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未来を知った武田勝頼は何を思う  作者: Kくぼ


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二代将軍の意味

 戦を無くす?秀吉は何も考えていなかった。正確に言うと自分が権力を持って制圧すれば自然と戦は無くなっていく。敵は武田だけだが、武田は戦がしにくくなる。秀吉が武家関白となれば武田の戦は帝の意思に逆らうことになる。つまり大義が無くなる。そうなればこちらの調略により武田を離れる大名も出てくるであろう。時間の問題で武田は衰弱し、豊臣に従うしか無くなる。そう考えていた。


 だが、そもそも秀吉は戦バカだ。戦を無くすなんて本気で考えてはいなかった。戦があるから面白かった。甲賀に生まれ、追い出された後も生きてこられたのは戦があったからだ。戦を無くすというのは口だけで実際はそんな気は無い。日ノ本の戦が無くなれば次は外国だ。キリシタンの話によれば日ノ本は小さな島国でしかなく世界は広いそうだ。戦の場はいくらでもあるのだ。


 帝の問いは馬鹿げていた。南蛮諸国、明国。向こうが攻めてくる事もあるかもしれないというのに。その時にどうやって守るのか?守るのではない、攻めるのだ。


「この関白豊臣の秀吉にお任せください。そこにいる征夷大将軍とやらを従え、戦をなくしましょうぞ。その上で海外からの攻撃に備えまする」


 後陽世天皇はそれを聞いて尤もらしく頷いた。秀吉がしてやったりという顔をしたのを見てから、


「公方、其方の意見は?」


 二代将軍を継いだばかりの信勝へ問うた。勝頼ではなく信勝にだ。勝頼は面白くなってきたとワクワクしている。ここで信勝に話を振るという事は上手くいっていると考えてもいいだろう。


「はい。二代将軍の武田の信勝、帝の問いにお応えいたします。なぜ戦が無くならないのか?それは人の欲には限りが無いからと考えます」


 ん?五摂家の面々、秀吉、幽斎は期待した答えと違ったようで怪訝な顔をしています。少ししてこいつは腑抜けなのか、と皆が信勝に視線を集中して次の言葉を待ちます。信勝は話のつかみという徳直伝の技量を使ったのです。全員がこちらに注目しています。してやったりです。


 武田勝頼、そう、勝頼の事は以前足利義昭が行った大名集結イベントで皆がその名前を知り、その後の活躍は知らない者はありません。その勝頼が征夷大将軍になった、それだけでも衝撃でした。足利義昭の死後不在だった公方の席を武家関白を名乗った秀吉の後に指名したのです。公の場で帝が発言した事は取り消せないのです。と思ったら、帝はすかさずこの信勝という男に職位を譲ったのです。武田勝頼は子沢山で信勝という嫡男がいる事は話には聞いていましたが目立った実績を誰も知らないのです。なぜ帝が将軍任命、継承までもこの場で行ったのか?信勝というのはどんな男なのか?話がパッパと進み、ついていけないところに変わった返答が出て信勝にこの場を掴まれたのです。


「ここにいらっしゃる皆様も官位に拘りを持っておられます。その事で戦にはなりませんが争いはあるでしょう。それも人の欲、ですがそれは悪ではありません。欲という物は人の向上には必要な物です。金、名誉、関白様は女性に拘りを持たれているようですがこれも人の欲。領地を広げる、民の平和を願う、色々な欲がありますが先程申し上げたように欲の全てが悪ではありません。では、なぜ戦が起きるのか?」


 信勝は一呼吸おいて、帝を見つめます。帝は表情を変えずに聞いていました。それを見て話を続けます。


「過剰な欲が戦を起こすのです。それがしは征夷大将軍です。戦を無くすにはどうするかという帝の問いに対しては、現在の大名の領地を固定し、領地拡大を認めない政策を用います」


 後陽世天皇は、


「公方よ。戦の目的は領地拡大。だが、領地を広げる目的をどう考える?」


 秀吉はここまでは黙って聞いていました。ですが、そもそもこの場を仕切るのは関白、豊臣秀吉でなければなりません。ついに口を挟んでしまいます。


「何を甘っちょろい事を言っているんだがや。戦が無ければ武士は飯は食えん。自国の領民を豊かにするために戦をするんじゃ。この将軍は腑抜けだ。この関白が成敗してみせますぞ!」


 信勝は冷静に、


「関白様。お言葉ではございますが、帝のお言葉は戦を無くすよう仰っておられております。関白様は戦をしたいのですか?」


「戦がしたいのではない。キリシタンを見よ!奴らはデウスという神を信仰しているが、布教が目的というのは偽り。奴らの目的は国を乗っ取ることだ。彼らの武器は強い。武田も空を飛んだりしているが、海の向こうまでは飛べまい。奴らが船を使い大軍で攻めてきたら?国内で争っている場合ではないのだ!」


「関白様、それがしの考えも同じです。故に鎖国をいたします」


「!!!!!」


「関白様は一代で今の地位を築かれた、いや駆け上ったと言ってもいいでしょう。それは戦があったから、この戦国の世だからできた事です。第二、第三の秀吉様がでてくる事をお望みであられますか?」


 ここで秀吉は気がついた。なぜ、後陽世天皇が将軍を二代に引き継がせたかを!



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