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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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予期せぬ再会

 将軍武田信勝は駿府を出発した。兵は相模、甲斐、駿河、遠江、信濃衆合わせて2万、もっと集められるがあえて抑えている。この軍の軍師は天海大僧正と呼ばれる老人だ。竹中半兵衛も同行したがっていたが、徳の補佐が必要になる気がしてそっちに行くように指示した。信濃からは真田の長男、信綱、甲斐からは勝沼、南部のほかに信玄の弟の家系の川窪、相模からは馬場等、武田譜代と呼べる連中が参陣している。


 信勝は勝頼の指示ではなく自らの意思で出陣した。信豊もそうだ。この大戦になるかもしれない大事な場面で真の棟梁である勝頼の命を待たずに動いている。暗黙の了解というやつだ。勝頼はそれを期待し、何がどうなっても勝てる準備をしている。徳もそれをわかって行動しているのだ。


 信豊は織田、上杉と京へ向かった。これは信勝が出陣すると聞いたので、それではお先にとばかりに出陣した。尾張で信勝を待っていても仕方がないし敵は勝頼を東北に釘付けにしている間に信勝の首を取りたいのだろうから仕掛けてくる。尾張は信豊の領地になってから城下町、港町として大発展した。武田海軍の力もあるがシャムとの鉛取引は武田の銃器に取って必要な弾作成に貢献している。徳の発想から新しい武器が開発されているが国内の資源だけでは実現ができない物も多い。数年前から海軍の別部隊が海外貿易をするために諸国を回っていたのだった。信豊は尾張を戦場にしたくなかった。


 勝頼はキリシタンを否定も肯定もしていない。仏も神も信仰は自由だし好きにすればいいと思っている。だが、宣教師の中にはどうみてもそれ以外の目的を持った連中が紛れ込んでいる。博打、金貸しによって土地を奪おうとしたり、領土を求めているとも思える事件も起きている。なのでキリシタンとの貿易をするのではなく、こっちが主導権を持って海外へ出向くことにしたのだった。


 その背景には三雄の世界の歴史では宗教による戦争が絶えないという事がある。秀吉を倒した後は戦を無くしたいのだ。徳川幕府が鎖国をしたと言う話を聞いた時、家康も同じ考えだったのだと思った。ただ鎖国にはマイナス面もある。


 信勝は天海大僧正からキリシタンの話を詳しく聞いた。信長がどうしていたか、明智十兵衛がそれを受けてどうしたかを。そして勝頼の判断を継続している。


 信勝の軍が尾張に到着した。出迎えたのは本多忠勝だった。


「忠勝、信豊殿と一緒に行ったとばっかり思っていたぞ。どうしたのだ?」


「お屋形様。わしの独断で殿にお許しをもらいました。あそこには大勢いますのでお屋形様をお護りしたく」


「そうか。それでは頼む」


 天海と忠勝が向かい合う。なんか青い火花が飛んでる。信勝はそれを気にせずに、


「先発部隊はどこまで進んだ?」


「山城に入りましたそうです。山崎の辺りだと」


 忠勝が信勝を見ないで天海を睨みながら答える。やれやれ。


「忠勝。そのお方は父上が余に下さった軍師殿だ。何か不満でもあるのか?」


「お屋形様。そういうことでしたか。旧知の人物によく似ていたのでつい。天海殿、ご勘弁願いたい」


「本多様。その旧知の人はもうこの世にはいないのでは?私は天海、ただの坊主です。今後ともよろしくお願い致す」


 と言ってから天海は信勝に向かって、


「ここで待つのがよろしいかと」


「わかった。そうしよう」


 忠勝は意味がわからなかったが、そのまま信勝の護衛を強化することにした。敵が将軍の首を狙っているのだ。油断はできない。天海大僧正、まさかあの男が生きていて軍師になっているとは!大屋形様はわしには絶対に想像できないところを進まれている。危険がないからお屋形様のお側に置いているのだろうが、ううむ。

 忠勝は考えてもわからないので自分の役目を勤めることにした。何があってもいいようにしておかなければならない。


 と、そこに影猫が現れた。影猫は今は豊臣方の後藤信尹の女中になっているが、忠勝はそれを知らない。忠勝にとっては前の主人、徳川家康の娘でしかないのだ。


「本多様、お久しぶりでございます」


「全くでござる。武藤喜兵衛様にお預けして以来ですな。もうお会いする事は無いと思っておりました」


「私もです。お屋形様のところへ行く途中お姿をお見かけしたので、つい。ここにいらっしゃるとは思いませんでした。お屋形様の護りをお願いします」


「やはり、狙われているのですか?」


「お屋形様の周囲は簡単には近づけ無いですが、遠くからの狙撃にご注意くださいませ。狙撃銃なる物の手配の噂があります。私はその事をお屋形様にお伝えするよう命じられました」


 命じられた?誰に?武藤喜兵衛に預けて以来、何をしているのか知らなかったが、そうか。そういうお役目に付いているのか。大屋形様のお考えということか。


「狙撃銃?わかり申した。警戒を強めます」


「お願いいたします。本多様、ご武運を」


「ありがたきお言葉。この忠勝、そのお言葉で千人力になりました。ごめん」


 そう言って照れくさそうに忠勝は早歩きで去っていった。影猫は信勝に会ってすぐに大阪へ戻っていった。







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