表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

353/471

お拾い様誕生

 諏訪原城。駿河と遠江の境にある大井川の近くの山の上に建てられた城だ。ここに作られた諏訪神社に勝頼と徳が来ている。


「勝頼さん。その作戦面白いけどなんか墓穴掘りませんか?」


 神社の裏の方から寧々の声がする。諏訪寧々、勝頼の子孫だ。


「寧々殿。あの秀吉の性格から言ってただではすまないでしょう。仮に悪い方にいったとしても総合的には得と見ました」


 徳には寧々の声は聞こえないが勝頼の返事で寧々が徳と同じ意見だとわかった。徳は、


「かっちゃん。寧々さんに聞いてみて!元々はあの茶々さんが秀吉の子を産むのでしょう?そしてどうなったのかの詳細を知りたい」


 徳は教科書に載っている事や、寧々の父親である三雄に頼んで手に入れた書物での知識しかない。歴史学者の寧々の意見は貴重なのだ。勝頼は、


「寧々殿。そちらの歴史では秀吉に子がいたのでしたよね」


「そうです。お市の娘である茶々が2人の男子を産みました。最初の子は早くに亡くなって、その後に産まれたのが豊臣秀頼です。最初は拾と名付けられました」


「意味ありげな名前ですね。そちらの歴史では今のこちらの年号辺りで秀吉の暴走が始まるのですよね?」


 拾かあ。拾うって事だろうけど何をだろう?


「秀吉は早くに関白の座を縁故の豊臣秀次に譲って太閤と名乗るようになります。その後、やっとできた嫡男の鶴松と弟の秀長が亡くなって、母親の大政所も亡くなって抑えが効かなくなってしまったと言われています。誰も得しない明攻めを行ったり。勝頼さんの方では明攻めは起きないはずです。勝頼さんが秀吉に屈しなければ」


 明攻めか。止まれなくなってしまったのか。駆け抜けて駆け抜けて。止める人がいない権力者にはなりたくないな。


「信勝が将軍を拝命した時に秀吉が異国に攻められる危険を説明し、攻められる前に攻めると話をしていました。それに対して信勝が鎖国を主張し、今は帝の命令で鎖国に向かって動いています。信勝は上手い事やりました。明攻めは起きないはずです。そんな戦に力を使う必要はないのです」


「そうですね。それができたのも秀吉と武田の力が拮抗している、そうではありませんね。武田が持つ東日本が秀吉に屈服していない状況がそうさせたのです。私の方の歴史に出てくる秀吉は素早く、強引です。武田の戦略、そこにいらっしゃる徳さんのその時代にはない発明の数々が結果的に無駄な戦を防いでいるのだと思います。それで、三成はどうしてます?」


 寧々は三成がキーマンだと言っていた。キーマンというのは重要人物の事だそうだ。


「以前三成の事を聞いてから見張らせています。三成は大阪城と秀吉が豊臣家の新しく住まいとして作らせた聚楽という館を行き来しています。そこの女中を募集していたので配下の者を忍び込ませました」


「聚楽第ですか。こちらでは関白秀次の事件というのがあって………」


 寧々は聚楽第について説明を始めた。関白を譲った後で子ができたので関白を排除したそうだ。それこそが勝頼の狙いだったのだが、


「私の作戦はそちらの世界の過去に起きた事という事ですか」


「同じではないわ。勝頼さんの方では秀次ではなく、三成が養子となっています。秀吉の子を妊娠したのは前田利家の娘ですよね?そこも違いますし、淀城ができるのかも………」


「淀城ですか」


 勝頼のその言葉に徳が反応しました。


「淀君は茶々、まさかお摩阿のお方が淀君に?」


 勝頼は徳の発言を寧々に伝えます。


「徳が淀城ができると色々まだまだ起きそうだと言っています。私もそこまでは考えていませんでした。秀吉が死んだ後の事ではなく生きているうちの策だったのですが」


 寧々は考え込んでいます。


「勝頼さんの狙いは、豊臣の内紛ですよね。秀吉に子ができたことによって流れが大きく変わりました。ただ、私は三成が豊臣を継いだ方が武田にとって楽になるのではと思っています」


「寧々殿。それは秀吉が死ぬまで我慢しろと?」


「武田は征夷大将軍です。待っていてもいいのではありませんか?」


「それも考えていました。秀吉に精力剤を与えても子ができるとは限りませんのでその時は時間稼ぎをするつもりでした。関白と一戦交えるのには理由が必要です。今の帝は武田贔屓ですが、秀吉なら帝の首くらい簡単に取り替えるでしょうし」


「子供がきっかけになると考えたのですか?」


「案の一つです。子供には罪はありませんのでそこは考慮します」


 勝頼は子供を殺す気はないと言っているようだが、甘い気がする。寧々はそれを伝えて帰って行った。寧々とはまた来月話すことにして別れたのだが、余談がある。帰りがけの一言が波紋を呼んだ。



「今日は久しぶりに松茸ご飯にするのよ。父ももう長くなさそうなので贅沢するの。すっごく楽しみなんです」


 寧々が嬉しそうに話す。勝頼は、


「松茸がご馳走なのですか?時代が変わると取れなくなるとか?」


「ああ、そうか。その時代だと山に行けば普通に取れますよね。逆にしめじとか椎茸の方がないんでしたっけ」


「椎茸!!!」


 徳が勝頼の叫びに反応します。


「椎茸、しばらく食べてないなあ。駿府にはあんまり出回らないのよねえ」


 寧々は考えてから、スマホで検索を始めます。


「お父さんたら、豚の養殖とか教えておいて椎茸は教えてなかったのね。椎茸はねえ、作れるのよ!椎茸は大概のお料理には合うし便利な食材ですよ。椎茸の肉詰めフライとか」


 徳にいうとよだれタラタラです。勝頼の時代では椎茸は貴重な食材でした。菌床なんてわかるわけないですよね。そこからは食べ物について講義が行われました。スマホ一台で何でもわかるのに徳は驚きますがそれよりも食い気です。


 しばらく徳の研究所は総出で椎茸栽培に繰り出したとさ。それに幸村を投入しようとしたので流石にそれには口出ししたそうだ。




 そして翌年、天正19年に秀吉に子が産まれました。秀吉は子の名前を拾と名付けました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ