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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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あーあ、どうしましょ

『どーーーん!』


 爆音がして大砲が発射された。それを見ていた小早川秀秋は慌てて耳を塞ぎしゃがみ込む。よく見るとガタガタと震えている。何が大砲が見たいだ、見た目通りの根性ナシかい。さて山口はどこかと思えば隅っこでしゃがみ込んでいる。清水は新しい当主に呆れながらも直ちに次の指示を出す。実際呆れている暇はないのだ。


「全船この海域から離脱、反転だ。急げ!」


 間に合ってくれればいいが。清水はこの砲撃が秀秋のいう時間稼ぎになる事を期待するしかなかった。





「敵が大砲を撃ちました。射角から我が船の200歩前海上に着弾すると思われます」


 かなはそれを聞いて、まさかと思った。向こうから本当に仕掛けてくるとは思っていなかったのだ。備えはしていたし様子も見てはいたが、一番無いと思っていたのだが、


「うちのは届くよね?で、撃った後は?」


「逃げようとしている模様」


 ???、試し撃ちみたいなもの?実戦で?よくわからないが向こうの射程距離はわかった。マークIIより少し短いくらいだ。あれが最新鋭艦かはわからないがとりあえず脅威ではなさそうだ。


「豊臣の水軍とは長い間戦闘がないからね、戦力がわからないから慎重になってたけどあれならいけそうね。楓と櫻は両側面から追尾、駿河、金谷はこのまま前進。空母はそのまま後ろから念の為に付いてきて」


「承知」


 直ぐに伝令の手旗信号が振られ、一気に船が前進を始めます。楓と櫻は全速力で進んでいきます。


「ゼンマイブースター起動!」


 楓と櫻には、後尾中央のガソリンエンジンによる駆動のほかにその左右に取り付けられたゼンマイによるスクリューが取り付けられています。一時的に高速度を出せるように改造されているのです。


 楓と櫻はあっという間に敵船団との距離を詰めていきます。




 小早川秀秋はまた船長室へ戻りました。大砲の威力を見て、これなら負けるはずは無いと思い違いをしています。秀秋の旗艦を他の船が囲むように陣形を取りながら瀬戸内海に向かって反転し始めたのを見て、


「なぜ逃げる?」


 清水は秀秋に呼び出されました。


「殿、敵が迫ってきています。逃げなければ沈められてしまいます」


「あの大砲があって負けるわけはなかろう」


「敵も大砲を持っているのです。ここはそれがしを信じてくだされ」


「面白く無いのう」


 清水はなんとか秀秋をなだめ、再び甲板に出た。敵船が迫って来るのが見える。


 あれは例の加速装置ではないか。やはり武田か。非常手段だ。小早川水軍ではゼンマイブースターの事を加速装置と呼んでいた。仁科五郎盛信が持ち込んだ情報は大きかった。


「輸送船を突っ込ませろ。鉄盾を展開して全力で離脱。信号弾を上げろ!」


 一気に指示を出して後は天まかせだ。ここで応戦すれば結局は負けるだろう。秀秋を失うわけにはいかない。例えあんな腑抜けでも太閤の甥、小早川家の主人なのだ。


 5隻の輸送船、行きはお土産を積んでいたが今は秀秋の荷物が積まれている。その船を犠牲にして一気に離脱していく。




 かなは双眼鏡見えるんです改を使って楓と櫻の様子を見ていた。楓と櫻はもう追いつきそうだ。かなの乗る戦艦駿河マーク参は真っ直ぐに船団を追っているが無駄玉を撃ちたくないので準備はしているものの大砲は撃っていない。この船には、スクリュークラッシャー砲改が装備されているからさっきの位置からでも砲撃は可能だった。だが、戦局は長引くだろうし無理する事もないと思い、楓と櫻を使ったのだ。ちなみに楓と櫻にも小田原海戦で活躍したスクリュークラッシャー砲は装備されている。


「あれ?一番大きい船、こっちの船に似てるやつがブースター使ったみたい。大砲もなかなかだったし、結構真似されてる。徳様の言うとおりね」


 かなが慎重になっているのは徳から、きっと真似されてるしその上を行かれてる可能性もあると言われていたからだ。明智には海で酷い目に合わされた。戦に卑怯もクソも無いがあんな作戦は考えた事もなくボコボコにされた。もう失敗はしたく無い。


 しかも鉄盾がある。あれは小田原海戦で北条水軍が使った物と同じに見えた。武田の大砲はあの盾に防がれた。


「あの船を狙うのは無理ね。あの楓と櫻にはドリルミサイルはないし。あれ?置き去りの船。あれに邪魔させて逃げる気なのか。なかなかやるわね」


 横を航行する戦艦金谷から手旗信号が来る。伊谷が追いかけるか聞いてきていた。


「ここで出会ったのは偶然みたいだし、後はどこまで追いかけようかしらね。深追いはしない方がいいわよね」


 かなはこのまま前進して引き続き様子見を指示した。そして楓と櫻の進路を輸送船が塞ぐ。双方の甲板に手筒を持った兵が出て砲弾を発射した。火炎弾だった。輸送船が燃え、船員が海に飛び込んで逃げていく。輸送船は進路をうまく邪魔して燃えて沈んでいった。


 かなは遠目にそれを見て、


「あーあ、どうしましょう?」



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