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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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話し相手

 仙台に戻った最上義親は、早速勝頼へ報告しに城へ向かった。ところが、勝頼は不在だという。伊達小次郎と妻の春と共に山へ芝刈りにではなく散策へ出かけたという。小次郎の妻は勝頼の娘だ。そういうこともあるかと思いさてどうするかと考えていたところ、声をかけられた。


「義親殿ですな、大屋形様から義親殿の報告を聞くよう言われております。それがしは上杉家家臣、直江兼続と申します」


 義親は驚いた。そういえば上杉の家老が来ていると聞いてはいたが直江兼続の名前は二代将軍信勝からも良く聞いていたのだ。ここにその直江兼続が?


「直江殿。報告の前に一つお聞きしてもよろしいか?」


「何なりと」


 兼続の顔は楽しそうだ。何か憎めない雰囲気を持っている。勝頼が報告をという事は勝頼に相当近いという事だが、なんで上杉なのだろうか?信じるしかあるまいが、それならでは聞いてみなければ。


「それがしが父上と兄上と来ていたら大屋形様はどうするおつもりだったのでしょう」


 それを聞いて兼続の顔色が変わった。


「出迎えがそれがしでは不服だと?」


 義親は急に声を荒げた兼続に驚く。


「いやいや冗談でござる。怒っているわけではないのです」


 と、また穏やかな顔に戻る。一瞬焦った義親だったがホッとして、


「お気を悪くさせるつもりでは。もしかしてですが」


「左様。来ないと思って出かけられたのですよ、勝頼公は」


 義親は考え込んだ。文で良いところをわざわざ俺を使いにだした。普通親子で参上すると考えるものではないだろうか?その上で来ないと思っていたと???

 兼続はその様子を見て面白そうにしている。兼続は兼続でなんで勝頼がこの役目を振ってきたかも考えていたのだ。兼続は本来なら出しゃばり過ぎで処罰されてもおかしくないくらいの行動をしているが、勝頼はそれを許している。それにはそれだけの情報を勝頼に与えているからで、成果がなければ許されないだろう。いくら勝頼が配下に優しいとはいえ他への影響もある。エコ贔屓と捉える連中もいるからだ。


 兼続の役目は義親の将来性の見極め、東北の仕置きに使えるかというところだろう。それを明確に支持しないのが勝頼だ。いや、相手によって使い分けているようにも見える。目的とゴールをはっきり指示する相手とはっきり言わずに相手に任せる時があるように見える。これは上杉景勝にはない。


「それでお父上はなんと?」


「一両日中には仕度をして仙台まで来ると言っておられました」


「ご一緒においでになるのかと思っておりましたが何か不都合でも?」


「それがしには先に行けと申されまして」


 ふーん、そうか。


「義康殿にはお会いになられましたか?」


「はい、同じように先に行けと」


「久しぶりにお会いになられたのでしょう。酒でも酌み交わされ話が弾まれた事でしょうな」


「それが、」


「追い払われるように、ですかな?」


 !!!そうなのだ。俺に長くいて欲しくないような雰囲気だった。兼続に言われてはっきりわかった。だが、なぜだ?


「義親殿。お会いになられたのは間違いなくお父上と兄上様でしたか?」


 なんでそんな事を聞くのだ?そういえば聞いたことがある。敵に変装が上手な連中がいると。あれが変装?まさか、見た目も声も父上だった。だがあの違和感、変装なら説明がつくが。だから大屋形様は来ないと思って?


 義親は黙って考え込んでいる。兼続は義親が話し出すまで待つ事にした。





 夕方、勝頼が仙台城に戻ってきた。兼続は聞いたままを報告してそのまま城から出て行った。越後へ戻るように勝頼に言われたのだ。兼続は千名の兵と共に戻って行った。その様子は当然敵が見ている。


 3日経ったが最上義光に動きはなかった。当然、武田忍びは山形で義光の様子を見張っている。だから義光はまだ山形にいるはずだった。ところが、


「大屋形様。最上義光らしき者がたったの5名で仙台へ入りましてございます」


 知らせてきたのは吾郎だった。特殊部隊ゼットは街道に目を光らせていたはずだ。その目を潜り抜けて現れたようだ。


「ほう、それは普通ではないと言っているようなものではないか?どういうつもりか?甲斐姫、どう思う?」


 勝頼は今回は甲斐姫を連れてきている。徳が寄越したのだから頼りになるはずだ。


「撹乱。5名では大屋形様は打ち取れませぬ」


「ほう。風魔小太郎は手練れだぞ」


「他勢に無勢、城に入る前に私が撃ち殺します」


 甲斐姫は鉄砲、ハンドガンの名手だ。時間のある時にはひたすら撃ちまくっていたらしい。


「どう撹乱すると思う」


「敵の目的は時間稼ぎ。大屋形様を東北に足止めし、その間にお屋形様に勝つつもりでしょう。ここで慌てて仕掛けては来ません」


「なれば」


「はい、恐らくは偽物。大屋形様が山形まで行けば亡き者にする機会が増えます。と言って放って置いて西へ向かえば」


「背後を突かれる、か」


 甲斐姫の考えは勝頼と同じだった。勝頼は誰かと話しながら自分の考えが正しいかを確認する癖がある。その役目が今回は甲斐姫が務めている。


 そして一刻後、5人の姿が消えた。



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