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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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その頃徳は

 徳は関東のゴタゴタには真田幸村と甲斐姫を派遣して関わらないようにしていた。信勝も駿府から動いていない。なぜかと言えば西の動きが怪しいからであった。


 本来なら関東へ向かう勝頼に同行するところだが真の敵は本田正信なんかではない。豊臣秀吉なのだ。


 勝頼が秀吉に精力剤を送って子供を作らせると言った時には流石に笑った。子は授かり物だが、行為をしていれば普通は授かる。徳は現代の知識から妊娠しやすい時期というのも知っているし徳自身は意思を持ってそこを避けて勝頼に迫っている。徳は百姓の娘だ。他の妻たちは皆大名の娘である。子ができる事で得る物は多いだろうが失う物のほうが多そうだ。徳は自分がなんでもうすぐ天下人にもなろうとしている男の妻になれたのかは、たまたまだと思っている。そしてなったからには自分の役目はサポートなのだ。徳にできる事は全てやる。


 普通、秀吉の事を種なしだと思うだろう。あれだけ美女をはべらし、好きなようにしていて子ができないのだから当然だ。だが、徳は知っている。三雄の時代での秀吉が茶々と子を成した事を。


「ねえ、せっかく三成が養子になったんだよ。そのままの方が良くない?」


 ピロートーク中である。子供の頃からの付き合いなので二人っきりの時はくだけたものだ。


「そう思ったんだけどな。茶々がこっちにいるから何か仕掛けないと子はできない。どうするかと思っていたら三成を養子にして後継にした。今までの名ばかりの養子ではなく跡取りとしてだ」


「悪いとは思わないけど」


「このまま秀吉が死んで三成の時代になれば容易い。でもそうはならないよな?」


「それはそうよ。仕方なく三成を養子にしたのは見え見え。波紋も起きているみたいだし、この間影猫さんだっけ?高天神に来たのよ。三成がどんなやつか詳しく聞いたけど、役人向きだけど天下人ではないわね。正論だけど嫌われるタイプ」


「二代目は難しいんだ。三雄殿が言ってたのだが、初代が偉大だと二代目は大体崩れる。大きくするのと維持するのでは違うからな。三成では豊臣を維持できないと秀吉が気づいてしまった。最初はできると思ったのだろうが見込み違いというところだろう。秀吉は信勝を見て焦ったと思う、豊臣が関白で歴史を作る予定が突然の将軍登場だったからな。信勝と三成を比較した時に、勝てないと悟った。となると自分の目の黒いうちに武田を潰さなければならない」


「そうよ、だから三成で良かったんじゃない。なんで子供なのさ?」


 徳は精力剤を陰ながら渡した事を咎めているのだ。


「色々な意味があるんだ。一つは後藤信尹の事だ。影猫によるとすぐに戻る気はないが、敵対もしない。あやつの立場を考えて使い所は任せたのだが、結果こうなった。喜兵衛の弟だけあって豊臣の中でも一目置かれているようだし。戻る時も任せている」


「???、それだけじゃないわよね?」


「三成がどう動くかが見たかった。寧々殿に聞いたが関ヶ原では三成が事実上の大将だったそうだ。あとは、だな」


「何?」


「あの歳で毎晩励めば寿命も縮まるだろう。人間は無理はいかんのです」


徳はハア?って顔をしている。


「消耗させて早死にさせる事、子供を使って跡目争いのきっかけを作る事、かあ。でも三成はおとなしく聚楽へ引っ込んでるみたいだし思ったほどの効果はなかったようね」


「今のところはな。種は蒔かねば実らない。布石をうっておけば何かの際に使える。先の事はわからないから色々とやってるのさ、保険だと思ってくれ」


その時はそのまま寝てしまった。





 徳は清州城へ来ている。勝頼をサポートするのに一緒にいなければならないわけではない。今では徳の言葉は勝頼代行と言えるほど重くなっている。役職があるわけでもない、ただのおばさんなのに。


尾張は武田信豊が治めていて真田信輝、武藤喜兵衛、本多忠勝を与力としている一大勢力だ。豊臣との領地の境は菅原と織田信忠が守っている。伊勢志摩を滝川一益、伊賀を丹羽長秀、美濃に信忠本人。越前は勝頼の家臣、菅原が守っている。今は菅原が東北へ出ているので攻められる可能性もあり警戒を厳重にしている。西の備えだ。何かあれば後ろから上杉、武田本隊が出ていけるのでそう簡単には仕掛けられない。


 徳は水軍を連れて来ていた。四国の長宗我部は小早川水軍に叩きのめされ瀬戸内海を制圧されてしまった。武田としては長宗我部に打診をしたが断られたので援軍は出していない。元々長宗我部は明智十兵衛と同盟を結んでいたのだが、明智亡き後、どことも組まずに奮戦している。だが、このままでは時間の問題だろう。


 徳は明智十兵衛が嫌いだが、そうも言ってられないかと天海を使う事を信勝に進言したが、却下された。天海はあくまでも天海、それを崩す事はない、と。徳は信勝が立派になったと喜びつつ、さてどうしようか、と何も出来ずに今に至っている。


 徳は復活したかなを新型戦艦駿河マーク3の艦長として同行させている。かなは前回の明智との戦で十兵衛の海上油作戦にしてやられ、重傷を負った。リハビリも終わり、徳にもう引退しろと言われたのに勝手に駆逐艦欅に乗り込んで、豊臣水軍の調査を始めようとしたので仕方なく許可したのだ。


「なんでこんなに戦が好きなんだか」


「適齢期を逃したのは徳様のおかげですよ、あたいは身体が動く間は現場に居ますから」


「現場って言ったってゆずやはなみたいに後方支援のお役目もあるのよ。あの子達だってちゃんと武田のために働いてるのよ」


「それはそれです。でもあたいは船が一番合ってるみたいなので」


 で、結局新型艦の艦長に抜擢されている。戦闘経験は十分だし、徳としても本当のところはありがたい。



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