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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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駆け引き

 かなは爆音弾で硬直した敵の隙をつくべく、子駿河改を敵正面から突っ込ませた。だが、官兵衛はすでに迎撃の指示を出していて敵の砲撃をもろに喰らう事になる。それでも小回りが得意の子駿河改は、右に左に旋回し海上を進む。10隻は沈んだものの残りの船は小早川水軍の船、一隻一隻に狙いをつけて新兵器の魚雷を発射した。


 魚雷、水中を真っ直ぐに進む爆弾だ。後部にゼンマイスクリューが設置されていて先端に信管がある。ぶつかったら爆発する仕組みだ。


 子駿河改には特殊部隊チーム凱が砲撃手として配置されている。彼らは魚雷発射に特化した訓練を行ってきたそれしか取り柄がない連中だ。この魚雷、さほど精度は良くない。そもそもが真っ直ぐ水中を進んでくれないのだ。何度も改良を重ねてここまでのものができたが、人の力がないと使えない。真っ直ぐ敵に向かって進ませるだけでかなりの技量がいるのだ。


 竹中半兵衛は、武藤喜兵衛が戦で手柄を立てている間に戦闘には参加していない。高天神城で開発に専念していたのだが、今までも小田原城攻撃で使用したロケットも考案は徳だが実際に製造したのは半兵衛だ。この魚雷もそうで、最初は小田原のロケットのように人間が操作する人間魚雷から始まった。だが、ロケットのように脱出装置が作れず兵が死んでしまう。そのために今の型になったが命中精度が上がらなかった。


 それに対して、真田幸村は特殊部隊ゼットの訓練生から海軍に向いている人を集めて人による操作でなんとかしようとした。5人揃ってマジンゴーではないが、人に依存するべきところは依存すべしと考えたのだ。あれを見た影響があったのは否定できない。


 子駿河改は、魚雷発射後すぐさま離脱すべく反転した。小早川水軍は魚雷を見たことがないしそれが何かすらわからない。よく見れば海の浅いところを何かが向かってきているのがわかるのだが、物見の視線がそこには行かない。物見には敵船が突然反転して逃げようとしているとしかわからなかった。それを指揮官に伝え、砲撃をしようとした時、魚雷が船底に命中した。


 一気に小早川水軍の船20隻が航行に影響が出るダメージを負い、その船は攻撃に参加できなくなった。その間に子駿河改は逃げていった。





「官兵衛様、突然味方の船が攻撃され艦隊の半数が大破しました。残りは15隻にございます」


 官兵衛は報告に驚きながらも冷静さを失わない。すでに元々秀秋が乗ってきた戦艦尾道とやらも大破している。


「状況を詳しく説明しろ、その間も攻撃を緩めるな!弾があるだけ撃ちまくれ」


 官兵衛は小舟による攻撃で、そいつらはもう武器が無く逃げたと判断した。戦場で兵を動かすのとは全く違う戦略をが必要だった。隠れるところもなければ弾薬の補給があるわけでもない。となれば戦法は限られる筈だ。


 戦力は武田の方が優ってしまった。数で勝っていたはずが、あっという間に逆転している。あの小舟にしてやられた。あれはどこから出てきたのだろうか?


 物見によると鉄盾を持つ大きな船が3隻、それよりも少し小さな船が6隻近づいてきているという。小早川水軍の砲撃が止まないので盾を下ろすことができず、向こうからの砲撃も止まっている。この機にできる事をしなければ一方的にやられてしまう。





 かなの方はなかなか止まない敵の砲撃にイライラしていた。


「どんだけ弾積んでんのよ。キリがないじゃない」


 子駿河改の魚雷攻撃は成功したが、10隻も沈められてしまった。沈んだ船の兵は素早く泳ぎ他の船に救助されたという。特殊部隊ゼットの名は伊達ではないという事だ。かなはドリルミサイルの準備の指示を出した。戦闘空母に載っていた子駿河改は護衛の10隻を残して出撃させた。その10隻はこの戦艦駿河マーク参の後方、敵の砲弾が届かないところで待機させている。生き残った子駿河改は空母に戻れば補給できるが時間がかかりこの戦闘にはもう使えない。


「敵船で戦闘可能なのは15隻、一番大きな船はまだ健在です。小早川秀秋の生死は不明」


「そりゃそうね。最初の船に乗ってたとしても生きてるんじゃない?15隻か。こっちは?」


「駿河、金谷、用宗、楓2隻、櫻3隻、巡洋艦4隻、あとは艦載機です。他にもありますが攻撃は期待できません」


 戦闘から戻ってきている船は当てにはならないと言っているようだ。弾薬が残りすくないと見ている。


「戻ってくる楓と櫻には一度反転させて全弾砲撃後に戻させて。撃ってくるとは思ってないだろうから」


「はっ、信号弾を使います」




 色々な駆け引きがかなと官兵衛の間で交錯し、かなの爆音弾で武田が優位に立った。そしてここからが正念場、本陣同士がぶつかり合おうとしている。




 官兵衛が指示を出す。


「信号弾を上げよ」


 その信号弾が上がる前に戦闘は佳境を向かえる。

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