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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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駿河へ

 翌朝、家康からのお土産を貰って岡崎を出た。


「さて伊那殿、それがしは真っ直ぐに古府中へ戻るが」


 お前はどうするんだ?と目が言っている。勝頼はせっかくここまできたのだから行ってみたいところがあった。


「いいのでしょうか?父上の許可は?」


「それがしが上手く言っておきます。で、どこへ行かれたいのか?」


 いやあ、この人手強いよ、ほんと。三雄殿が味方にするか殺すか決めろって言ってた意味がやっとわかったよ。さて、穴山は勝頼を気に入っていました。この若さで聡明、できればもう少し一緒に旅をしたいところですが、関東攻めが始まるのでさっさと戻らなければいけません。信玄からは勝頼はまだ出陣はさせないと言われていますので急いで戻らなくても良いでしょう。


「実は、駿河へ行ってみたいのです」





 勝頼は穴山と別れて東海道を駿河方面へ向かった。供は同じように10人。荷駄を運んでいた者は穴山と一緒に帰した。


「やっと自由に話せますね、殿」


「徳、そうは言ってもおとなしくしておれよ」


「わかってますよ、あたいをなんだと思ってるのですか?」


「やんちゃなお転婆娘」


「否定はしませんが」


 しないんかい!徳は岡崎の町で見張られていた事を報告した。


「そうか、そうだろうな。今はどうだ?」


「最初は感じましたがいなくなったようです。街道だと目立ちますからね」


 松平家康、こいつも手強そうだ。

 勝頼達の前と後ろには少し離れて旅姿をした3人組がいる。伊那の忍びが陰ながら護衛しているのだが、彼らはあるところに置いていく予定だ。そう、最初の目的地、遠江の菅山村。大字管ヶ谷字新田だ。


「俺たちは駿府へ真っ直ぐ行く。あっちは吾郎の部下に任せよう」


 金谷で伊那忍びと別れた。行ってみたかったが目立ちたくはない。嫌な予感がする、万が一ってこともあるしな。


 大井川を渡るのには舟を利用した。川渡しの船頭が勝頼達をじろじろ見ている。案の定、舟から降りてしばらく歩くと兵らしき人達に呼び止められた。


「どこから来た?」


「甲斐から参りました。旅の者ですが何かご用でしょうか?」


「ここは今川様のご領地でござる。怪しい者は捕らえるよう命じられておるのだ。甲斐のどこから来た?」


 面倒くさいなあ。正体明かしたくないけどまあいいか。さっきあいつらと別行動して良かった。どうします?って感じでみんなが見てる。


「そうですか。あまり大ごとにしたくはないのですが。伊那四郎勝頼と申します。若輩ゆえ見聞を広めるべく旅をしております」


「おい、知ってるか?」


「知らん」


 兵達は勝頼の事を知らなかった。それを聞いた徳が怒り出した。


「控えおろう、ここにおわすお方がどなたと心得、アイタ!」


「徳、下がっておれ、全く。お役目ご苦労様です。できれば見逃していただきたいのですが、叶わないのならそのどなたかお偉い方にお目通りできればと。どのみち駿府へ向かっておりますので」


 兵達は怪しい集団に声をかけたと思ったら面倒事になりそうで困りましたがとりあえず手荒な真似は避け、亀井城まで勝頼達を連れていきました。亀井城には朝比奈泰朝がいました。そう、あの桶狭間で松平に無理を言っていたあの朝比奈です。


「伊那勝頼と名乗ったのだな?」


「はい、子供ですが身なりはしっかりしておりました」


「まさかとは思うが。失礼がないようにお通ししろ」


 信玄の子がなんでここに。部屋に入り、勝頼を見ます。なんか本物に見える、


「お初にお目にかかります。伊那四郎勝頼と申します」


「朝比奈泰朝です。伊那殿は信玄公のご子息で間違いないか?」


「はい。今回はお忍びと言いますか、父、信玄より見聞を深めよという命令を受けまして駿河を旅しておりました」


「氏真様はご存知であろうか?」


「いえ、若輩者の旅でございます。大ごとにするのではなくただ見て回る事が目的ですので。実はそれがしはまだ海を見た事がないのです」


「海か。甲斐は山国ですからな。話はわかりましたし今川と武田は同盟国、何も問題がないようですが実は問題なのです」


 朝比奈は今川の事情を簡単に説明してくれた。桶狭間で今川義元が討たれ、今川家は氏真が継いだ。氏真は大将として父親の仇をとる動きを見せるべきだったがそれを怠った。生き残った重臣達は領地を守るべく動いているが氏真様が頼りなく見えてしまう。


「そういう時こそ重臣達が協力して氏真様を支えねばならん。ところが、だ」


 三河の松平は今川の領地を脅かし始め、三河の殆どが松平に取られてしまった。三河に近い遠江の連中もどっちつかずになっているそうだ。そこに勝頼が現れたという事らしい。


「今、伊那殿が駿河をうろちょろしているのは変に勘ぐられる可能性がある。重臣の中にも色々な考えの者がいるからな。それがしが駿府城までお送りいたす。氏真様に会っていってくれ」


「何故ですか?朝比奈殿にそこまでしていただくには何か理由が」


「ほう、さすがは信玄公のお子だ。氏真様にそういう頭があれば良いのだが。今川はどっちに転ぶかわからん。これは何かの縁、いざという時は頼む」



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