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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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反撃

 戦艦駿河マーク参を中央に、武田水軍の船が鶴翼隊系を維持しながら進んでいる。戦闘空母は後ろから付いてはきてはいるが、元々足が遅いのでどんどん離れていく。結局戦闘空母も参戦する事になったようだ。かなが後から指示したのは一体?


 少し進むと敵船が見えた。意外と近くまで来ていたようだ。望遠鏡、見えるんですによって敵よりも早く見つけることができるのが武田海軍の強みだ。


「かな様、敵船発見。数が増えています。船首をこちらに向けています」


 ふーん、小早川秀秋って好戦的なのかしら?それとも部下に変な奴がいるとか?なんにせよ、本格的な海戦になりそうです。そうなれば遠慮は要りません。


「スクリュークラッシャー砲用意!」


 その時だった。見張りが大声で叫んだ。


「敵船、砲弾発射!」


「えっと、マジで?届くの?網発射急いで」


 戦艦駿河マーク参にはスクリュークラッシャー砲三連砲塔の他に、船首にドリルミサイル、防御用鉄網発射装置が装備されている。かなが叫んだ網とは、鉄網を空中に発射し、敵の砲弾を絡めとり海へ落とすものだ。敵の砲弾は駿河マーク参に届く前に網に絡めとられた。


「あっぶなー、届いてるじゃん。どういう事?」


「敵船に大きな船があり、そこから発射された模様です」


「敵も新型艦を作ってたか。こっちも発射急いで。金谷と用宗にも砲撃させて」


「かな様。大きな船の前に盾のような壁を作っている船があります」


 またそれか。小田原海戦で北条水軍が使用した砲撃防御用の鉄盾だ。武田海軍の優位性の一つである長距離大砲も盾で防がれては意味がない。


「ドリルミサイルは近づかないと撃てないし、あれを使うか。まだ実戦投入した事ないけどどのみち敵のあれが最新型なら使い所でしょ。駿河の砲弾を拡散弾に変更、金谷と用宗は砲撃せずに鶴翼隊系のまま前進。楓と櫻も隊系維持させて、先行しすぎないようにね」





 小早川水軍の新型艦、名を官兵衛という。黒田官兵衛、秀吉について参謀役として地位を高めてきていたが、今回の跡取り事件、子供可愛さに石田三成暗殺を実施しようとした秀吉に諫言をした際、秀吉の顔色が変わったのを機に隠居して出生地に近い姫路で暮らし始めた。それを耳にした小早川隆景は勿体無いと考えて、それならばと官兵衛を海に誘ったのだ。


「海はいい、陸地での揉め事など気にせずに暴れられますぞ」


 官兵衛はそれもいいか、と小早川水軍に顔を出すようになった。隆景は隠居した後、養子の秀秋の後見人に官兵衛を狙ったのだ。官兵衛は元々は姫路の小寺家の家臣にすぎなかった。土地柄、毛利家とは色々あったが秀吉の配下になり、その秀吉が毛利を乗っ取るのに暗躍したのが官兵衛だ。官兵衛はまず小早川隆景に目を付けた。そして信長が死んだ戦において、なんとか生き残り本願寺跡へ泳ぎ辿り着いた小早川隆景をうまく味方に引き入れた。毛利の中の隆景の影響力は大きい。そのおかげで秀吉はうまく成り上がれたのだった。


 官兵衛は家督を譲り隠居したのはポーズに過ぎない。ただ今引かなければ秀吉に殺されてしまうかもしれないから、仕方なく大阪を離れたのだ。毛利元就の子で生き残っているのは隆景だけだ。仲良くしておいて損はない。


 瀬戸内海の数多くある小さい島、その中に小早川水軍の造船基地がある。周囲を別の島が囲んでいて敵が外から近づくのは困難だ。しかもその入り口に当たる入江の横にある島は風魔が引っ越してきていた。そうそこが新しい風魔の里になっている。


 官兵衛は初めて小早川の造船所を訪れていた。隆景は大阪へ行っていていなかった。秀吉に呼び出され船で行ったようだ。確か相続の話だった筈だ。子がいない家は辛い。港にすこぶる大きい鉄の船が見えたので、そこにいる武士に聞いてみた。


「もし、某は黒田官兵衛と申す者。小早川隆景様に招待されて参ったのだが、この大きい鉄の船は一体?」


「黒田様、殿から伺っております。お初にお目にかかります。某は別所治長と申します」


「別所殿?まさかに?ご一族で?」


 別所一族とは因縁深い。だが滅ぼした筈だった。生き残りがいたとなると………、しかし小早川とも争っていたのにここにいるのは不自然だ。


「隠し子という事になっておりまする。ですが某は別所の誰とも会った事はありません。母が死に際にそう名乗って小早川隆景様のところへ行けと申したので行ってみたところ大層驚かれて。鍛冶の心得がありましたおかげか、ここで働かさせていただいております」


 そんな事が。やはり隆景は面白い。


「これもご縁。よろしく頼みます。で、この船は?」


「風魔が持ってきた武田の船の図面から、某が作りました。同じではつまらないので工夫を施してあります。そろそろ殿が乗っていった船が戻る頃でございます。どうでしょう?乗ってみませんか?」


「この船の名は?」


「官兵衛と名付けるように殿が」


「…………、お戯れを」


 別所の顔は真剣だった。隆景に言って名前を変えて貰わねば、と思いつつ官兵衛は戦艦官兵衛に乗り込んだ。









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