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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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砲弾の行方

 すぐさま、救出に速度を上げるよう指示した後、艦隊の装備の説明を受けた。なるほど、大したものだ。


「敵は武田だな、勝てるのか?」


「やってみなければわかりません。ただ、同程度の装備はあると思います」


 そういって別所は少し笑みを浮かべながら話した。あとは戦略とでも言いたいのか?海戦はど素人な俺に?


 あっという間に秀秋の乗る船団に追いついた官兵衛は最も射程の長い大砲を撃たせた。そして艦隊の配置を魚鱗の陣もどきにするようにして、秀秋の船を中央に配置させるように陣形を取った。


「敵の大砲を防ぐのだ。物見に60数える毎に敵の位置を報告させろ」




 戦艦尾道に乗る小早川秀秋は、援軍が来たと報告を受けて喜んだ。折角の初陣なのに逃げ回ってばかりいるのは面白くなかった。


「清水、反撃に出れるのではないか?」


「殿、あの船はわが水軍の最新艦です。他の船も攻撃力に優れた船ばかりです。ですが相手は武田、勝てるとは限りません」


「お主は怯えてばかりではないか。小早川水軍は弱虫の集まりなのか?聞いた話とだいぶ違うぞ」


 清水はそれを聞いて心底むかついた。お前の命の心配をしてるのがわからないのか!だが、それを言葉にはできない。


「違いまする。殿をお守りするのが家臣の役目にございます。まずはあの船と連絡を取りまするゆえ少しお待ちください。それでは行って参ります」


「待て、余も行こう。お主に任せておくだけにもいくまい」


 何を言うのだ。さっきまで震えていたではないか。それも口に出す事はできなかった。応援が来たから戦う?清水は北条水軍の生き残りの話を風魔から聞かされている。そんなに甘い相手ではないのだ。なんとかお逃げ頂こうと思っているのに。仕方なく秀秋を連れて戦艦尾道から小舟に乗って大型の新型艦へ移動している間に戦艦が大砲を撃った。それに驚きながら新型艦に乗り込んだ。すると、


「たわけが!この戦闘中に呑気に移動してくるとは戦を知らないにも程がある。その隅で大人しくしていろ!」


 黒田官兵衛の叱責が飛んだ。清水は黒田官兵衛を知らない。知らないが迫力に圧倒されて項垂れてしまう。言ってることがもっともだったという事もある。


「どなたか存じませぬがお出迎えありがたく。某は清水景春と申します。小早川家の家老を務めております。そしてこちらが秀秋様でございます」


 秀秋はびびって挨拶しようとしない。仕方なく清水が先に挨拶をした。ところが急に秀秋が話を始める。


「た、たわけとは余、余の事か。ぶ、ぶれいであろう。余は中納言だぞ」


「だからなんだ?わしは黒田官兵衛だ。文句があるか?」


「黒田官兵衛、叔父上の………、なぜここに?」


 秀秋は恐れ慄いた。官兵衛がどんな男かは有名だった。秀吉に遠慮なく意見できる男、だが隠居したと聞いていたがなぜこの船の上にいるのか?


「それはわしにもわからん。が、ここにいる以上武田に勝たねばならん。中納言様には静かにしていただきたい。死にたいのならそこの小舟に乗って武田の船に突っ込んでもらうが、どうだ?」


 そうしている間にも1分おきに武田の船の配置情報が物見から官兵衛に報告が入る。鈍い秀秋にも自分が場違いであることがやっとわかったようで、大人しく部屋の隅に座り込んだ。清水はそれを見て官兵衛の前に跪き、


「ご指示を」





 武田海軍は鶴翼隊系から駆逐艦楓と櫻が加速して先行し始めた。両翼を進み小早川水軍の側面に回り込もうとしている。少し遅れて戦艦用宗と金谷が進み中央に戦艦駿河マーク参が配置していて砲撃準備が整った。


「撃っちゃいなさいなー!」


 徳直伝のおかしな、かなの号令と共に砲弾が発射される。それと同時に小早川の戦艦官兵衛から、主砲の三連砲塔から三発の砲弾が発射された。駿河マーク参の砲弾は拡散弾だった。敵の鉄盾を飛び越えて秀秋が乗っているであろう戦艦用宗を狙ったのだ。敵の新型艦よりもいわゆる本陣を狙う、かなの非凡さが現れている戦法だ。


 砲弾は空中で、ほぼ中央の位置ですれ違った。ほぼ同等の性能という事だ。新型のスクリュークラッシャー砲と、別所が風魔から入手した情報から開発した大砲、これには豊臣方の薩摩が交流を始めたイギリス海軍の情報も盛り込まれている、この時代の最新型だ。


 敵の砲弾は三発、かなは同じように鉄網を発射し砲弾を絡めようとしたが、威力はさっきの三倍、勢いは殺したものの砲弾は駿河のすぐ前に落ちて爆発した。衝撃で船が大揺れする。


「三連砲塔?敵もやるわね。用宗と金谷にスクリュークラッシャー砲を発射させて。発砲タイミングは任せるわ。拡散弾はあと二発ね。一番二番三番砲塔に通常弾、楓と櫻が突っ込む前まで連射!」





 駿河マーク参の砲弾は小早川水軍の鉄盾を飛び越えて、小早川秀秋がちょっと前まで乗っていた戦艦尾道の上空で爆発した。そこから尖った鉄片と小型手榴弾が四方へ飛び散り尾道の甲板にいた敵兵を殺傷していった。それは尾道の前にいた戦艦官兵衛の物見をも攻撃し命を奪った。







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