襲う。この場所は街道が山肌に近く隠れるところもある。と言うよりここしか敵に見つからず狙撃できるところは無いと言っても過言では無い。ゆえに鉄砲も敵に見つからずに打てるのは1丁のみだった。それ以上人を配置すればすぐさま敵に見つかってしまう。地形を知っていなければわからない絶好の狙撃場所だった。


 切り込んで乱戦中に狙った方が狙撃兵は見つかり難いが、狙いが難しくなる。もしかしたら馬で駆け抜けて逃げられる可能性もある。地龍は単純な待ち伏せが最も効果的だと判断したのだ。


「ダーン!」


 銃声が響き信豊が落馬した。突然の銃声に周囲の馬も暴れ出し落馬する旗本もいた。武藤喜兵衛は山側を見て、


「あそこだ!」


 と叫ぶ。次の銃弾を詰め替えようとしていた兵は銃を放り出して逃げ出した。そこを武田の弓矢が襲う。地龍達五百の兵が一気に山を下る。それをまるで予測していたかのように武藤喜兵衛の前には盾を持った部隊が立ち、地龍達に向かって銃、弓矢、ボーガンが襲いかかる。手筒隊もどこからか現れて、桜花惨劇改改を空中へぶっ放す。桜花惨劇改改とは徳考案の新兵器で従来の手榴弾型ではあるものの尖った鉄片だけでなく空中に唐辛子パウダーを撒き散らすものだ。鉄片で怪我をしなかったとしても目や口から唐辛子パウダーが入れば、行動に制約がかかる。藻掻いている兵達を弓矢隊が確実に仕留めていく。


 後方に控えていた地龍は、


「なんだこの備えは?まるで襲われる事がわかっていたかのようだ。恐るべし武藤喜兵衛。だが武田信豊は殺した。いや、おかしい。まさか、影か?いつだ、いつの間に?」


 影だとすれば本物はどこだ?地龍は丹後の兵達を見捨てて山中へ消えていった。




 武藤喜兵衛は奇襲が来るのがわかっていたかのように完璧に撃退した。落馬した信豊は鉄兜に弾が命中し落馬したが脳震盪を起こしただけだった。落馬時に肩を強打し意識を取り戻した後も呻いている。


「武藤様、て、敵は?」


「良くやったぞ五平。お主のおかげで敵は撃退した。影と見破られたかはわからんが敵は信豊様を討ち取ったと思っただろう。少し休むと良い。わしは本物の信豊様に合流せねばならん」


 そう言って二万五千の兵を連れて前線へ向かっていった。攻めてきたのは丹後勢と聞かされたのはもう少し後の事だった。信豊の周りには特殊部隊ゼットのチーム戊と丁がいるから安心のはずなのだが胸騒ぎがしていた。


「急がねば」




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