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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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ドリルミサイル

 武田海軍の船で航行が難しくなった船からは小舟、といってもモーターボートなのだが、それに乗って船員は戦場から離れていっている。かなは命を大事に!を自分の兵に常々言い聞かせていて避難訓練も欠かさずに行ってきた。その成果が出ている。


 海上では陸地と違って身を隠すところもないし、何もしなければ溺れてしまう。かなは今まで命を助けられてきた。逃げることは決して卑怯ではない事を身をもって知っている。彼らは戦闘空母の艦載機、中駿河改によって回収される筈だ。


 物見からその報告を受けたかなは一瞬安心した顔をしたがすぐに厳しい顔に戻った。


「突っ込んで。ドリルミサイル発射よ!」


 逃げていた楓が反転して砲撃を敵に撃ち込んでいる。そしてふたたび反転して逃げていく。その方向からの砲撃は予想していなかったのか鉄盾の備えがなく、小早川の船がまた1隻沈んだ。




 小早川水軍も砲撃の手を緩めない。が、敵船の鉄盾に砲弾が防がれてしまう。官兵衛はそれならと船を狙わない作戦に出た。海面を砲撃し波を起こさせて敵の船の航行を妨害するという百戦錬磨の小早川水軍も聞いたことのない戦法だった。


「弾がもったいのうございます」


「いいからやれ!」


 黒田官兵衛は海での戦は初めてだ。初めてだからこそ常識に囚われない戦法を思いついたのだろう。そしてそれはドリルミサイルを撃つために前進してきた武田海軍の進行方向を狂わせた。




「なに、この揺れは?」


 かなは状況を知りたかった。敵船が船を狙わず海を撃っているというのを聞いて、


「やっぱり指揮官が変わった。何者よ、こんな方法考えつくなんて」


 武田海軍は訓練を受けている。このくらいの横波で慌てたりはしない。官兵衛の狙いは船を揺らせ方向を狂わせ、鉄盾が横を向いた時に船を攻撃することだった。巡洋艦1隻が足を取られ小早川水軍の砲撃をモロに受けたがそれだけで済んだのは訓練の賜物だ。


「ドリルミサイル、全艦撃っちゃっていいよー!」


 かなは甲板に出てメガホンで叫んだ。それと同時に手旗信号が振られる。ドリルミサイルは船首に埋まっていて真正面に発射する仕組みだ。なので鉄盾に邪魔されないのだ。


 武田海軍の船からドリルミサイルが7本飛んだ。それは真っ直ぐに敵の船首を狙っていた。が、船の揺れによって直撃にならない船もあった。戦艦官兵衛もだ。結果的に官兵衛の作戦はここに一番効果があったのだが結果論だろう。だが、ドリルミサイルの威力はものすごく直撃でなくとも船には大穴が空き浸水していく。




『ズドーン!!!』


 大きな音と共に戦艦官兵衛を振動が襲った。船が大きく縦に揺れた。官兵衛は衝撃で部屋の隅まで吹っ飛ばされてしまう。そして官兵衛がぶつかってクッションになったのは小早川秀秋だった。


「い、いやい、いや痛い」


「これは中納言様、助かり申した。礼を言います」


 官兵衛は血だらけになっている秀秋にそう言っただけで指揮に戻る。まだこんなところにいたのか。忘れていたが構っている暇はない。


「船はどうなっている。状況を知らせよ!」


 横にいた兵に状況を調査させに行かせた。その時に物見からの報告があった。この船は浸水しているが敵攻撃の直撃は避けたみたいでまだしばらくは沈まない。他の船はほとんどが大破していて攻撃はできそうもないと。


「そうか。敵は、敵の船はどうなっている?」





 かなは全船に鉄盾を下げさせた。もう砲撃はできない筈だ。敵は船を捨てて逃げようとするだろう。生きているかはわからないが小早川秀秋と、敵の新しい指揮官はできるならば捕えたい。


「逃げる奴で偉そうなのは捕えて。あとは攻撃の意志がなければ無視していいわ」


 船を無くせばもう戦えないだろう。敵の砲撃の距離や弾数には驚いたがこれで小早川水軍の主力は叩けたのかもしれない。この先は敵の領地であり造船所があるとされているが、風魔の見張りが厳しかったエリアだ。こちらもかなり消耗しているから、先に進むのは危ないだろう。


 周囲の船に第二戦闘配置を指示して艦内に戻ろうとしたその時、戦艦駿河マーク参は後ろから砲撃を受けた。直撃だ。


 他の船はかなから命令があった敵の偉そうな奴捕獲作戦に移行している最中で攻撃に対して無防備、正確には前方は警戒していたのだが、後方は1ミリも警戒していなかった。その隙をついて、まさにここしかないタイミングで戦艦用宗が武田の船に砲撃を始めたのだ。戦艦駿河マーク参は大破、他の船も砲撃を受けたが戦艦金谷だけは備えがあった。伊谷は度重なる不手際を連発していた部下の佐々木を警戒していたのだ。


「用宗を撃て!あ奴らは裏切りおった」


 伊谷の指示は飛んだが、さっきまで味方だった船だ。知り合いも多くあの船には乗っている。伊谷の部下には躊躇があった。


「さすがは伊谷、たいしたものだ。かなは所詮、女よ。詰めが甘いわ。撃って撃って撃ちまくれ。今まで我慢していた分全部吐き出して小早川水軍に合流する」


 佐々木はそう指示した。佐々木の部下は最初からグルだ。なので味方の船を撃つのに躊躇がない。その差が戦局を支配した。用宗は金谷を蹴散らし、炎上する駿河を横目に見つつ進んでいった。



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