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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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父親

 少し前の事、ここは高天神城です。


「はな殿。ご無沙汰でございますな。ずっと駿河に?」


「はい。徳様の護衛を外れてからはのんびりと過ごしておりました。もう戦うのは無理ですね」


 昔、徳の護衛役で働いていたはなは竹中半兵衛を訪ねて来ていた。ただ来ているわけではない。将軍 信勝の指示を伝えに来ていたのだった。そこに、


「はな?久しぶりじゃない、元気?」


 はなは本気で驚いた。


「えっ、かな!まさかまだ戦ってるの?」


「そうよ、徳様とね。半兵衛様、お迎えに上がりました。積み込みは終わってますか?」


「もう少しかかりますゆえ、お二人で話でもされていては?すぐに川根のお茶を用意させます」


「ありがとうございます、はな、行きましょう。懐かしいわね」


 半兵衛は久しぶりに会って賑やかな2人を遠ざけてから、将軍 信勝からの手紙を読んだ。その手紙には勝頼を待たずに態勢を整えるように書かれていた。


『信勝様も出陣されるおつもりか。その前にかたをつけられれば良いが』


 勝頼や関東勢の多くが西に来れない時に戦になりそうなのだ。これが秀吉の策略だとしたら?わざと東北で問題を起こしてその隙を狙う?信勝もそう考えているのだろう。先手は向こうだろうがただやられるわけにはいかない。勝頼を待たないのは信勝の意地か若さか?何にしても負けるわけにはいかない。


 半兵衛は輸送船藤枝、島田に兵器を積み込ませている。高天神城には徳の開発基地があり、半兵衛は城主でありながら研究所長でもある。


「おい、新型空母も用意しておけ」




 はなは半兵衛からの手紙を持って駿府へ戻っていった。かなははなを誘ったが断られた。今の自分では足手まといにしかならないと。半兵衛は空母に乗るつもりだったが、かなの戦艦駿河マーク参に乗り込んだ。マーク2よりも一回り大きくなった改良型だ。


「かな殿。マーク2はどうされたのです?」


「はい。小田原の馬場様のところへ。旧北条水軍が使っています。今回も参戦してくるはずです。ところで半兵衛様。あの空母はなんですか?初めて見ました」


 かなは普段は尾張にいるので初見だったのだ。


「徳徳機密です」


「そうなのですね。わかりました。私のお役目は半兵衛様を尾張までお連れする事なので、何にも見てませんし聞いてません」


 徳徳機密に関わるとろくな事がない。錠がいい例だ。あんなロケットに乗らされたんじゃ命がいくつあっても足りない。半兵衛は笑いながら


「ご安心ください。かな殿は大丈夫ですから」


「何も聞いてませんから。今回はこのマーク参で活躍します。私の相手は小早川水軍、空軍ではないのです、はい」


 かなはあくまでも見てませんモードだ。今回は多方面での決戦になる。大阪城への物資輸送を防ぐのも大事な役目になる。大阪城を取り囲む事になるかはわからないが、そこまでいかないと戦には勝てないだろう。


 今回、半兵衛は息子の万兵衛を連れて来ている。万兵衛は初陣だが空母を任されている。さて、今回徳様はどこで指揮を取るのだろうか?





 かなは半兵衛を名古屋港で降ろした。ここからは兵器も陸送だ。輸送船藤枝と島田は護衛の駆逐艦欅と共に高天神城へ戻って行く。かなはそのまま瀬戸内海沖へ向かった。まだ開戦はしていない。秀吉がどう仕掛けてくるかわかっていないのだ。


 半兵衛は一度清洲城へ寄って武田信豊へ挨拶してから一緒に岐阜城へ向かう事になった。


「竹中殿。今回はどんな武器を持って来たのだ?喜兵衛のやつは俺には教えてくれないんだよ」


「情報が漏れるのを気にしておられるのですよ。ハンググライダーも拳銃も気球も敵に見られました。船も強化しているようですし侮れません」


「その上を行くのがお前たちであろう。まあいい、今回は徳ちゃんが指揮を取るみたいだし。お手並み拝見、というか俺も出陣するよ。いいとこ見せないとな」





 武田軍が準備を始めている情報はなぜか秀吉には伝わらなかった。織田の動きを見張っているのは坂本城の細川忠興だ。


 そしてその秀吉は、三成が死んだ翌日から動き始めていた。三成が死んでから七日後に拾に関白を譲って自らは太閤と名乗った。そして配下の大名を集めて拾への忠誠を誓わせた。一通り拾への大名の挨拶が終わった後に、秀吉は話し始めた。


「このめでたい席に将軍がいない。将軍に従っている奴らもいない。拾の誕生祝いに来たきりでそれ以降なんの音沙汰もない。帝に対する謀反である」


 秀吉は無茶苦茶な論法で謀叛と言い放つ。ここまで聞いて加藤清正は戦になると思った。しかしなぜだ?なぜ戦をしなければいけないのか?福島政則はキョトンとしている。前田利家は目を輝かせ、細川幽斎は無言で下を向いている。


 三成の死、その不幸な事件が起きたばかりだというのに殿下は武田を滅ぼそうとしている。拾様のためだと気づいた清正は秀吉を憐れむような目で見てしまう。そこには年をとり未来を心配する父の顔があった。


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